ウェザーニューズは12月4日、2025年春の花粉シーズンに向け「第2回花粉飛散予想」(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)を発表した。
飛散開始時期:2月上旬から東海や関東、九州北部でスギ花粉の飛散開始
スギの雄花は冬の寒さを経験することで休眠から目覚め(休眠打破)、寒さがピークを過ぎて暖かくなると花粉を飛ばし始める。このため、冬の適度な寒さと春の気温の上昇が飛散開始のタイミングを左右する。
花粉の飛散開始時期に影響する12月から2月の気温は西日本で平年よりやや低い~平年並、東日本や北日本で平年並~高い傾向で、2025年春の花粉の飛散開始は過去10年の平均と比べると西日本では同等、東日本や北日本では早くなる見通し。
2月上旬には東海の一部でスギ花粉の飛散が始まり、次いで関東や九州北部でも飛散開始となる予想。2月中旬になると西日本と東日本、さらに東北南部太平洋側の地域で飛散が開始する予想。その後、3月上旬にかけて東北の各地でも飛散が始まるとみられる。北海道のシラカバ花粉は4月中旬からの飛散になりそうだという。なお、詳細な飛散開始時期は1月以降の気象動向に大きく左右されるため、最新の情報にて確認を。
本格飛散時期:スギ花粉は2月中旬、ヒノキ花粉は3月中旬から本格的に飛散
スギ花粉が本格的に飛散するのは九州で2月中旬~3月上旬、中国・四国や東海、関東・山梨は2月中旬~3月中旬、近畿では2月下旬~3月中旬の予想。北陸・長野や東北南部では2月下旬~3月下旬、東北北部では3月上旬~4月中旬になるとみられる。
3月中旬に入るとスギ花粉の飛散は徐々に収まり、代わって西日本や東日本ではヒノキ花粉の飛散が多くなる。ヒノキ花粉が本格的に飛散するのは九州や中国・四国で3月中旬~4月上旬、近畿や東海、関東・山梨で3月下旬~4月中旬、北陸や東北南部は4月上旬~中旬とみている。ただ、北陸や東北南部ではヒノキの樹木が少ないため、スギ花粉に比べると飛散量が少なくなる見込みだという。北海道でシラカバ花粉の飛散が本格化するのは4月下旬~5月中旬の予想で、ちょうどゴールデンウィークと重なる見通し。
飛散量:西・東日本で平年を上回る予想、西日本は過去10年で最多に匹敵するおそれ
2025年春の花粉飛散量は、西日本や北陸、関東北部で2024年を大きく上回り、北日本では下回る地域が多い予想。西日本では2024年の飛散量が非常に少なかったため、2024年比で800%を超える地域もあり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する飛散量になるとみている。
一方、東北北部や北海道では2024年の飛散量が多かったため、2024年比で50%を下回る地域がある。東北南部や関東南部、甲信、東海の一部では2024年並の飛散量と見込んでいる。全国平均では2024年比171%となる予想。
平年(2015~2024年の平均飛散量)と比べると、西日本や東日本、東北太平洋側では平年を上回る地域が多く、特に西日本では200%を超える地域もある。東北日本海側や北海道は平年並の地域が多い予想。全国平均では平年比170%となる予想。
エリア別の2025年花粉飛散予想
北海道:4月中旬から飛散開始、飛散量は前年比で半減
冬から春の気温は平年より高くなる傾向で、4月以降の寒さが緩むタイミングでシラカバ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均と比べるとやや早くなる予想で、道南や道央など早い所では4月中旬、その他のエリアでも4月下旬から5月にかけてシラカバ花粉のシーズンに入るとみている。本格飛散は道南や道央でゴールデンウィーク前後、道北や道東では5月上旬~中旬で、5月下旬になると段々と飛散量は少なくなる見込み。例年、北海道では飛散開始後、数日で本格的な飛散となる傾向があるため、4月に入ったら対策を始めることが推奨される。
シラカバ花粉の飛散量は前年、平年を大きく上回り、2025年は前年の反動で飛散量が少なくなる「裏年」になる見込み。2025年春のシラカバ花粉の飛散量は前年の48%、平年の84%となる予想。
東北北部:2月中旬~3月上旬に飛散開始、飛散量は大幅減も平年を上回る
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで平年並~やや低くなり、1月は平年並~やや高くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散開始時期に影響が大きい2月から3月初めの気温は平年より高くなる予想で、寒さが緩むタイミングで太平洋側からスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均よりも早く、2月中旬~3月上旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は3月上旬以降と見込んでいるが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。4月中旬以降は飛散量が段々と少なくなる見込み。
2025年は前年の反動で飛散量が少なくなる「裏年」になる見込み。2025年春の花粉の飛散量は前年の60%、平年の112%となる予想。前年に比べて飛散量は減少するものの、平年を上回る水準となる。なお、東北北部ではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しない。
東北南部:2月中旬~下旬に飛散開始、飛散量は平年を上回る予想
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで平年並~やや低くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。1月以降は徐々に寒気の流入が平年より弱くなる傾向のため、飛散時期に影響が大きい2月の気温は平年より高くなる予想で、寒さが緩むタイミングで太平洋側からスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均よりも早く、2月中旬~下旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は2月下旬~3月下旬と見込んでいるが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。ヒノキ花粉の本格飛散は4月上旬~中旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
過去の飛散傾向と夏の気象条件から、2025年の飛散量は前年の飛散量とほぼ同等となる見込み。2025年春の花粉の飛散量は前年の109%、平年の146%となる予想で、平年を上回る水準となる。なお、東北南部ではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉の飛散は比較的少ない傾向だという。
関東・山梨:2月上旬~中旬に飛散開始、飛散量は平年を上回る予想
12月の気温は寒気の影響を受けることで平年並となり、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散時期に影響が大きい1月から2月の気温は平年より高くなる予想で、寒さが緩むタイミングでスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均よりも早く、2月上旬~中旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は2月中旬~3月中旬と見込んでいるが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。ヒノキ花粉の本格飛散は3月下旬~4月中旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
