ドリアンとはどんな果物?

ドリアンは、東南アジアのマレー半島が原産の、アオイ科の常緑多年生植物です。樹木の高さは、10〜30メートル、高いものでは50メートルにもなります。果実は、品種によって楕円(だえん)形か円形で、直径が15~30センチ、重量は一般に1~3キロ、大きいものだと5キロにもなるものもあります。

硬く分厚い殻にはゴツゴツして鋭いトゲがあります。食べるのはその中身のクリーム色からオレンジ色をした果肉ですが、大きな種があるので、可食部分は多くありません。ドリアンの殻は、熟す前は緑色ですが、熟すと薄茶色になります。

よく知られているのはその匂い。強い匂いがあるので、ドリアンの流通する国ではホテルや地下鉄、飛行機内への持ち込みが禁じられているほどです。

その巨大な果実が幹からたくさんぶら下がっている様子は圧巻ですが、頭に落ちたら大変なことになるので要注意です。ドリアンが「果物の王様」と呼ばれる他に「フルーツの悪魔」などさまざまな呼ばれ方があるのも、匂いや味だけでなく、巨大で風変わりな見た目にも由来するのかもしれません。

ドリアンの食べ方は?

ドリアンは種まで食べることができるため、原産地では種を焼いて食べることがあります。ただ、種を取り除いて果実部分のみをそのまま食べたり、アレンジして食べたりするのが一般的です。

例えば、スムージーとしてほかの果物やミルク・豆乳と合わせるとトロピカルで優しい味わいになります。他には、ジャムにする、アイスクリームに添えて食べるといった方法も。

バニラアイスのようなシンプルなものと合わせると、ドリアンならではの香りや味わいを堪能できます。

ドリアンをおいしく食べるには?

おいしいドリアンの見極め方

ドリアンを食べる機会があったら、少しでもいい状態でおいしく食べたいですね。

ドリアンを買う時は、均整のとれた形の良いもの、同じサイズであれば軽い方を選びましょう。重いものは種が大きく水分が多く、おいしくありません。

カットしたものを購入する場合は、果肉につやとハリがあり、変色していないものを選びましょう。食べる時は、恐る恐る少し口に入れたのでは、匂いが気になるだけで甘みを感じられず、おいしさがよく分かりません。思い切って一口いってみましょう。

食べ頃の見極めかた

こだわりがある人は、ドリアンの熟成度にも好みがあるようです。木から落ちたドリアンは、2~4日で追熟し食べ頃となりますが、更に熟成したものを好む人もいます。

市場には、木から落ちる前に収穫したものが出荷されます。熟すと色が薄茶色に変化し、完熟すると硬い殻に亀裂が入ります。割れていなくても特有の芳香があれば食べ頃です。

熟す前のドリアンはおいしくありませんし、熟したと思っても根元部分がまだ熟していない場合もありますので、見極めが難しいところです。
食べ頃の見極めに自信がない人は、冷凍ドリアンを購入するのがおすすめです。食べ頃のドリアンをカットして冷凍してあるので、外れが少ないですよ。

ドリアンの実の取り出しかた

ドリアンは、熟してくると厚くて硬い殻に亀裂が入ります。その部分から手やナイフで縦に割ることができます。素手で触るとトゲ刺さって痛いので、軍手などをすると良いでしょう。また、テーブルが傷つかないように敷物を敷くことをおすすめします。亀裂が入る前でも芳香が十分であれば、鉈(なた)などを使って縦に割ります。

割ってみると、ドリアンの実は縦に5つの房に分かれて入っていて、その1つに種が2~3個あります。取り出す時は、果肉が傷つくと果汁が漏れやすくなるので、その形のまま傷つけないように注意しましょう。

それぞれ白い膜のような薄皮に包まれていますので、丁寧に取り除いて果肉を出します。もしくは、薄皮に切れ目を入れてスプーンを使って食べても良いですし、気にならなければ薄皮がついたまま食べても大丈夫です。

果肉をカットして中の種を出すと食べやすくなります。

匂いが気になる人には冷凍加工されたものもおすすめ

ドリアンの匂いは、カットしたての時はあまり気になりません。フルーツ園や市場などで熟したものをその場で食べると、それまで嫌いだったのにおいしいと感動する人が多くいます。

また、冷凍したものも匂いが少なめです。カットしたてのおいしい状態をすぐに冷凍加工した商品は、年中食べることができ、各国で人気となっています。冷凍ドリアンは日持ちがする上に、真空パックで匂いが漏れません。気を使わず持ち運びができるのも魅力です。ただし、一度パッケージから取り出して時間がたてば匂いは強くなります。
最近は、フリーズドライの商品もあります。匂いは抑えられていますが、食べるとしっかりドリアンを感じることができます。匂いが苦手な人や手軽に食べたいという人におすすめです。

ドリアンの冷凍・保存方法は?

