俳優の中島健人が7日、千葉・幕張メッセで開催中の「東京コミコン2024」で行われたHuluオリジナル『コンコルディア/Concordia』の特別ステージに登壇した。
映画系情報番組では海外の映画人に通訳なしでインタビューを行うなど、英語が堪能な中島。本ドラマでも英語のセリフにも挑戦しているが、まずは「英語はどうやって学んだんですか?」という質問が。それには「僕はネイティブではないので。リスニングでまだまだだなと思うところはあるんですが、5年ほど前に、アカデミー賞の授賞式に行かせていただいて。その時にレッドカーペットでたくさんのセレブリティの方にインタビューをさせていただく機会を頂きました。間に通訳を挟むと時間が2倍になってしまうので、お話を聞ける人数が少なくなってしまうことを懸念して、25歳の時に無理やり英語を学んで。発音も矯正したりして、とりあえず話すという意識を持とうと思い、そこからスタートしました」と明かした。「周りにはネイティブの友達もいるので、そうした方々に指導していただきながら話したりしています」と付け加えた。
この日のイベント前には、「東京コミコン2024」のゲストとして来場しているジェイソン・モモアとの対面が実現。『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演しているモモアと、『コンコルディア/Concordia』に出演する中島。くしくも同じフランク・ドルジャーがショーランナーを務めるドラマに出演経験がある2人ということで、最初から意気投合した様子。さらにそこに「東京コミコン」のゲストとして来場していたアンセル・エルゴートも合流するなど、貴重な3ショットが実現した。映画好きな中島としては「『アクアマン』のジェイソンさんや、アンセルさんともお会いできて感激しました。アンセルさんと僕がジェイソンさんを挟んでピースしている楽しい3ショットが撮れたのでうれしかったです」と喜びを隠せない様子だった。
そんな彼にとって本作は海外ドラマデビューとなったわけだが、そのオファーの経緯とはなんだったのか。「『ゲーム・オブ・スローンズ』のフランク・ドルジャーがプロデュースするドラマをつくるにあたって、日本の技術者を演じることができる日本人はいないかと探していたみたいなんです。僕はちょうどその時、海外の仕事が増えていったタイミングで。僕が英語でインタビューをしている動画がネットにあがっていたんです。それでHuluのプロデューサーがフランクと話をして、健人がいいんじゃないかというふうにお話ししていただいて。今回の役が決まりました」と説明。「今考えてみたら、これまでやってきたひとつ一つの活動が、外国での活動に向けたオーディションのようになった感じがします」としみじみ語った。
当然ながら本作の脚本は英語で渡されたとのこと。「本当に難しい内容でした。最初はすべてを理解できたわけではないので、台本を1話1話、翻訳して。自分の中で理解を深めた上で、英語の芝居をしていきました。ただ難解なサスペンスなので、日本語でもきっと難しかったと思います。共演のナンナ・ブロンデルは、『わたしたちでも難しいセリフを健人はしっかりと覚えているから。頑張って』と言ってくれた」と振り返った。
ローマでの撮影はおよそ1カ月ほどだったそう。「現地ではコロッセオなどの遺跡をめぐったりと観光もしっかりとさせていただきました。スペイン広場を歩きながら「コンコルディア」のセリフを覚えたこともありましたね」と振り返った中島。またパスタ好きで毎日カルボナーラを食べていたという中島はスタッフから美味しいレストランを紹介されるなど、スタッフとも良好な関係を築いたようだ。「『ラ・カルボナーラ』というカルボナーラ発祥の店といわれるところにも行ってきて。そこの店主さんにサインを書いてくれと言われたので、天井に漢字で書きました。『コンコルディア』をこの年に撮影したんだぞということをプロモーションしたかったので、書かせていただきました」と語る。
