中日と契約した三浦瑞樹  (C)Kyodo News

◆ ソフトバンク戦力外の左腕を獲得

 中日から狙うのはもう何匹目になったか分からないドジョウだ。12月3日、ソフトバンクを戦力外とったなり三浦瑞樹投手が名古屋市内の球団事務所で契約、年俸500万円でサインした。

 人材豊富な4軍制を敷く球団から引っこ抜いた。阪神の大竹耕太郎は2022年オフに現役ドラフトで移籍し昨季から2年連続で2桁勝利を達成した。

 同じ現役ドラフト組では昨オフに移籍した日本ハム・水谷瞬が今季、1軍初出場。交流戦のMVPに輝くなど97試合で打率2割8分7厘、9本塁打、39打点。年俸560万円(推定)から5倍増の2700万円で更改注目を浴びた。

 ほかにもある。FA移籍に関わる人的保証では日本ハムの田中正義が2年連続で20セーブをマーク。三浦と同じ戦力外からヤクルトへ移籍した小澤怜史は、直近3年間で計79試合登板した。

 ウエスタン・リーグでの三浦の成績が期待を膨らませる。今季、最優秀防御率投手に輝いた。育成入団し、今季初めて支配下登録を勝ち取った。だが、厚い壁に阻まれて、戦力外通告を受けた。育成での打診を断り、移籍の道を選んでいる。

「ホークスの方でこういう話(戦力外)がなければ、来年はやれるという自信があった。結果も残していた中で『もう1年、育成で』と言われた時に、自分の中ではなぜかというのが頭にあった。せっかくはい上がったのにそうなるなら、自分の中では他球団に行った方が勝負できると思ったのでドラゴンズを選びました。環境を変えるのもいいかなと」

 22年に東北福祉大からソフトバンクに育成4位で入団した。ルーキーイヤーは2軍で11試合で防御率は2.60。3年目の今季は7月に支配下登録を勝ち取り、1軍で5試合に登板し、無失点だった。

 井上一樹新監督も支配下契約を想像している。「今年2軍監督として、投げているのを見ていた。『育成でいいのがおるな』と思って見ていたんだよ。最初は育成だけども当然戦力として考えているし、キャンプでいいものを見せてもらいたい。いい選手をたくさん抱えているソフトバンクだから期待しています」とコメント。移籍をきっかけに花開いたプレーヤーに続いてくれることを願う。

 三浦は意気込む。「たくさんの選手の中で争いがあったからこそ今の自分がある。ホークスの選手からは『見返してやれ!』と今も言われています。しっかりと見返していきたい。キャンプまでやるべきことをやってキャンプの初日からしっかりとアピールできるようにこの時期やっていきたいと思います」

 まずは支配下選手への再昇格。目標はでっかく、MLBカブスの今永昇太。3年やっても、日本を代表するプレーヤーになる願望は色あせていない。突き抜けた負けん気が、左腕の未来を明るくするエッセンスになる。

文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)