ニッスイは2024年12月10日、生活の大きな変化を余儀なくされたコロナ禍を経て外出事情や健康に関する行動の変化を明らかにするため、お出かけ事情と健康に関する調査の結果を発表した。同調査は2024年11月6~7日、40~70歳代の男女1,000名を対象に調査をインターネットで実施した。
コロナ禍以前と以後の現在の外出の頻度について調査した。現在、週に1日以上お出かけする人は「ほぼ毎日」「週に4・5日」「週に2・3日」「週に1日」を合わせると約8割に上った。また、これはコロナ禍前の頻度とほぼ同程度である。
食品・日用品など生活必需品購入のための買い物や、通院などやむを得ない外出を除き、よく行く外出先や目的について調査した。どの年代でも1位になったのはショッピングセンターだった。
40~60歳代の2位は食事が目的の飲食店であるのに対し、70歳代では散歩・ウォーキング・ジョギングが2位となり、年代が高いほどその順位は高くなっていた。年齢とともに運動意識が高まることが見て取れる。
運動をはじめとする生活習慣についても調査した。6割以上の人が定期的に運動をしている一方、3人に1人は「全くしない」と回答した。
また、何らかの運動をしている人と運動を全くしない人の体調を比較した。体の調子が良好と回答した人は運動をしている人の中では約4割に対し、運動をしていない人の中では2割台で、運動をしている人の方が体調も良好な傾向にあった。
コロナ禍、コロナ禍以降の筋肉・筋力・体重・ストレスの状況の変化についても調査した。 約3割の中高年がコロナ禍で筋肉・筋力が減ってしまったと回答、そのうち現在も筋肉・筋力がまだ減ったままであると答えた人はその7割となった。
体重・ストレスにおいてもコロナ禍で増えたとする人が約2割、そのうち今でも体重が増えたままの人は約7割、ストレスが増えたままの人は約6割だった。いずれの項目においても、コロナ禍による変化を元に戻せていない人が多いことがわかった。
筋肉には、無酸素運動に使われる瞬発的な速筋と、有酸素運動に使われる持久的な遅筋の2種類がある。特に速筋は、高齢になるにつれて衰えると、転倒などのリスクにつながる可能性がある。
今回、この速筋と遅筋の認知度も調査をしたところ、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人はわずか3割だった。運動をしている人のうち、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人は4割いたが、一方でそれらを意識して運動を行っていると回答したのはわずか2割にも満たない結果だった。運動はしているものの、速筋を意識できていない人が多いことがわかった。
また、加齢とともに生じる筋力の低下や健康づくりの重要なキーワードとして「フレイル」※があるが、「フレイル」となる要因の一つに「速筋」の減少があげられる。そこで、このフレイルの認知度や速筋とフレイル関係の認知・理解度も調査した。
年代が上がるにつれてフレイルの認知度は上がるものの、フレイルが何かを知らないという人の割合は70歳代で約4割、40歳代では約6割だった。さらに、フレイルの要因の一つは速筋の減少であることを知っている人の割合は全年代で1割未満にとどまった。
※フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、日本老年医学会が2014年に提唱した概念。
本調査により、外出頻度はコロナ禍前の状況に回復したが、筋肉や筋力、体重・ストレスなどの観点ではコロナ禍前には回復していない傾向があることがわかった。
外出を楽しむには健康は大事な要素だが、運動習慣がある人が比較的多い一方で筋肉や筋力が回復しないままの人が多くいた。また、筋肉に関しては、速筋・遅筋の認知度は低く、シニアの社会問題となっているフレイルに関する認知も十分ではなく、速筋を意識した運動や生活を習慣づけることの大切さが示唆される結果となった。