J.D. パワー ジャパンは、 J.D. パワー 2024年ホテル宿泊客満足度調査(SM) の結果を発表した。

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    J.D. パワー 2024年ホテル宿泊客満足度調査

18回目となる今回調査では、部門定義の見直しを行い、各ホテルグループ・チェーンの最多客室面積帯を基に、最多客室面積が35平方メートル 以上を「アッパーアップスケールホテル部門」、25平方メートル 以上35平方メートル 未満を「アップスケールホテル部門」、20平方メートル 以上25平方メートル 未満を「アッパーミッドスケールホテル部門」、15平方メートル 以上20平方メートル 未満を「ミッドスケールホテル部門」、15平方メートル 未満を「エコノミーホテル部門」として、5つの部門に分けて調査を行った。

調査は9月中旬~下旬、直近1年以内にホテルに宿泊した人(20歳~74歳)を対象にインターネットで行われた。調査回答者数は、アッパーアップスケールホテル部門952人、アップスケールホテル部門2,107人、アッパーミッドスケールホテル部門3,208人、ミッドスケールホテル部門3,407人、エコノミーホテル部門6,007人。

総合満足度ランキングは下記の通り。

【アッパーアップスケールホテル部門】(対象4ブランド)

第1位: オークラ(776ポイント)
第2位: ウェスティン(763ポイント)
第3位: シェラトン(761ポイント)

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【アップスケールホテル部門】(対象10ブランド)

第1位: インターコンチネンタルホテル/ANAインターコンチネンタルホテル(786ポイント)
第2位: ハイアットリージェンシー(779ポイント)
第3位: ニューオータニ(768ポイント)

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【アッパーミッドスケールホテル部門】(対象8ブランド)

第1位: ラビスタ(773ポイント)
第2位: OMO by 星野リゾート(762ポイント)
第3位: ANAクラウンプラザホテル(752ポイント)

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【ミッドスケールホテル部門】 (対象10ブランド)

第1位: リッチモンドホテルズ、ベッセルホテルズ(同点、726ポイント)
第3位: カンデオホテルズ(721ポイント)

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【エコノミーホテル部門】 (対象14ブランド)

第1位: スーパーホテル(712ポイント)
第2位: ヴィアインホテル(699ポイント)
第3位: コンフォート(695ポイント)

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宿泊料金は上昇するも、「料飲」とハード面の高評価に支えられ満足度は向上

好調なインバウンド需要に加え、人件費やエネルギー価格などコストの上昇を背景に、ホテル宿泊料金が高騰している。本調査でも、前回調査(2023年11月発表)と比較可能な38ブランドのうち*¹、半数近い18ブランドで宿泊料金の10%以上の上昇が確認された。

しかし、料金上昇が満足度全体に与える影響は限定的であった。前回調査では宿泊料金の大幅な上昇が主因となり、総合的な宿泊客満足度が大きく低下したが、今回調査では38ブランド中12ブランドで10pt以上の満足度向上が見られ、10pt以上低下したのは2ブランドのみだった。

宿泊客満足度を構成するファクター別では、「料金」は13ブランドで10pt以上満足度が低下し料金上昇の影響を避けられなかったものの、それ以外の主要ファクターでは、大半のブランドで前年と同レベル以上だった。特に、朝食を中心とした「料飲」では6割を超える25ブランドで、「客室」では18ブランド、「ホテル施設」では15ブランドと約4割のブランドで向上している。料飲の質向上への積極的な取り組みや、コロナ禍で遅れていた客室や施設のメンテナンスなどハード面での改善に取り組むホテルブランドが多い様子がうかがえる。

宿泊客のニーズが高い入浴施設や特色ある朝食

調査ではサービスやアメニティ14項目に対して、ホテルを利用する際の重要度を聴取。その結果、全ての部門で「温泉・浴場施設」「地域/地元の食材や特産品を使った朝食」「健康に配慮された朝食」が上位3位以内に挙がった。

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    ホテルを利用する際に重要だと思うサービスやアメニティ

特に「温泉・浴場施設」については、アップスケールホテル部門、エコノミーホテル部門を除く3部門で4割以上の宿泊客が重要と答えている。実際にこれらの施設を利用した宿泊客の割合は、アッパーアップスケールホテル部門とミッドスケールホテル部門でともに37%、アッパーミッドスケール部門で34%と、一定層の宿泊客にとっては魅力的な附帯サービスであると言えよう。

また朝食については、エコノミーホテル部門を除く4部門で、宿泊客の7割近くが「朝食で地域/地元の食材や特産品を使った料理・飲み物の提供があった」と回答している。加えて、前回調査と比較可能な38ブランドのうち半数はこの割合が5pt以上増加しており、こうした朝食内容の充実が、今回調査における「料飲」の満足度向上の一因となったことが推察される。

そのほか「自動チェックイン機」や「スマートチェックイン」といったセルフサービス型のチェックインの普及が進んでおり、「スマートチェックイン」は、5部門中4部門で重要だと思うサービスやアメニティの上位5位以内に挙げられている。セルフサービスでのチェックイン利用率(「自動チェックイン機」と「ホテルのアプリを使用したチェックイン」の合計)はエコノミーホテル部門で25%、ミッドスケールホテル部門で17%、アッパーミッドスケールホテル部門で12%となっている。