2025年春の花粉の飛散量は前年の142%、平年の155%となる予想で、特に北部を中心に前年の反動で飛散量が多くなる見込み。北部では前年・平年を上回る飛散量となり、南部では前年並ではあるものの平年を上回る飛散量となる予想。
北陸・長野:2月中旬から飛散開始、「表年」傾向で飛散量は大幅増
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで、平年並~やや低くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散時期に影響が大きい1月から2月の気温は平年よりやや高くなる予想で、寒さが緩むタイミングでスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均よりも早く、2月中旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は2月下旬~3月下旬と見込んでいるが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。ヒノキ花粉の本格飛散は4月上旬~中旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
2025年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になる見込み。2025年春の花粉の飛散量は前年の176%、平年の156%となる予想。前年よりも飛散量が大幅に増加するとみている。なお、北陸エリアではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉の飛散は比較的少ない傾向だという。
東海:2月上旬~中旬に飛散開始、飛散量は前年・平年を上回る予想
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで、平年並~やや低くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散時期に影響が大きい1月から2月の気温は平年よりやや高い~高い傾向で、寒さが緩むタイミングでスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均よりも早く、2月上旬から中旬にかけて広範囲で花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は2月中旬~3月中旬の見込みだが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。ヒノキ花粉の本格飛散は3月下旬~4月中旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
過去の飛散傾向と夏の気象条件から、2025年は前年の飛散量をやや上回る見込み。2025年春の花粉の飛散量は前年の121%、平年の152%となる予想。
近畿:2月上旬~中旬に飛散開始、過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで、平年よりもやや低くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散時期に影響が大きい1月から2月は段々と平年並~やや高い気温に変わる予想で、寒さが緩むタイミングでスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は概ね平年並で、2月上旬~中旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は2月下旬~3月中旬の見込みだが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。ヒノキ花粉の本格飛散は3月下旬~4月中旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
2025年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になる見込み。2025年春の飛散量は前年の302%、平年の213%となる予想。特に京阪神エリアでは前年の飛散量が平年の半分程度と少なくなったため、前年比で400%超、平年比で200%超となり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する飛散量になる予想。
中国・四国:2月上旬~中旬に飛散開始、過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで、平年よりもやや低くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散時期に影響が大きい1月から2月は段々と平年並~やや高い気温に変わる予想で、寒さが緩むタイミングでスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均と概ね同じで、早いところでは2月上旬から、広範囲では2月中旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格的な飛散は2月中旬~3月中旬の見込みだが、気温が高い状態が継続すると飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。ヒノキ花粉の本格飛散は3月中旬~4月上旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
2025年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になる見込み。2025年春の飛散量は前年の527%、平年の232%となり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する予想。特に瀬戸内地域では前年の飛散量が非常に少なくなったため、前年比で500%を上回り、800%を超える地域もある予想。
九州:2月上旬~中旬に飛散開始、過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ
12月の気温は強い寒気の影響を受けることで、平年よりもやや低くなる予想。そのため、休眠打破は適度に起こる見込み。飛散時期に影響が大きい1月から2月の気温は平年並の予想で、寒さが緩むタイミングでスギ花粉が飛び始める。花粉の飛散開始時期は過去10年の平均と概ね同じで、2月上旬~中旬に花粉シーズンに入ると予想される。スギ花粉の本格飛散は2月中旬~3月上旬、ヒノキ花粉の本格飛散は3月中旬~4月上旬で、その後飛散量が段々と少なくなる見込み。
2025年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になる見込み。2025年春の飛散量は前年の287%、平年の181%となり、過去10年で最も多いか、それに匹敵する可能性がある。前年比では400%、平年比でも200%を超える地域もある予想。