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日本野球機構(NPB)は、12月9日に2024年度の現役ドラフトを開催。今年は計13人が指名を受け、新たなユニフォームに袖を通すことになった。指名された選手たちは、新天地で活躍の場を見出したいところだ。ここでは、今回指名された選手を紹介するとともに、セ・リーグ6チームの現役ドラフトを総括する。
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広島東洋カープ
広島東洋カープは、1巡目でオリックス・バファローズの山足達也、2巡目で北海道日本ハムファイターズの鈴木健矢を指名。一方、リリーフで実績のある矢崎拓也は東京ヤクルトスワローズから指名を受け、新天地に活躍の場を移すことになった。
山足は、ホンダ鈴鹿から2017年ドラフト8位でオリックスに入団。プロ3年目の2020年にはキャリアハイの63試合に出場し、打率.219、1本塁打、5打点の成績だった。
今季は一軍で43試合に出場したが、主に守備固めでの起用が中心だった。守備力があり、内野の複数ポジションを守れるだけに、新天地では貴重な存在になり得る。
2巡目で指名された鈴木は、JX-ENEOSから2019年ドラフト4位で日本ハムに入団。ルーキーイヤーから毎年一軍のマウンドに上がり、2023年は先発やリリーフとして24試合に登板。同年は6勝4敗、防御率2.63の成績を残した。
今季は一軍登板が8試合にとどまった鈴木。日本ハムでは不完全燃焼に終わったが、起用法が定まらなかった印象がある。
広島は鈴木を先発とリリーフ、どちらで起用するのか注目したい。
読売ジャイアンツ
読売ジャイアンツは、1巡目で北海道日本ハムファイターズの田中瑛斗を指名。高卒7年目の右腕が、今季のセ・リーグを制した巨人に入団する。
巨人から移籍することになったのは、一軍での実績がある畠世周。投手力が高い阪神タイガースから指名を受けた。
田中は、柳ヶ浦高から2017年ドラフト3位で日本ハムに入団。だが、プロ2年目の2019年に一軍デビューを果たすも、翌2020年に右肘を手術。2021年オフには戦力外通告を受け、育成落ちを経験した。
それでも、2022年7月に支配下復帰し、同年は一軍でプロ初勝利もマーク。今季はわずか3試合の一軍登板に終わったが、ファームでは主にリリーフとして29試合に登板し、防御率2.35の成績を残した。
日本ハムでは北山亘基や金村尚真、山本拓実といった同世代の投手に埋もれつつあった田中。巨人は投手力のあるチームだが、この移籍をきっかけにブレイクできるか注目だ。
阪神タイガース
阪神タイガースは、1巡目で読売ジャイアンツの畠世周を指名。今季はわずか1試合の一軍登板にとどまった畠だが、活躍の場を移す形となった。
一方、2022年にブレイクした浜地真澄は横浜DeNAベイスターズから指名を受け、新たな環境でプレーすることになる。
畠は、近畿大から2016年ドラフト2位で巨人に入団。ルーキーイヤーから先発として活躍し、同年は13試合の登板で6勝4敗、防御率2.99の成績を残した。
しかし、その後は故障に苦しんだ。2019年には右肘の遊離軟骨除去手術、2020年には右肩の肉離れを発症し、存在感が薄れつつあった。
それでも、2022年は主にリリーフとして52試合に登坂し、13ホールドポイント(4勝3敗1セーブ11ホールド)、防御率3.07をマーク。今季は1試合の一軍登板に終わったが、ファームでは37試合の登板で防御率1.41の成績を残した。
阪神の投手陣は強力だが、課題も残る。リリーフ陣に目を向けると、桐敷拓馬が70試合に登板するなど、負担がかかっている部分がある。
先発陣は青柳晃洋がメジャー挑戦を表明しており、西勇輝もベテランの域に達している。
