世界最古の女性による小説といわれる『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)が、ついに明日15日に最終回を迎える。約1年半にわたって主人公のまひろ/紫式部を演じた吉高由里子にインタビューし、物語の終盤に再登場し大きな話題を呼んだ周明役の松下洸平との共演について話を聞いた。
「あのまま松下洸平がフェイドアウトするわけがないと…」
大宰府を訪れたまひろは、かつて越前で出会った周明と再会。2人の今後に期待が高まる中、海賊による九州への侵攻「刀伊の入寇」が勃発し、周明はまひろの目の前で命を落とした。
大宰府で周明と再会した展開について、吉高は「あのまま松下洸平がフェイドアウトするわけがないと思っていたので、何かしらあるだろうなと(笑)」と予想していたと明かした。
海賊の侵攻を受け、転んだまひろを助けようとして亡くなった周明。吉高は「すごく落ち込みましたが、生きる意味をまた考えさせられるというか、大きな影響を与えた存在じゃないかなと思います」と周明の存在の大きさを述べ、「『生きていることは哀しいことばかりよ』というまひろの言葉も、こびりついて生きていくんだろうなと思います」と自身も影響を受けたようだ。
衝撃的な別れを迎えるも、「刀伊の入寇」の撮影は「楽しかった」と振り返る吉高。「戦うシーンを含め、今まで見たことのない風景だったので。知らない街に来て、やっと自分がただの自分でいられる場所という、ワクワクを掻き立てられていたまひろが、どん底に叩き落とされるという数日間は、私も演じながらあっという間でした」と語った。
周明の死はまひろにどんな影響を与えたのか。吉高は「心の拠り所として歩み寄っていった、20年前とは違う2人の関係が生まれている中でのことだったので本当に衝撃的だったと思いますし、周明の死で抜け殻にさせられたと思います」と自身の解釈を述べた。
周明は「戻ったら話したいことがある」とまひろに告げていたが、その内容について吉高は「ちょっと期待していた部分もあるんじゃないかなと。『一緒にどこか遠くへ行こう』とか。あの時のまひろだったらついていくんじゃないかなというくらい、都で起きたことや感じていたことを脱ぎ捨てたい気持ちもあったと思うので」と想像した。
そして、まひろにとって周明は「どこか自分と似ている部分もあるんじゃないか」と感じていた存在で、2人とも自分の居場所がないという苦しみを味わったからこそ、惹かれ合う部分があったのではないかと語る吉高。「寄り添いたいというか、友情なのか恋心なのか、似た者同士が惹かれ合う部分があったのではないか」と述べた。
『最愛』とは全く違う役で共演「フィクションって面白い」
松下とは、TBS系ドラマ『最愛』(2021)以来の共演となったが、女優業のやりがいを改めて感じることができたようで、「(『最愛』で松下が演じた)大ちゃんとは全然違う役で、時代も関係性も違いますし、フィクションって面白いなと。いろんな人間にさせてくれるお仕事って面白いなと思いました」としみじみ。
SNSに寄せられるコメントを見て、『最愛』ファンも『光る君へ』を楽しんでいると感じているそうで、「そうやって人の心に残る作品にいっぱい出られたらいいなと。3年経ってもそうやって見てくれる方がいるというのはすごくうれしい」と喜ぶ。
さらに、「洸平くんと次はどんな役で一緒になるかなと話した」と言い、「再会できることって、あるようであまりないことなので、洸平くんだけじゃなく、今回(柄本)佑くんもそうですし、心強いですし、安心しますね」と話していた。
1988年7月22日生まれ、東京都出身。2006年、『紀子の食卓』で映画デビュー。2008年に『蛇にピアス』で主演し注目を集め、2014年にはNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインを務める。近年の主な出演作は、ドラマ『最愛』(21)、『風よ あらしよ』(22)、『星降る夜に』(23)、映画『きみの瞳が問いかけている』(20)、『風よ あらしよ 劇場版』(24)など。
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