年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、生活保護を受けている場合の年金について、専門家が回答します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、生活保護を受けている場合の年金についてです。

◆Q:生活保護を受けていますが、これから受け取る年金の受給額は収入になるのですか?

「現在、生活保護を受けていますが、これから年金を受け取る場合、年金は収入にあたるのですか?」(スミさん)

◆A:生活保護を受けられるか判定するにあたり、年金は「収入」として扱われます

生活保護制度とは、日本国憲法において国民の生存権の理念にもとづき、国民の最低生活を保障するための制度です。

具体的には、収入があっても「最低生活費」に足りない額を、生活保護費として支給されることになります。最低生活費は、保護される人の年齢、世帯構成、住んでいる地域等の事情を考慮して定められた保護基準によって計算されます。

生活保護を受けるための前提として、その人の資産、能力等すべてを活用しても「最低生活費」に届かないということがあります。

つまり不動産、自動車、預貯金等の資産はないか、働いて収入を得ることはできないか等の調査があります。この調査には3親等までの親族から援助してもらうことや、年金や手当といった社会保険や社会保障給付等の収入も含まれます。

つまり年金収入があり、「最低生活費」に足りていれば、生活保護は受けられないということになります。

年金を受け取っても「最低生活費」に届かない場合、差額を生活保護という形で受け取ることになります。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。

文=拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)