ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームは12月6日、訪日外国人観光客向けのナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」の利用状況から、訪日外国人旅行者が訪れる人気の温泉地の分析結果を発表した。
訪日外国人旅行者の市場別人気温泉地TOP5(アジア、欧米豪)
アジアからの旅行者に最も人気の温泉地は、大分県由布市の由布院温泉で、欧米豪からの旅行者には神奈川県箱根町の箱根湯本温泉が最も人気の温泉地となった。
アジアは、直行便が就航している空港からも比較的アクセスしやすい温泉が上位になっており、欧米豪は主要空港から少し離れた中部や日本海側の温泉も上位にランクインしている。アジアで1位の由布院温泉の周遊状況を確認すると、福岡県からの移動が最も多いことから、アジア各国から福岡を起点に、空港や港から公共交通機関を利用して訪れることのできるアクセスの利便性が人気の一因と考えられる。
同様に、欧米豪で1位、アジアで2位にランクインした箱根湯本温泉の周遊状況を確認すると、東京からの移動が最も多いことがわかる。東京から公共交通機関で行きやすい場所にあるという立地が、上位にランクインした要因の1つであることが結果からうかがえる。
温泉地内での周遊状況を見ると、アジアで3位の登別温泉では、のぼりべつクマ牧場にも訪れている様子が見られた。欧米豪で2位の湯田中渋温泉郷では、冬には野生ニホンザルが温泉に浸かる様子を観察できることで知られる地獄谷野猿公苑にも訪れていることが滞在データから確認できた。
国別の訪日外国人滞在者数ランキングTOP5(韓国、中国、オーストラリア)
実際に温泉地を訪れている外国人旅行者の来訪状況を国別に分析した。アジア・欧米豪のうち、上位の温泉地に特徴が見られた、韓国、中国、オーストラリアの各国から温泉地を訪れた分析結果を紹介する。
訪日外国人滞在者数ランキングTOP5(韓国)
韓国からの旅行者が最も多く滞在している温泉地は、大分県由布市の由布院温泉だった。2024年7-9月期のインバウンド消費動向調査の結果を見ても、韓国国籍の旅行者は福岡空港入国が23.0%と関西国際空港に次ぎ多く、福岡からの移動の利便性が滞在数を押し上げている一因と考えられる。
また、滞在データを見ると由布院駅から宿泊施設や商店街の並ぶ駅前・由布見通りを進み、湯の坪街道・たけもと通りを経て金鱗湖周辺にも滞在していることがわかる。由布院温泉観光協会によると「由布岳の麓にある金鱗湖は、湖の中に立つ鳥居や、秋から冬の早朝に朝靄に包まれる景色の写真がSNS等で話題になり、外国人旅行者に人気のようだ」とのこと。今回の国別分析においては、韓国の旅行者は商店街での買い物に加え、SNSで話題となっている自然豊かなスポットにも高い関心を寄せていることがうかがえる。
訪日外国人滞在者数ランキングTOP5(中国)
中国からの旅行者が最も多く滞在している温泉地は、和歌山県白浜町の南紀白浜温泉だった。南紀白浜温泉へは大阪・京都・和歌山からの移動に加え、那智勝浦町から白浜町への移動も確認できる。
また、滞在データを見ると、南紀白浜温泉の周辺にある観光スポットにも滞在が確認でき、宿泊施設や白浜銀座商店街などを中心に、白い砂浜の白良浜、太平洋を臨む巨大な岩盤の千畳敷への滞在が多いことがわかる。白浜町観光課によると「以前からアジア圏、特に中国の方の訪問は多かったが、2024年は段違いに増えている。特に白良浜は中国だけでなく、欧米豪の旅行者からも人気で、海水浴シーズン後もたいへん賑わっている。また、露天風呂の崎の湯にも、朝8時前から入浴に訪れる中国からの旅行者もいるほど」とのこと。今回の国別分析においては、中国からの旅行者は温泉地周辺で買い物や自然景観を楽しむ様子が見受けられる。
訪日外国人滞在者数ランキングTOP5(オーストラリア)
オーストラリアからの旅行者が最も多く滞在している温泉地は、1位 神奈川県箱根町の箱根湯本温泉だった。2位から4位の温泉地を見ると、長野県山ノ内町の湯田中渋温泉郷、長野県野沢温泉村の野沢温泉、北海道ニセコ町のニセコ温泉郷と、すべてスキー場が隣接する温泉地という共通点がある。
野沢温泉マウンテンリゾート観光局によると、「オーストラリアでは夏の時期に日本は冬となるため、夏季休暇を利用して滞在する方が非常に多い。冬季のピーク時は月単位の長期滞在者や、ワーキングホリデーを利用して就労する方など、野沢温泉村の村民のように過ごされる方もいるほど」とのこと。今回の国別分析においては、オーストラリアからの旅行者は、温泉とスキーなどのウィンタースポーツを楽しんでいることが推察される。