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今オフも大型補強を敢行しているロサンゼルス・ドジャース。更なる補強候補として、シカゴ・ホワイトソックスのギャレット・クロシェを狙うと報じるメディアもあった。(※クロシェはレッドソックスへのトレード移籍が発表)近年の米球界では、クロシェと同様に先発転向から飛躍を遂げた選手が目立つようになった。今回は、リリーフから先発転向した投手について分析した。(文: Eli)
今シーズンのメジャーリーグは
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先発投手に求められるのは…?
近年、メジャーリーグでは安定して稼働できる先発投手を用意することが加速度的に難しくなっている。
理由は2つ考えられる。1つはFA市場の高騰で、先発投手を補強しようとすると年俸が2000万ドル程度となってしまう。
もう1つが球速上昇による怪我の頻発で、せっかく補強・育成した投手がシーズン絶望となってしまうことが珍しくなくなってきた。
これに対し、最高峰の頭脳が集まったMLBチームのフロントオフィスは様々な策を講じている。投手育成能力を向上させることにより、安く補強し最大限のパフォーマンスを引き出す、海外リーグに目を向け実績のない選手を安く雇うなど様々だが、この2,3年トレンドとなりつつあるのがリリーフ投手の先発転向だ。
2024年シーズンでは最速105マイル(約168キロ)を誇るジョーダン・ヒックス(ジャイアンツ)、2023年にリリーフとして68試合を投げたレイナルド・ロペス(ブレーブス)などが先発転向し、まずまずの成績を残している。
チームにとっては先発としての実績がない投手を安く調達でき、失敗してもリリーフに戻せばよいのでリスクが低い。選手にとってはリリーフとしての契約より遥かに高い金額を手にすることができる。
■先発転向に求められる条件
リリーバーならだれでも先発転向すれば良いというわけではない。リリーバーが先発転向を目指す場合、以下の条件を満たしていることが望ましい。
・高い球威
全球フルパワーで投げるリリーフとは異なり、先発投手は100球を投げ切るために力をセーブする必要がある。その際に犠牲となるのが球威だ。ゆえに球威が減っても打者を抑えられるくらい余裕を持つ必要がある。
・自由に操れる球種2つ
複数イニングを投げる先発投手は1つの球種に頼り切りになってはいずれ自滅してしまう。理想的には速球系1種と変化球1種を持っていると良いだろう。
またスライダーやシンカーなど打者左右の好みが分かれる球種を持っている場合は、中和するスプリットなどを持っていると便利だ。
・怪我しにくい投球メカニック
平均的な先発投手は1シーズンで2500~3000球を投げる。リリーフが1000球程度で収まるので、量としては2-3倍投げることになる。
リリーフなら若干の違和感があっても問題ないが、先発投手にはきれいな投球メカニックが必要だ。
次ページでは、リリーフから先発投手に転向し、成功を遂げた選手を見ていきたい。
先発転向で花開いた選手
ギャレット・クロシェ(ホワイトソックス, 25歳 )
近年で先発転向して最も成功した例はホワイトソックスのクロシェだ。2020年のデビューから主にリリーフとして稼働したが、2022年に受けたTJ手術から完全復帰となった2024年は開幕から先発として稼働し、146イニングを投げ防御率3.58とまずまずの結果を残した。
デビュー時から100マイル(約160キロ)を記録していたクロシェは先発転向後も平均97マイル(156キロ)を維持したうえで、カッター、シーズン後半にはシンカーを導入することで見事に適応して見せた。なお、11日(日本時間12日)に再建中のホワイトソックスから、レッドソックスへのトレードが発表された。
マイケル・キング(パドレス, 29歳)
ドジャースと同地区ではサンティエゴ・パドレスのマイケル・キングが挙げられる。ニューヨーク・ヤンキース時代から先発を熱望していたキングは2023年後半から先発に転向、2024年は先発としてフル稼働し173.2回、防御率3.33と好成績を残した。
シンカー、スイーパーのコンボを武器とするキングは、先発するにあたりスイーパーよりも中性球となるジャイロスライダーを導入し左右の苦をなくした。
来季はジョー・マスグローブ離脱後のパドレスローテを支えるピースとなるだろう。
先発転向ならエース級になり得る選手
グリフィン・ジャックス(ツインズ, 30歳)
ここからは、先発投手としての高いポテンシャルを秘め、先発転向も検討されている選手をピックアップした。
米空軍アカデミー出身のグリフィン・ジャックスは2021年にデビューし当初は先発投手として稼働したが、同年は14先発で防御率6.37と壁に阻まれリリーフへ配置転換された。
2022、2023年終了後と続けてトレーニング施設であるドライブラインにおいて投球メカニックを改良することで年々実力をつけていき、今季は72試合の登板で防御率2.03、リリーフ投手としてはクリーブランド・ガーディアンズのケイド・スミスに次ぐメジャー2位のfWAR2.6を記録した。
既に、ミネソタ・ツインズに携わるニュース媒体ではジャックスの先発転向の報道が出ている。データを見るとジャックスは先発投手にぴったりの投手と言える。
全球種平均のStuff+ 134は先発転向で20~30程度減ってもリーグ平均を保てる値であり、カーブ、カッター(2024年はゼロ)の球種は左右関係なく抑えることができる。
またコントロールも非常に良く、Location+は全球種平均以上である。オフを通して調整に取り組めば十分先発としてやっていける投手だ。
ジェフ・ホフマン(FA, 31歳)
2016年にコロラド・ロッキーズで先発としてデビューしたジェフ・ホフマンは超投手不利のクアーズフィールドに苦しみ5シーズンで退団。
その後シンシナティ・レッズ、ツインズを経て、2023年4月にフィラデルフィア・フィリーズとマイナー契約を結ぶと、投手コーチのアドバイスからスライダーの割合を大幅に増やしメジャー屈指のリリーバーとなった。2023-2024シーズンを通してのfWAR3.6はリリーフ4位だ。
10月初旬に一部のチームがホフマンの先発起用を検討していると報道が出ている。ホフマンの投球メカニックを見るとそれ程力を込めているようには見えず、先発に適していそうだ。
球種の面でもすべてがStuff+平均以上、スライダー以外はLocation+平均以上と素質は持ち合わせている。左右関係なく抑えられるスプリットを持っているのも大きい。
リリーフ経験を経て自分を作り直したホフマンは、先発にもう一度チャレンジしてみるのも良いかもしれない。
エイドリアン・モレホン(パドレス, 25歳)
2019年にパドレスでデビューしたエイドリアン・モレホンは先発、リリーフと様々な役割をこなした。またキャリアを通して怪我に悩まされることも多かった。
しかし、今季は全てをリリーフとしてシーズンを故障なしで完走し60試合登板、防御率2.83とパドレスのブルペン陣を支えた。この勢いを持って先発再挑戦と行きたいところだ。
モレホンは2つのファストボール(FF, SI)、左打者に有利なスライダー系、中和剤となるスプリットを持っており、先発として長いイニングを投げるのに適している。さらにスプリット以外を平均以上のレベルでコマンドできる点も良い。
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