マセラティ創業110年を記念して、新旧車両とオーナーたちによるイベントが、2024年12月3日に東京で開催された。
【画像】110台のマセラティが大集合!ブランド創立110周年を祝う記念イベント(写真16点)
「Celebrazione dei 110 Anni di Maserati」、日本語で「マセラティの110周年のお祝い」と題されたイベントで、現在マセラティが本社を置くモデナでも同様のイベントが、おなじタイミングで開催された。
午前中の会場になった東京プリンスホテルには、110台のマセラティが集合。世界に1台しかないとされる、スカリエッティがボディを制作した「A6GCS」など、貴重な車両もやってきて、おおいに盛り上がった。
「3500GT」や「ミストラル」、初代「ギブリ」といった、戦後マセラティの名声に寄与したモデルも参加したし、日本で”発見”されオリジナルの状態が「きわめて高い」(主催者)とマニアのあいだで評判をよんだ「メキシコ」(1968年)も並んだ。
見ていると、ふらりと会場に足を踏み入れた通行人には、各人、思い出深いモデルがあるようで、熱心に見ている車両がことなる。それも、日本市場で長い歴史をもつマセラティならでは、ということができる。
会場でのもうひとつの話題は、24年8月18日に米西海岸ペブルビーチで発表された、出力463kWと最強の3リッターV6「ネットゥーノ」エンジン搭載「マセラティGT2ストラダーレ」のお披露目。空輸で運ばれてきたGT2ストラダーレは、日本でのアンバサダーを務める城田優氏の手でアンベールされ、おおいに話題を呼んだ。
「かつてレースで名声を築いたマセラティは、いまフォーミュラE、GT2シリーズ・ヨーロッパシリーズでも活躍しています。とくにフォーミュラEでは、今年(24年)に東京で勝利を収めたのも鮮烈に記憶に残っています。25年シーズンも同じことが繰り返されることを祈ってます」
会場で、マセラティジャパンの木村隆之代表取締役は、近年の活発なモータースポーツ活動について触れた。そこが「魅力の原点」だからだ。
いっぽう「内外装が好きすぎて」と木村氏自身、1998年型「マセラティ・ギブリ」を購入して乗っている。ビトゥルボ期(1981年から97年)のマセラティ車もそれなりの数集まっていて、いわゆるバブル時代にビトゥルボに憧れた世代からは「やっぱりいい」という声が聞かれた(筆者も含む)。
「このイベントで、あらためて日本のファンも、過去と現在とがつながっていると感じられました。マセラティは、乗るひとを大切にするメーカーなんですが、東京の会場でも、オーナー同士が仲良くつながっている様子が見られたのがうれしいです」
これはマセラティ・クラブ・オブ・ジャパンの越湖信一会長の言葉だ。
午後は、イベント会場を出て、参加者を対象に東京から千葉まで約2時間のツーリングイベントになった。ゴール地点の千葉では、参加車両が巨大なトライデント(三叉槍)のロゴを作り上げたのだった。
イベントの司会進行はマセラティ「スパイダー・ザガート」の元オーナーでもある DJ TARO氏。マセラティ・ジャパンの玉木一史業務執行取締役ジェネラルマネージャーが「GT2 ストラダーレ」の解説を担当。さらに、サプライズゲストとして、ピニンファリーナ在籍中に「クアトロポルテ」や「グラントゥーリズモ」のデザインを手がけた奥山清行氏(KEN OKUYAMA DESIGN代表)が短いスピーチを行った。
マセラティ・ファンでなくてもじゅうぶん楽しめた、内容の濃いイベントであった。
文:小川フミオ 写真:マセラティ
Words: Fumio OGAWA Photography: Maserati