Q:「フリーボード」アプリに「シーン」という新機能があると聞きました。どんな機能ですか?

A:「シーン」は表示範囲を素早く移動できる機能です。「フリーボード」アプリには、ほかにも新機能があります

「フリーボード」アプリについては、本連載の以前の記事で基本操作やiPhoneとMacの同期を紹介しています。広いボードに図形や付せん、テキストなどのオブジェクトを自由に配置して、考えをまとめたり、書類を作成したりすることができるアプリです。

本記事では、社員研修やゼミなどの計画を立てるという設定で、macOS Sequoiaの「フリーボード」アプリの新機能を紹介していきます。

オブジェクトの整列に役立つ「グリッドに沿う」

新規のボードを作成すると、細かい点で方眼が表示されていて、図形などのオブジェクトを整列させる際の目安になります。

  • 方眼が表示されていない場合は、「表示」メニューの「方眼を表示」を選択します

方眼の表示/非表示は前のバージョンからありましたが、macOS Sequoiaの「フリーボード」アプリには「グリッドに沿う」という新機能が搭載されました。

  • 方眼を表示した上で、「表示」メニューの「グリッドに沿う」を選択して、このメニュー項目にチェックがついた状態にします

  • オブジェクトの角にある小さい点をドラッグして大きさと形を調整しています。方眼の点に対して磁石のようにくっつくような感触があり、規則正しい大きさや形にするのに役立ちます

  • 右のオブジェクトをドラッグして移動しています。このときにも方眼の点にくっつくような感触があり、ほかのオブジェクトとの位置揃えなどが簡単にできます

すぐ上の図を見ると、左のオブジェクトと中央が合っていることを示す細線が表示されています。これは「ガイド」で、前バージョンからあった機能です。

  • 「表示」メニューの「ガイド」に「エッジガイド」という項目もあり、これを選択してチェックを付けると、オブジェクトの端の位置が合っているときもガイドが表示されます

オブジェクトをつなぐコネクタ線を動かしやすくなった

オブジェクトどうしを線でつないで関係や順序を表す「コネクタ」の機能は、前バージョンからありました。

  • 右下にあるコネクタのアイコンをクリックして、コネクタをオンにします。画面中央に表示されている「コネクタオン」の通知はすぐに消えます

  • 左の正方形をクリックして選択すると、四辺のすぐ外側に小さい矢印のアイコンが表示されます。右向き矢印のアイコンをドラッグして、右の正方形に向かって伸ばします

  • コネクタ線が作成され、右の正方形にくっつきます

  • 作成されたコネクタ線をクリックして選択すると、ツールが表示されます。中央の矢印のツールをクリックします

  • 線の右端に向かう矢印にする設定を選択します

  • このようなコネクタ線を作成できました

このようにあらかじめ描かれている2つのオブジェクトをつなぐ方法のほかに、コネクタ線とオブジェクトを同時に作成する方法もあります。

  • 左の正方形をクリックして選択し、下向き矢印のアイコンを下方向へドラッグします

  • ドラッグをやめると、どの図形を作成するかを選ぶメニューが表示されます。使いたい図形をクリックします

  • コネクタ線とオブジェクトが同時に作成されました

線の両端のどちらかのオブジェクトをドラッグして移動するとコネクタ線もそれに伴って伸び縮みするので、つながりが切れてしまうことはありません。ここまでは、前バージョンのアプリにもあった機能です。

macOS Sequoiaの「フリーボード」アプリでは、移動した後の線の調整がしやすくなりました。

  • 右上にあった正方形を移動したので、コネクタ線をクリックして選択し、両端の小さい丸をドラッグして、正方形とくっついている位置を調整します。この線の位置の調整が、前バージョンよりもしやすくなりました

新機能の「シーン」で表示範囲を素早く移動

研修の内容を考え、進行の手順を考え、準備について確認し……と、検討することはたくさんあります。「フリーボード」アプリのボードは広いので多くの内容を1つのボードにまとめることができて便利ですが、その反面、ある内容の場所から別の場所への移動が面倒かもしれません。そのようなときに役に立つのが、macOS Sequoiaの「フリーボード」アプリで新たに追加された「シーン」の機能です。

  • 広いボードに、情報のかたまりが3つあります。左上は研修内容、左下は研修の流れ、右上は準備に関する内容です。この3つを「シーン」として設定していきます

左上の研修内容は、付せんのツールを使って作成しました。右上の準備に関する内容は、テキストボックスのツールを使って入力しました。

  • 左上の研修内容の部分だけが表示されるようにボードを拡大したり表示位置を調整したりします。左下にある「★」ツールをクリックします

  • シーンのツールが表示されます。ツールの3本線の部分をクリックし、「シーンを追加」をクリックします

  • 同様に、左下の研修の流れの部分を表示し、ツールをクリックして「シーンを追加」をクリックします。この後、右上の準備の部分も同様にシーンとして追加します

これだけでもよいのですが、シーンに名前をつけておくとさらに使いやすくなります。

  • シーンのツールをクリックし、追加したシーンの右端にある「…」をクリックします。「シーンを名称変更」をクリックします

  • 名称を変更できる状態になるので、新しい名称を入力します。ほかのシーンも同様に名称を変更します

  • シーンを切り替えて表示するには、シーンのツールをクリックして表示したいシーンをクリックします。または「<」「>」のツールをクリックして、シーンを順番に切り替えます

このようにシーンを設定すると、書き込みをする際の移動に便利なだけでなく、このボードを大型ディスプレイに映して説明や会議などに使う際にも役に立ちますね。プレゼンアプリのスライドの切り替えのような感覚で使うことができます。

【今回の余談】
MacとiPhoneで同じApple Accountを使ってサインインし、「フリーボード」アプリを同期すると、ボードの内容がそのまま表示されるだけでなく、Macで設定したシーンもそのまま使用できます。ただし、MacのアプリのウインドウとiPhoneの画面では縦横比が異なるので、Macで設定した通りの表示範囲にはならないことがあるようです。
それでは次回も、よろしくお願いします。