国家公務員には、国会や裁判所、財務省や文部科学省をはじめとした各省庁の職員のほか、自衛官や刑務官など実にさまざまな職種があります。一般的に「安定した職業」と言われますが、平均年収はどれくらいあるのでしょうか?

国家公務員には、国会や裁判所、財務省や文部科学省をはじめとした各省庁の職員のほか、自衛官や刑務官など実にさまざまな職種があります。一般的に「安定した職業」と言われますが、平均年収はどれくらいあるのでしょうか?

この記事では人事院の「国家公務員給与等実態調査結果」などをもとに、国家公務員の平均年収を詳しく見ていきます。

※本記事の平均年収は、各出典元の月額給与などから算出したものです。また、1万円以下の桁数は適宜四捨五入しています

◆国家公務員の平均年収は約680万円!

初めに、国家公務員の平均年収を見てみましょう。

国家公務員の平均給与月額と平均年収

令和5年の「国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の俸給(基本給)は33万円で、各種手当などにより平均給与月額は41万2747円となっています。これをもとに算出すると、国家公務員の平均年収は約681万円となります。

◆国家公務員の年収は、直近5年間でどう推移している?

次に、2020~2024年の国家公務員の年収を見てみましょう。

国家公務員の平均年収の推移

直近5年間は、国家公務員の年収は680万円台で推移しています。大きな変化がないことから、国家公務員の年収は安定していると言えそうです。

◆国家公務員の年収は、勤続年数とともに着実にアップ!

次に、年代別・学歴別で国家公務員の年収を比較してみましょう。

年代別・学歴別の国家公務員の平均年収

国家公務員の年収を年代別に見ると、40代前半までは5年ごとに60万~70万円ずつ上昇して、40代で700万円近くにのぼります。「56歳以上60歳未満」で約837万円とピークを迎え、60歳以上も800万円前後を維持している傾向です。

また、学歴によって大きな開きがあるように見えます。最も年収差のある「48歳以上52歳未満」の年齢層を見ると、「高校卒」は約746万円、「大学卒」は約827万円、「大学院修了」は約904万円となっており、高校卒と大学院修了では150万円程度の差があります。

なお、国家公務員の給与は法律により「俸給表」によって定められています。これは勤続年数に応じて上がる「号俸」と、職務階級に応じて上がる「級」で俸給額を表しています。

学歴によって差はあるものの勤続年数や階級に準じて給与が上がる、いわゆる年功序列の仕組みということが分かります。

◆国家公務員の年収は職種によって1000万円以上の違いがある

ひとくちに国家公務員と言っても、その職種はさまざまです。次に国家公務員の年収を代表的な職種ごとに見てみましょう。

職種別の国家公務員の平均年収

国家公務員の年収は職種によって大きく異なるようです。最も高いのは事務次官などの「指定職」で年収は約1700万円、次いで「医療職」は約1385万円となっています。

一方で、専門職ではなく官公庁などで行政事務を担う「行政職」や、「公安職」「税務職」は約600万~700万円となっており、職種によって1000万円以上の違いがあることが分かります。

◆国家公務員の年収は、給与所得者全体と比べて高め

最後に、国家公務員と地方公務員、また民営事業所(給与所得者)全体の年収を比較してみましょう。

国家公務員・地方公務員・民営事業所の平均年収

なお、地方公務員には県庁や市役所の職員、警察官や消防官などが含まれます。ここでは、前出の人事院の調査結果および、令和5年の総務省「地方公務員給与実態調査」と厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに比較してみました。

国家公務員(行政職)の年収が667万円なのに対し、地方公務員(行政職)は668万円となっておりほぼ同額でした。一方で民営事業所(給与所得者)全体の平均年収は545万円ですから、公務員の年収は高いと言えるでしょう。

ここまで具体的な数字で見てきたように、国家公務員の平均年収は比較的高いことのほか、年齢とともに着実に給与が上がっていくことが分かりました。「公務員は安定している」と言われるのも納得の結果と言えそうです。

(監修:酒井富士子/経済ジャーナリスト・オールアバウトマネーガイド)

文=All About 編集部