[写真]=小澤一郎

 スペインに遠征中のU-16日本代表は12日、バレンシア州アリカンテにてU−17スペイン代表と国際親善試合を行った(※U-17スペイン代表も2008年1月1日以降生まれの選手構成)。結果は1-5の大敗。U-16日本代表は力の差を見せつけられた。

 長距離移動と時差に加え、先週末に所属クラブの公式戦があった選手の合流が遅れるなど、コンディションが整っていなかった面はあるにせよ、廣山望監督は「個の部分でもグループの部分でもサッカー的な差が出た」と総括した。

「個人戦術だったり、2対1の局面を2対1として処理できておらず、1対1寄りで判断してしまっていた。リアルなゲームでのパススピード、ボールの収まりなどにも違いがあり、技術に関してはスピードが上がった時の技術に差があった」と廣山監督はより具体的にスペインとの差を振り返った。

 前半は1-2とスペインに何とか喰らいつき、守備面でも踏ん張りが利いた。しかし、前半からスペインにボールを握られ、受動的に走らされ続けたことで後半は立ち上がりから防戦一方の内容となり後半は3失点。

 廣山監督の談話通り、日本の選手は高強度ハイスピードの展開で技術にブレが生じてしまい、特にアタッキングサードでのミスが目立った。ボール循環も中央からの前進を作れず、外回りからのアーリークロスが精一杯。

 対するスペインの攻撃はサイド起点で最終的に中央からの仕掛けとコンビネーションで日本のDFラインをあっさり崩していた。中でもスペインの10番、イゴール・オジョノには2得点1アシストと好き放題やられた。

 昨年インドネシアで行われたU-17ワールドカップにも15歳で参加し、決勝トーナメント1回戦の日本との試合でも後半から出場したイゴールは今年アスレティック・ビルバオが総額1,000万ユーロ(約16億円)以上とも噂される大金を投じてビジャレアルから強奪に近い形で獲得した逸材。左利きの右ウイング配置でカットインドリブルからことごとく違いを生み出すプレーは、1学年上のラミン・ヤマルを彷彿させるものだった。

 廣山監督は最後に、「自分たちの基準をどこまで上げなければいけないのかを感じる試合となった」と振り返った。U−16日本代表がチームとしても個々人としても目指すべきレベル、基準を体感したことは数少ない収穫の一つだろう。14日にもU−17スペイン代表との親善試合が予定されている。

取材・文=小澤一郎