完熟までの保存方法

ドリアンは、殻が緑色で匂いがなく、亀裂がないものは未熟ですので、常温で放置して食べ頃を待ちましょう。また、果肉だけで販売されている場合は、熟したものをカットしているはずですが、もし硬くてまだ熟しきれていないようであれば、ラップや保存容器などで密閉して冷蔵庫に入れておくと2日くらいで柔らかくなるでしょう。

完熟したドリアンの保存

完熟したドリアンは、実を取り出して保存する必要があります。ラップなどで密閉して冷蔵庫に入れれば1週間程保存でき、冷凍すれば更に長期保存できます。冷蔵保存すると冷蔵庫全体が臭くなりますので、冷凍保存がおすすめです。いずれにしても、厳重に密閉して保存した方が良いでしょう。

ドリアンの食べ過ぎには注意が必要

栄養がありおいしいドリアンですが、果物の中でも糖質を多く含み、高カロリーなので、注意が必要です。一度に食べる量は、1房くらいまでにしておくと良いでしょう。

NGな食べ合わせ

産地では、ドリアンを食べると熱が出たりのぼせたりすることがあるため食べ過ぎには注意し、毎日は食べないようにといわれています。また、甘いお菓子やドリンク、糖度の高い果物などと一緒に食べるのも避けるべきとされています。ドリアンを食べた後は、いつもより多く水を飲むと良いそうです。

更に、ドリアンを食べながらアルコールを飲んだり、食後にアルコールを飲むことはNGという話を聞いたことはあるでしょうか。科学的な根拠が証明されていないため、迷信だといわれることもありますが、タイでは、保健省から警告が出されています。

ドリアンはどこで買える?

ドリアンを買える場所は?

ドリアンはスーパーマーケットや青果店、インターネットショッピングなどで購入できます。ただ、スーパーマーケットについては店舗にもよりますし、旬の時期など販売されている時期やタイミングが異なるので必ず購入できるとは限りません。確実に購入するには、インターネットショッピングがおすすめです。
また、よく行く青果店があれば、ドリアンが入荷できそうなときに教えてほしいと依頼しておくのも良いでしょう。

ドリアンの値段

ドリアンは1玉まるまる購入すると、2kg前後の小ぶりなものでも4000円ほど、2kg以上のものになると6000円以上する場合も珍しくありません。フレッシュな味わいを楽しみたい場合はお試しで小ぶりなものを購入してみるのも良いでしょう。

旬ではない時期に食べたくなったときや、まず少量を試してみたいときは、フリーズドライや、冷凍のドリアンを購入するのが良いでしょう。ドリアンの種類や品質によって値段は異なりますが、冷凍されたものでも2,000〜3,000円ほどと、手軽に購入できます。

高級ドリアンの場合は1万円以上するものもあります。生のドリアンが食べたい!というこだわりがなければ、冷凍ドリアンは新鮮な状態で冷凍されていますし、比較的安く購入しやすいのでおすすめです。

ドリアンの種類は?

チャネー

チャニーと呼ばれることもある、日本でも販売されているのをよく見かけるドリアンです。

ちなみに、チャネーはテナガザルを意味するタイ語。木にぶら下がっている実がテナガザルに似ていることから名づけられました。チャネーの味は甘味が強く、柔らかな果肉です。

ただし、少し離れた場所からでも分かるほど強烈な香りがあります。

モントン

こちらも日本で見かけることが多いドリアンで、チャネーより少し高めの値段です。

果肉は程良い硬さで、甘味もあります。モントンが人気となっている理由のひとつには、一般的なドリアンよりも独特の香りが柔らかいことが挙げられます。

ガンヤオ

ガンヤオは日本ではあまり見かけない品種なので、見かけたときには手にとってみるのもおすすめです。ドリアンの独特の香りが弱く、非常にクリーミーで、まろやかな味がします。

クラドゥムトン

クラドゥムトンはクラドゥム(ボタン)とトン(金)が組み合わさった言葉です。
かつて着用されることがあった中国風のシャツについていたボタンに似ていたことから名づけられたといわれています。

日本ではほぼ見かけることがない品種で、種が大きめで果肉部分が少ないのが特徴です。

日本でドリアンの栽培は難しい?

日本でドリアンを栽培するのは、非常に難しいです。ドリアンは純熱帯性の果樹であり、高温多湿な環境を必要とします。特に年間を通じて平均気温が20℃以上、最低気温も15℃を下回らないことが重要です。
しかし、日本の多くの地域では冬の寒さが厳しく、露地栽培は現実的ではありません。また、ドリアンの木は15m以上の高さになり、家庭用のハウスや温室では対応しきれないサイズです。更に、土壌も酸性で排水性が良い環境が必要なため、土壌改良の手間も掛かります。
このように、温度、湿度、土壌条件を人工的に再現するには高いコストと技術が必要で、日本での栽培には不向きとされています。
ただし、沖縄などの特定地域や専門的な施設で条件を整えれば、栽培の可能性はあります。

まとめ

ドリアンは、その独特な香りと濃厚な味わいで、東南アジアを代表するフルーツとして多くの人に愛されています。選び方や熟し具合の見極め、食べ方次第で更においしさを楽しめるのが特徴です。また、保存方法を工夫することで、長く楽しむことも可能です。初めての人も、今回のポイントを押さえて、ぜひ「果物の王様」ドリアンの奥深い味わいを堪能してみてください。