畠は先発とリリーフ、どちらも経験のある投手。どのような起用法となるのか定かではないが、貴重な戦力を獲得したと言えそうだ。
横浜DeNAベイスターズ
横浜DeNAベイスターズは、1巡目で阪神タイガースの浜地真澄を指名。2022年に一軍で52試合に登板した右腕が、今季日本一のチームに移籍する。
片やDeNAから移籍となったのは、先発やリリーフとして活躍した上茶谷大河。福岡ソフトバンクホークスから指名を受け、パ・リーグ王者の一員に加わる。
浜地は、福岡大大濠高から2016年ドラフト4位で阪神に入団。高卒3年目の2019年に一軍デビューを果たすと、2022年には52試合に登板し、22ホールドポイント(1勝3敗21ホールド)、防御率1.14という抜群の安定感を見せた。
しかし、その後は不安定な投球が続いた。今季は一軍で18試合に登板し、防御率2.11の成績を残したが、ビハインドでの投球が多かった。
とはいえ、2022年の投球を見れば実力があることは確か。また、DeNAは投手力が課題となっており、特に今季はリリーフ陣が手薄だった。
J.Bウェンデルケンや上茶谷が抜けた今、浜地はチームの大きな戦力となり得る存在だ。
中日ドラゴンズ
中日ドラゴンズは、1巡目で東北楽天ゴールデンイーグルスの伊藤茉央を指名。プロ2年目の若手右腕だが、新たな環境に身を置くこととなった。
一方、高卒8年目の石垣雅海が千葉ロッテマリーンズから指名を受け、チームを離れることになった。
伊藤は、東京農業大北海道オホーツクから2022年ドラフト4位で楽天に入団。プロ1年目から一軍で25試合にリリーフ登板し、防御率3.27の成績をマークした。
しかし、プロ2年目の今季はわずか6試合の一軍登板で防御率7.94という数字に。とはいえ、ファームでは安定した投球を披露し、41試合の登板で防御率2.64の成績を残した。
右のサイドハンドから繰り出されるシンカーを武器としている伊藤。中日はリリーフ陣が強力だが、伊藤のようなタイプはいないため、貴重な存在とも言える。
制球力の改善次第では、鉄壁リリーフ陣の一角に割って入れる可能性は十分にある。
東京ヤクルトスワローズ
東京ヤクルトスワローズは、1巡目で広島東洋カープの矢崎拓也を指名。一軍で活躍した実績のあるリリーフ投手が、活躍の場を移すことになった。
その一方、在籍3年間でわずか2試合の一軍登板にとどまっていた柴田大地が、東北楽天ゴールデンイーグルスから指名を受けて移籍。東北の地で、再スタートを切る。
矢崎は、慶応大から2016年ドラフト1位で広島東洋カープに入団。しかし、プロ入り後の5年間は芽が出ず、苦しい期間が続いていた。
そんな中、プロ6年目の2022年にブレイクを果たす。同年は一軍で47試合にリリーフ登板し、19ホールドポイント(2勝0敗1セーブ17ホールド)、防御率1.82の好成績をマーク。威力のあるストレートやフォークを武器に、ブルペンを支えた。
翌2023年は栗林良吏の離脱もあり、守護神を任された矢崎。同年は54試合の登板で4勝2敗、24セーブ、防御率2.81を記録し、気づけばチームに欠かせない存在となっていた。
今季も開幕から11試合連続無失点を記録するなど、順調なスタートを切った。だが、7月21日の阪神戦で1イニング6失点を喫し、ファームに降格。
以降は一軍のマウンドに上がることはなく、今季は26試合の登板で11ホールドポイント(1勝1敗10ホールド)、防御率3.60という成績に終わった。それでも、一軍での実績を見れば、実力は証明済みと言える。
また、移籍先のヤクルトは投手力が課題のチーム。リリーフ陣に目を向けても、エルビン・ロドリゲスやホセ・エスパーダの退団、ベテランの石山泰稚が36歳を迎えていることを考慮すると、決して楽な状況ではない。
上記の投手事情を踏まえれば、矢崎の加入はプラスに働く可能性が大いにある。実績あるリリーフ右腕として、新天地で輝きを取り戻す姿に期待したい。
【了】