悔し涙を流す佐々木翔(左から2人目)[写真]=J.LEAGUE

 涙をこらえきれなかった。「ガンバの選手たちとの握手までは保ててたんですけど、それが終わってからは……」。キャプテンのDF佐々木翔が敗戦後のピッチで悔し涙を流した。
 
 明治安田J1リーグで2位のサンフレッチェ広島は8日に行われた最終節でガンバ大阪と対戦し、1-3で敗戦。勝ち点差「1」で首位のヴィッセル神戸も勝利したため、広島の逆転優勝は叶わなかった。フル出場した佐々木は試合後、「非常に悔しいの一言です」と心境を口にし、「やっぱり先制点が大事だし、自分たちもチャンスを決めきらないといけなかった」と悔しさを滲ませた。

 試合終了のホイッスルが鳴ったあと、広島の選手たちが泣いていた中で、佐々木は肩を落としつつチームメイトを労った。「声をかけたというより、タッチやハグで多くのことが伝わると思うし、みんなが覚悟を持って1年間やってきて、その集大成がこういう試合になってみんな悔しいと思う。それを自分たちがわかった上での行動だったので、チームの大切さや素晴らしさをお互いに表現したシーンだったと思う」と振り返った。

 ただ、G大阪の選手との握手が終わると、佐々木も悔しさをこらえきれずにピッチで泣き崩れた。「僕は涙もろい方ですよ。でも泣きたくないんで、感動するドラマとかは見ないですけど」。ミックスゾーンに現れたキャプテンはすでに悔しさを胸にしまって、いつものように気丈に振る舞っているようだった。

「『背負ってるもの』と言ったら、おこがましいけど、みなさんの力、広島のスタジアムに集まってくれたみなさんの力を、僕らは背負って戦っているつもりだったし、引退する選手たちに個人的な思い入れも相当強かった。だからこそ、チャンスがあったぶん、結果を出せなかったのが非常に悔しかった。この歳になって、あんな感じになるとは自分でも思ってなかった」

 ミヒャエル・スキッベ監督が就任して3年目。昨季まで2年連続の3位だったが、今シーズンは最後まで優勝をかけて戦い、首位と勝ち点差「4」の2位で終わった。佐々木は、「もちろん優勝できなかったのは非常に悔しいけど、2位自体は胸を張っていいと思う」と前を向き、その先を見据える。

「この3年間で自分たちのサッカーを磨き続けてきて優勝争いができるとこまで来たと思うので、さらに磨くために全員が当事者としての意識を持って戦わないといけない。特効薬なんてあるわけではないので、日頃から自分たちが意識してやることが大事だと思う」

 この日流した涙をそれぞれが糧にして来季へとつなげていく。広島のキャプテンは、「いかに気持ちを持ってやれるかが、このチームを強くするし、個々の能力の向上につながっていくと思う。そこはだいぶ歳上なので引っ張っていきながら、声をかけながらやっていきたい」と話し、力強い言葉で締め括った。「もっともっとこのチームは強くなれる」。