◆ データで振り返る!メジャー日本人選手の2024年
▼ 第7回・ダルビッシュ有
今年8月に38歳となったダルビッシュ有は、今季もケガとの闘いを強いられた。開幕直後の4月に首の張りで負傷者リスト(IL)入りすると、その後も6月と8月にも左脚付け根の張りでIL入り。離脱期間がシーズンの約半分に及び、パドレスに在籍した4シーズンでは最少となる16登板に終わった。
ただ、限られた登板の中で7勝3敗、防御率3.31と上々の成績を残したのはさすが。勝利数は24試合に投げた前年から1つ減らしただけで、防御率にいたっては4.56から1点以上の大幅良化だった。
また5月に日米通算200勝を達成したが、今季のハイライトはやはりポストシーズン。巧みな投球術で強力ドジャース打線を手玉に取った。
改めて38歳右腕がポストシーズンで見せた活躍を振り返っておこう。ドジャースとの地区シリーズ第2戦と第5戦の先発マウンドに登ったダルビッシュが2試合で失ったのは3点のみ。防御率1.98もさることながら、被打率は驚異的な.136をマークした。
特に大谷翔平に対しては、6打数無安打3三振とほぼ完璧な投球を披露。大谷がリーグ優勝決定シリーズとワールドシリーズで調子を崩したのは“ダルビッシュのせい”とまで言われたほどである。
そんなダルビッシュが今季レギュラーシーズンで好成績を残せた理由の一つがピンチの場面で簡単に失点しなかったことだろう。走者を得点圏に置いた場面では奪三振率10.6をマーク。走者なし時の奪三振率が7.9なので、ここ一番の場面では一段も二段もギアを上げていたことが分かる。得点圏時の被打率もメジャーでは自己ベストとなる.133をマークし、メジャー通算の.213を大幅に上回っている。
来季に向けて改善の余地を挙げるとすれば、立ち上がり3イニングの投球だ。試合序盤の3回までと4回以降の防御率を比較すると、3回までの4.15に対して、4回以降は2.12。9つのアウトを取れば波に乗っていけるが、それまでに失点を重ねるシーンも少なくなかった。
また年齢のせいもあってか、登板間隔は長い方がベター。中4日で登板した4試合では1勝3敗、防御率6.43と打ち込まれていたが、中5日の時は7試合で4勝0敗、防御率2.65、中6日以上空けば5試合で2勝0敗、防御率1.54と、顕著な傾向が見られた。
パドレスとの契約は2028年まであと4年残っている。メジャーでは中4日の登板間隔が根付いているが、今後は中5~6日が主流になっていく可能性もあるだろう。そうなれば、ダルビッシュの投手寿命も若干延びるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)