バナナってどんな果物?
バナナとは?
バナナは、世界中で愛される果物で、その甘さと手軽に食べられる点が魅力です。熱帯地域を中心に栽培され、東南アジアが原産地とされています。バナナの木に見える部分は仮茎(かけい)と呼ばれるもので、分類としては草の一種のため、定義上はバナナも野菜と言えます。
バナナは皮をむくだけで食べられるため、忙しい朝やおやつにぴったり。栄養価も高く、カリウムやビタミンB群、食物繊維が豊富で、エネルギー補給におすすめです。健康維持のために日常的に取り入れたい果物ですね。
バナナはどれくらい種類がある?
バナナは、全世界で300種類以上も存在するといわれており、大きく生食用バナナと調理用バナナに分けられます。日本では主にキャベンディッシュ種が一般的に流通しており、スーパーなどで見かけるほとんどがこの品種です。また、小さく甘みが強いモンキーバナナや皮が赤いモラードなど、バナナにはさまざまな種類があり、それぞれの地域で特徴のある味わいを楽しめます。
生食用バナナの品類9選
生食用バナナの品類
ジャイアント・キャベンディッシュ
ジャイアント・キャベンディッシュは、日本で最も一般的に流通している品種で、世界中のバナナ市場の約50%を占めるほど人気の高いバナナです。特徴としては、厚めの皮に覆われた黄色い果皮で、甘みが強く、さっぱりとした風味が楽しめます。また、滑らかな食感も特徴で、デザートや朝食としてそのまま食べるのに最適です。
特に、標高400m〜1000mの高地で栽培されたものは「高地栽培バナナ」といわれ、甘味がより強いといわれています。ジャイアント・キャベンディッシュの旬は特に決まっておらず、一年を通じて安定して流通しています。フィリピンやエクアドルなどの温暖な地域から輸入され、日本の食卓に欠かせないフルーツとして親しまれています。
グロス・ミッチェル
グロス・ミッチェルは、かつて世界中で愛されていたバナナで、特に昭和時代中頃まで日本でも非常に人気がありました。特徴としては、バナナ特有の強い香りが少なく、上品な甘さとクリーミーな口当たりが魅力です。果皮は薄く、一部の人は皮ごと食べることもあるほどです。食感はもっちりとしており、甘さがしっかりと感じられるため、懐かしい風味に涙を流す人もいるんだとか。
グロス・ミッチェルは、1950年代にパナマ病という病気で多くの産地が壊滅し、世界的には一時姿を消してしまいました。しかし、日本では岡山県の企業が凍結解凍覚醒法を用いて耐寒性を持つグロス・ミッチェルを栽培することに成功し、現在は国内で少量ながら流通しています。グロス・ミッチェルは温暖な気候であれば、通年で楽しむことができます。
モラード
モラードは、スペイン語で「紫色」を意味する名前を持つ、ちょっと珍しい外観のバナナです。フィリピンのミンダナオ島で栽培されるこのバナナは、赤みがかった果皮が特徴的で、通常の黄色いバナナとは一味違う印象を与えます。外見は変わっていますが、果肉の色は黄白色で、一般的なバナナと大きくは変わりません。
モラードの味は、甘みと酸味のバランスが絶妙で、後味はすっきりとしています。食感はもちもちとしていて、ねっとりした食感が苦手な人にもおすすめです。酸味は控えめですが、甘さも十分にあり、フレッシュな風味を楽しめるバナナです。モラードも一般のバナナと同じく一年中楽しむことができます。
北蕉
北蕉は、主に台湾で栽培される品種で、そのまま台湾バナナと呼ばれることもあります。実は太く短めで、果肉は非常に濃厚でねっとりとした食感が特徴です。味わいは甘さが強く、酸味は控えめで、どこか懐かしい風味があります。フィリピン産のバナナに比べると流通量が少なく、日本では希少です。
台湾では一年を通じて収穫が可能な品種です。
ラカタン
ラカタンは、フィリピンで広く栽培されている人気の高いバナナの品種で、特徴的な明るいゴールドの皮と、やや小ぶりなサイズが印象的です。一般的なジャイアント・キャベンディッシュに比べて少し小さく、果肉にはクエン酸が多く含まれており、ほのかな酸味とさっぱりとした風味が魅力です。酸味があるため、他のバナナに比べて軽やかな後味が楽しめます。
見た目は鮮やかな黄色で、フィリピンのバナナの代表的な品種として知られており、日本でも流通しています。デザートとしてそのまま食べるのはもちろん、スムージーやスイーツの材料としてもよく使われます。ラカタンは、フィリピンでは一年を通じて収穫が可能です。
三尺バナナ
三尺バナナは、背丈が約90センチほどの木に実をつけることからその名が付けられた、沖縄などで親しまれているバナナの品種です。一般的なジャイアント・キャベンディッシュよりも小さく、果実もやや短めです。その見た目は可愛らしく、果肉はもちもちとした食感で、甘みと酸味のバランスが取れた豊かな風味が楽しめます。熟すと黄色くなり、シュガースポットが出てきた頃が食べごろで、特に追熟が進んだものは爽やかな酸味が特徴です。
三尺バナナは、一年中収穫可能ですが、特に夏場に多く出回ります。冷蔵庫に入れると低温障害を起こすため、風通しの良い場所で保存し、追熟を促すにはリンゴと一緒に保存するのが効果的です。食べきれない場合は、皮をむいて冷凍保存し、ヨーグルトやアイスに加えて楽しむのもおすすめです。
ラツンダン
