JR東日本高崎支社は、列車制御システム・情報通信におけるメンテナンス業務のスマート化として、「特殊信号発光機視認性確認システム」導入など3つのシステム導入や取組みについて発表した。
同社はメンテナンス業務のスマート化に取り組んでおり、列車制御システム・情報通信のメンテナンスにおいても、ICTなど技術を活用した検査業務の省力化や設備の遠隔監視などを進めているという。現在、同社が取り組むスマートメンテナンスは3つあり、デジタル列車無線用漏洩同軸ケーブルにおける健全性確認システムの導入、近赤外線を使用した「特殊信号発光機視認性確認システム」の導入、列車検知用信号ボンドのメンテナンスにおける取組みを挙げている。
デジタル列車無線用漏洩同軸ケーブルにおける健全性確認システムは、電波の届かないトンネル区間や山間部において、異常時の緊急連絡手段として整備されている「漏洩同軸ケーブル(LCX)」の健全性を確認できるシステム。いままでLCXの健全性を監視する手段はなかったが、同システムの導入により、異常状態の早期知得ができ、設備の早期修繕が可能になるという。
近赤外線を使用した「特殊信号発光機視認性確認システム」は、踏切等で発生した異常を列車の運転士に知らせる特殊信号発光機「特発」の検査を省力化するシステム。近赤外線(IR)と画像処理技術を用いて、日中時間帯に走行する営業列車から映像を撮影し、その画像を解析することにより、「特発」の視認性を自動判定する。このシステムを導入することで、1回の列車走行による映像撮影を通して、撮影した全区間の検査を効率的に行うことが可能になる。
列車検知用信号ボンドのメンテナンスにおける取組みとして、列車検知を行うためレール側面に設置されている信号ボンドの取付状態を確認する「信号ボンドモニタリング」の運用を2021年10月から高崎線で開始している。これまで信号ボンドの取付状態を現地にて目視で検査していたが、「信号ボンドモニタリング」では営業列車の車載カメラで撮影した画像データをボンドモニタリング装置に取り込み、過去に撮影した正常なボンドと比較することで取付状態の良否判定を行っている。効率的に不具合箇所を発見でき、不具合箇所の早期修繕が可能になるという。
デジタル列車無線用漏洩同軸ケーブルの健全性確認システムは2025年度中の導入をめざす。「特殊信号発光機視認性確認システム」で撮影した映像の解析は今年度中に上越線で開始する。