リリースから11年…ゲームアプリ「モンスターストライク」への思いを語る「20年、30年と続くようなサービスにしていきたい」
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。12月7日(土)の放送は、前回に引き続き、11月1日(金)に開催された「DIGITAL VORN Conference 2024」での公開収録の模様をお届け。ゲストに株式会社MIXI 取締役 上級執行役員の村瀨龍馬(むらせ・たつま)さんをお迎えして、会場にお越しになった方々からの質問に答えたり、村瀨さんが思う近未来の風景について語りました。

(左から)村瀨龍馬さん、笹川友里

村瀨さんは、2005年に株式会社イー・マーキュリー(現:株式会社MIXI)に入社し、SNS「mixi」の開発に携わります。2009年に退職後、ゲーム会社などを経て2013年に再入社し、主にゲームアプリ「モンスターストライク」の開発業務に従事。2016年にXFLAG開発本部 本部長に就任し、XFLAGのエンジニア全体を統括。その後、2018年4月に執行役員CTOに、2019年6月に取締役執行役員CTOに就任し、2023年4月より取締役 上級執行役員を務めています。

◆研修資料を公開している理由

前回の放送では、村瀨さんにAIの利活用や仕事との向き合い方について伺いましたが、今回答えていただいたのは株式会社MIXIの社風について。

村瀨さんは、「ウチは“発明・夢中・誠実” という3つのバリューを大切にしています。発明し続けないと変化できないので“こんなのやったよ!”って( 社内で)気軽に言い合える風土があり、“誠実さをもって人と接する”という意味では、独りよがりでも利己的でもなく、みんなでチームを作り上げている雰囲気もあります。かつ、みんな自社サービスが好きだから、イベント開始時にはみんな仕事を止めて『モンスト(モンスターストライク)』のガチャを引くような会社ですね」と説明。

そして、「“MIXIって何だろう?”って考えると、自分自身のサプライズを楽しみながら、ものづくりをしているような会社」と力を込めます。

また、新卒研修にもこだわっており、さらに、その研修資料をYouTubeチャンネル「MIXI TECH TALK」に公開しています。その理由を尋ねると、「研修は“会社のメッセージ”だと思っています。例えば、研修項目に“AI”がないと、会社として(AIに)向き合おうとしていないことが見えてくるので、研修はものすごくメッセージ性が高いものだと思っています。研修項目に取り入れているものから、最新の情報を学べるので(成長の)底上げができます。しかも、それを学んできた人たちが社内にいるので、それを公開しない手はないです」と解説します。

◆村瀨龍馬が思う“MIXI最大の利点”

今回のカンファレンスでは、来場者からの質問に村瀨さんが回答する時間もありました。

そのなかで、「『mixi』(2004年にサービスを開始したSNS)の需要が減ってきたタイミングで『モンスト』を当てるというような、既存事業が尻すぼみしてきたなかで新規事業を当てるタイミングがあったかと思いますが、このときの100あるリソースのうち、どのくらい新規事業の開発に充てていたのですか?」という質問に対し、村瀨さんは「『モンスト』の話でいうと、再現性はものすごく難しかったです」と言及。

というのも、「モンスト」は木村弘毅(きむら・こうき)現社長 が当時プロデューサーを務め、少人数で開発を進めたプロジェクト で 生まれたもの。また、当時は「モンスト」以外にさまざまな事業を展開していた時期だったものの、「スマホアプリを作れる人間がそこまでいなかったので、(1から)全員で血眼になって挑戦していた状況で、試行錯誤の連続でした」と振り返ります。

また“これは伸びる!”というコンテンツが生まれたときには“(開発に携わった)1人目のエンジニア”をものすごく重視していると言い、「1人目が優秀だと技術制約などで立ち止まらずに新しいことができるんです。なので、そのスピード感を出すためにいい企画があったら、社内のエースを積極的に投入していましたね」と明かします。

加えて、「ウチの最大の利点は、苦労をともにした人が社長になっているので、デジタルやAIの理解がものすごくあるんですよ。なので(DXに)変えようという意思決定はすごく早い。多分、ウチの会社で一番AI推進をしているのは社長なので、浸透はしやすいと思います」と語ります。

◆来年には“with AI”の時代が来る

最後に、村瀨さんが考える“近未来の風景”を聞いてみると、「近未来の社内風景を考えると“経営会議が大変そうだな”と。というのも、あがってくる資料がすべてAI前提で網羅的かつ合理的なものになるわけです。そのぶん(資料が)分かりやすくなりますし、いろんな方針を決めるのに(AIは)とても良いツールだと思っているので、(今後は)いかに意志を持って何を判断するか(が重要です)。来年にはウチの会社にも“with AI”の時代が来ていると思います」と推測します。

社外的なことに関しては「『モンスト』は(サービス開始から)11年動かしてきましたが、まだまだこれから20年、30年と続くようなサービスにしていきたい」と決意を述べつつ、「エンターテインメントのコンテンツの制作難度はものすごく下がってきていて、例えば、小中高の学生が考えたフワッとしたアイデアも表現できるようになると思うので、“なんだこれ!”みたいなものが世の中にいっぱい生まれてくるとうれしいですね」と期待していました。

次回12月14日(土)の放送は、北里大学未来工学部 学部長の岡浩太郎(おか・こうたろう)さんをゲストに迎えてお届けします。昨年4月に北里大学に誕生した未来工学部がおこなっている研究など、貴重な話が聴けるかも!?

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<番組概要>

番組名:DIGITAL VORN Future Pix

放送日時:毎週土曜 20:00~20:30

パーソナリティ:笹川友里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/