ラツンダンバナナはフィリピンで食べられているバナナの一種で、アップルバナナと呼ばれることもあります。国内ではあまり流通していないため、珍しい品種です。特徴的なのは、その小ぶりでずんぐりとした形状と、薄い皮です。サイズは普通のバナナの約6割程度の大きさで、セニョリータよりも少し大きく、長さは10~14センチ、直径は約3センチほどです。
果肉は白く、食感は粘りがありモチっとしているのが魅力です。甘味だけでなく、程良い酸味があり、さっぱりとした後味を楽しめます。この甘味と酸味のバランスが、ラツンダンならではの特徴です。皮が薄いため、輸送時に裂けやすい傾向があります。ラツンダンは、フィリピンでは年間を通じて収穫されています。
島バナナ
島バナナには明確な定義がなく、沖縄県や小笠原諸島で栽培される小型のバナナを島バナナと呼んでいます。果実の重さは100~150グラム、長さは約7~9センチとコンパクトで、太く短く、ずんぐりとした形が可愛らしい愛らしい見た目をしています。
皮は薄く、熟すと緑から鮮やかな黄色に変わります。果肉は濃い黄色で、もっちりとした食感と、甘みと酸味のバランスが絶妙で、まるでリンゴやキウイのような爽やかさが感じられます。完熟すると、バナナらしい濃厚な甘さに加え、リンゴのような香りも楽しめるのが特徴です。ラツンダンバナナと同じ品種、近縁種であるといわれています。
セニョリータ(モンキーバナナ)
セニョリータは、フィリピンを原産地とする小さなサイズのバナナで、別名「モンキーバナナ」としても知られています。一般的なバナナに比べて長さが7〜9センチほどと短く、可愛らしい外観が特徴です。果皮は薄く、熟すと甘い香りが漂い、果肉はもっちりとした食感が楽しめます。寒暖差の大きい高地(標高500メートル以上)で栽培されるため、甘みが強く、酸味が少ないのが魅力です。
セニョリータは通年を通して収穫されますが、日本では輸入量が少なく、見つけるのは少し難しいかもしれません。
調理用バナナ(プランテン・プランテイン)の品類4選
調理用バナナは、普段食べる生食用バナナとは異なり、加熱してから食べるのが特徴のバナナです。プランテン・プランテインとも呼ばれ、生食用バナナとは区別されて販売されています。
緑色の硬い皮やでんぷん質が多い果肉を持ち、蒸す、焼く、揚げる、煮るといったさまざまな調理方法で楽しめます。甘さは控えめで、ホクホクとした食感が魅力。じゃがいもやサツマイモのような風味があり、カレーの具材やポテトフライの代わりとしても使われています。
調理用バナナの品類
ツンドク
ツンドクは、フィリピンを代表する調理用バナナの一種で、一般的なバナナ(ジャイアント・キャベンディッシュ)よりもかなり大きく、緑色の厚い皮が特徴です。1本の重さは500グラム以上にもなり、長さも30センチほどと、通常のバナナの約1.5〜2倍ほどのサイズです。その独特な形状からホーンバナナや牛角バナナとも呼ばれています。
ツンドクは、生では食べられないため、加熱調理して楽しむのが一般的です。揚げたり、茹でたりすると、ほくほくとした食感が楽しめ、サツマイモのような風味が広がります。素揚げにして塩をかければポテトフライ風に、砂糖をまぶせば大学芋のような甘さが楽しめます。天ぷらにしてもおいしく、ほんのりとした酸味がバナナの風味を感じさせます。ツンドクはフィリピンを中心とした地域で一年を通して流通しています。
カルダバ
カルダバは、フィリピンやマレーシアで広く使われている調理用バナナです。特徴的な外観として、角ばった形状と厚い緑色の皮が挙げられます。バナナ自体は通常のバナナよりも太く、しっかりとしており、皮が黄色くなると甘味が増してきます。
熟すと果肉はしっとりし、加熱するとホクホクとした食感が強まり、まるで芋のような味わいが感じられます。炒めたり揚げたりすると、甘味が引き立ち、酸味も少し出てきます。カルダバは一年を通して市場に出回っており、日本でも5月下旬から6月上旬頃に購入できることが多いです。
リンキット
リンキットは、フィリピン産のバナナで、独特の外観が特徴です。果実同士がぴったりとくっつき、まるで手を合わせたように見えることから、合掌バナナやプレイングハンズバナナとも呼ばれています。1本の長さは約15センチ、幅は3〜5センチほどです。
熟すと黄色くなり、生食でも楽しめる甘さと酸味のバランスが特徴です。味は濃厚で、ねっとりとした食感があり、一般的なバナナよりも酸味が強めです。
リンキットは、年中出回っています。
サバ
サバは、フィリピンや東南アジアで広く親しまれている調理用バナナの一種で、太く短い形状が特徴的です。果皮は厚く、熟すと緑色から黄色に変わります。未熟な状態では特に硬く、甘みが少ないことから、そのまま食べるのではなく、主に煮る、揚げる、蒸すなどの加熱調理が必要です。味はバナナというより、甘さの少ないサツマイモに近く、ホクホクとした食感が楽しめます。
特にバナナキューやトゥロンといったフィリピンの伝統的なおやつや、バナナチップスの材料としてよく利用され、キャラメルの甘さがついたおやつに最適です。また、花や葉も食材として使われ、バナナ全体が料理に生かされる点も特徴的です。サバは通年を通して手に入るのが魅力です。
まとめ
バナナには、私たちが普段食べている生食用バナナから、料理に使う調理用バナナまで、多種多様な種類が存在します。例えば、ジャイアント・キャベンディッシュのような食べやすい品種から、ツンドクやサバのように調理して食べるものまで、それぞれの特徴に合わせて楽しむことができます。