「人生100年」といわれる現代、70代はまだまだ自己を見つめ直し、自分らしさを大切に生きる時期です。しかし、いざというときのための「終活」も大切です。
◆終活ってどんなことをいうの?
終活とは、人生の終末に向けて、自分の延命治療、介護、葬儀、相続などの希望をまとめたり、今までの人生を振り返ったりしながら、準備を整えていくことをいいます。具体的には以下のことを行います。
・財産整理(資産を現金に換える・使わない口座やカード類を解約する)
・資産の目的別管理(介護費用など確実に必要なお金を別口座で管理する)
・荷物整理(持ち物整理)
・エンディングノートを作る(自分年表作成・介護の希望をまとめる・財産の情報をまとめる)
・葬儀やお墓について考える(埋葬方法を決める・墓じまいをする)
このように、終活でやるべきことはいろいろあります。60代であれば、まだのんきに構えていい場合もありますが、70代になると、具体的な準備がより重要になってきます。自分自身のためというよりは、周囲の人々に安心感を与えるための取り組みを進める時期といえるでしょう。
今回は、そんな70代が本格的に終活を始める際、「財産管理」において何を重視したらよいのか、考えてみましょう。
◆70代の終活で特に重視すること:財産や資産の状況確認・整理
終活を進める上で、まず大切なのは、自分が持っている資産や財産をきちんと把握し、整理することです。資産状況の確認と整理を進める際には、以下の点を意識するとよいでしょう。
◇財産をリストアップし、エンディングノートに記録する
エンディングノートに、自分が保有するすべての財産をリスト化しましょう。以下は、具体的に記載しておくべき項目です。
・保険証券:生命保険や医療保険などの証券番号、契約内容
・銀行の通帳・キャッシュカード:口座の種類や取引銀行名、支店名
・有価証券:株や投資信託などの証券番号や証券会社の情報
・不動産の権利証:所有する土地や建物の権利証、物件の所在地
・その他の資産:貴金属や骨董品、価値のある物品など
◇不要な口座の整理・解約する
複数の銀行口座や証券会社の口座を持っている方も多いかもしれませんが、もう使わない口座があれば、速やかに解約しましょう。そうすることで、財産管理がしやすくなり、相続時の手続きも簡素化できます。
◇各種手続きに必要なものの保管場所を決めて、エンディングノートに記録する
終活には、さまざまな手続きに必要な書類やカード、印鑑の管理が欠かせません。いざというときの手続きがスムーズに進むよう、エンディングノートに保管場所をしっかりと記載しておきましょう。
・印鑑:実印や銀行印の保管場所を分かりやすく明記
・マイナンバーカード:番号だけでなく、カードそのものの保管場所
・年金手帳などの情報:年金の受給手続きに必要
・健康保険証・介護保険証などの情報:医療機関や介護施設の利用に備えて
◇デジタル資産の管理も忘れずに
最近は、デジタル資産も含めて終活を行うことが大切です。ネット銀行や証券会社の口座、スマートフォンやパソコンに保存しているファイル、さらにはSNSアカウントなど、多くの人が複数のデジタル媒体を利用しています。これらを管理する際には、次のポイントを押さえておきましょう。
・ログインIDやパスワードの記録:IDとパスワードを分かりやすく記録
・デジタルデータの整理:不要なファイルやアカウントの削除
エンディングノートなどに上記の情報を記載しておけば、自分がいなくなった後、家族や関係者がスムーズに手続きを進めることができます。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
文=舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)