JR西日本は8日、大阪・関西万博のアクセスルートをパビリオンのように楽しめる323系車内空間演出「JR WEST Parade Train」の報道公開を実施した。大阪環状線・JRゆめ咲線(桜島線)の車両323系を使用し、桜島駅方面の先頭車両1両を改造したという。
大阪・関西万博の開催地を事業エリアとするJR西日本は、万博輸送を支える交通事業者として、波及効果の最大化に努めるとともに、イノベーションの実験場「JR WEST LABO」などデジタル技術を活用した「いままでにない体験や空間の提供」に取り組み、将来に向けた価値提供の基盤づくりを行うとしている。JR西日本グループのさまざまなアセットを活用し、PRすることで機運醸成も図る。
323系車内空間演出「JR WEST Parade Train」は、2022年4月の「JR WEST LABO」における共創のテーマとして空間演出アイデアを公募し、採択されたアイデアをもとに実証実験を行う。2編成導入予定としており、1編成目としてLS11編成の1号車「クモハ322-11」を改造した。車体ラッピングはデザインコンセプトの「オープンカーでパレードに参加するわくわく感」を表現。贈り物のリボンが開き、中から楽しいものが出てくるイメージでデザインしたという。
車内空間の演出に関して、映像コンテンツを表示するLEDパネルを客室上部の全体にわたって設置。窓上だけでなく、天井部分やドア横にも設置されている。車外の景色をリアルタイムに投影し、まるでオープンカーに乗っているような開放感を演出するほか、AR(拡張現実)技術を用いて「EXPO 2025 Design System」のストーリーに沿った演出も行う。パレードに加わっているかのような没入感のある映像体験により、万博への期待感を高めるとのこと。駅区間ごとに大阪をモチーフとしたキャラクターや、紙吹雪・花火・シャボン玉などのエフェクトを表示し、にぎやかに演出する。
報道公開の中で、空間演出アイデアを公募した2022年当時、コロナ禍の影響で「バーチャルで十分」という意見もある中、「外に出て移動するのは楽しい、体験することは素晴らしいということを知らせたい」との思いで公募がスタートしたと説明があった。完成した車両を見て、見ても楽しい、乗っても楽しい車両に仕上がっており、実際に乗って映像コンテンツを体験してみたいと思った。
323系車内空間演出「JR WEST Parade Train」の1編成目(LS11編成)は、12月14日から営業列車として大阪環状線・JRゆめ咲線を走る予定。続いて2編成目の改造を実施(デザイン等は1編成目と同じ)し、2月中旬頃から営業運転を行う予定だという。2編成とも改造後、大阪・関西万博の開幕までアイドリング映像と告知映像を表示しながら走り、4月13日から万博期間用の演出を開始する。なお、万博終了後、改造した車両の活用方法については検討中とのことだった。
JR西日本は大阪・関西万博の来場者輸送に関して、新大阪~桜島間で直通臨時列車を運行するとしており、323系車内空間演出「JR WEST Parade Train」も新大阪~桜島間の直通臨時列車に使用される。その他、JR西日本は桜島方面の乗換駅である西九条駅、夢洲方面へ向かう地下鉄(Osaka Metro)中央線への乗換駅となる弁天町駅、会場へ向かうシャトルバスへの乗換駅となる桜島駅などの整備も進め、駅の機能向上、安全性・利便性向上に努めるとしている。