本ドラマのチアリングソング「THE CODE」が選ばれた経緯について質問された中島は「ローマでの撮影の夜、フランクとHuluのプロデューサーなどの『コンコルディア』チームが『健人を招く会』をやってくれました。僕はこの『コンコルディア』に対して俳優だけでなく、音楽でも尽力できないかと思っていて。フランクに曲をやらせてもらえないかと相談してみたんですが、それはできないと。『ゲーム・オブ・スローンズ』の頃からポップスをドラマの主題歌に置いていないから、ごめんと言われたんです」と切り出した中島は「僕もその言葉に、そうだよなと思ったんですが、撮影中にいろいろなインスピレーションが湧いてきて。帰国後、僕だったら『コンコルディア』の楽曲はこうなるというイメージでつくってみたら意外といい感じになったので、それをそのまま送ったんです。そうしたらHuluのプロデューサーから短い動画が送られてきて、“劇中で使われたぞ”と。すごくうれしくて感激しちゃいましたね」と明かすと、会場から拍手がわき起こった。
その後スクリーンでは、この日のステージのために特別につくられたという『THE CODE』のスペシャルPVをスクリーンで上映。Huluオリジナル『コンコルディア/Concordia』の劇中のフッテージが次々と登場する映像に会場からも大きな拍手が。その映像を観た中島も「本当にありがたい。はじめて観たので(涙が出そうで)あぶないです……こんなすてきな映像を作っていただいてうれしいです」と感激の表情。さらに「実は中島健人本人のMVもつくっておりまして。その撮影が昨日あって。本当に『コンコルディア』に敬意を表したMVになっているので、ドラマと一緒に楽曲も楽しんでいただけたら」と呼びかけた。
そのエピソードを聞いたMCが「健人さんは愛されていますね……」としみじみ語り、「健人さんがいかにスタッフに愛されていたかということを証言するビデオが届いているので、皆さんにお見せしたいと思います」とコメント。スクリーンにはショーランナーのフランク・ドルジャーからのサプライズでのビデオメッセージが上映された。
「今日は健人と一緒に東京にいたかったけど、残念ながらパリにいます。健人、ビックリした?」と語るドルジャーは「健人に初めて会い、スタジオを案内しながら皆を紹介しました。健人の礼儀正しさとプロフェッショナルな態度にすぐに感銘を受け、彼の初日の振る舞いは撮影中ずっと変わりませんでした」と撮影中の中島の様子を証言。さらに「セリフが分かりにくかったりした時、健人は英語圏の俳優に聞いていました。俳優が俳優に助けを求めるのはまれで。その姿勢にとても感心しました。彼は自分に自信があるからこそ、他者から学ぶことができるのです」と感心した様子で語るドルジャー。中島の楽曲「THE CODE」についても「とても素晴らしかった。歌詞、曲調、演奏、全てがドラマのメッセージを捉えていて。そのシーンで真に伝えたいことを曲が補ってくれました。健人が時間を割いてこの曲を作り、演奏し、そして贈ってくれたことに深く感謝します」と称賛。そして「皆さんとお話しできて良かった。次回は直接会いましょう!」という言葉で締めくくられた。
そのメッセージを受け取った中島は「フランクはとても丁寧な方で。すべてのキャストに分け隔てなく、しっかりと接する方なんです。そして意見を聞いてくださる方。自分自身もこういうシーンを増やしたいという意見をはねのけずに、試してみようかと言ってくれる。スケジュールの都合でできないこともあったけど、でも今回の『THE CODE』も受け取って形に示してくれました。自分の夢をかなえてくれるプロデューサーなので。その寛大さで多くの方の夢をかなえてきたんだろうなと思います。『コンコルディア』が日本中、そして世界中に伝わるように尽力していかないとな、とフランクの言葉を聞いて思いました」と語った。
そして最後に「自分のターニングポイントになる作品が『コンコルディア』です。この撮影、ここで過ごした日々は忘れられないですし、今の中島健人が考えること、紡ぐ言葉にすべてつながっていると思います。一つのきっかけを作品を通じて伝えられるのは幸せです。しっかり最終話まで見届けていただきたいです。ここから広がっていくと思うので、ぜひとも『コンコルディア』の世界にお越しください!」と会場に呼びかけた。