『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1968年ジェンセン・インターセプタ―をレストアに出しているショップが急遽廃業すると聞いたジェームスの驚きと、その後に起きた幸せの連鎖についてお届けする。
【画像】レストア途中で救出されたジェンセン・インターセプタ―が新たなショップへ(写真3点)
8月16日のこと、私は一本の電話を受けた。マッシモ・オリンピからだった。私のジェンセンをレストアするために(そのときは2カ月で仕上げると言っていた)、2019年3月に彼に預けていたのだ。ようやくレストアが仕上がったという吉報かと思いきや、彼はなんと8月末で廃業することにしたという。ポッターズ・バーにあるオートスティロの工房は、それまでに片付けなければならなくなった。さもなければ、そこにあったものは永遠に失われてしまう。
私のスケジュールといえば、8月17日の早朝に家族旅行のため、コルシカ島に飛ぶことになっていた。しかもマッシモは8月末に廃業するというのに、私は9月3日まで戻ってこないという事実が加われば、すっかりパニックになったことはご理解いただけるだろう。大の大人が泣いてしまったほどだ。
その後に起きたことは奇跡といえるかもしれない。落ち込む前に(そして、すべての時間とお金のロスについて考える前に)、私にはやるべきことがあるはずだった。必死になって電話をかけたり、夜な夜な懇願すること想像したが、どこから手をつけていいのかわからなかった。そこで私は、D&Gアシストとルーデン・クラシックスで有名な、友人のルーク・ハーディングに連絡を取った。彼は英国のオークションレポート界の巨匠だ。車を安全に運び出し、私が帰国するまで保管するための最善策について、彼にアドバイスを求めた。
正直なところ、彼が個人的に助けてくれるとは思っていなかったが、彼はただこう答えてくれた。「休暇中にそんなストレスは必要ないだろ。電話番号を教えてくれよ、何とかするよ」と。なんとありがたいことだろう。
さらに、フルレストアを終えたばかりの私のトライアンフ2.5PIもお願いしたジェームス・ゴドフリー=ダンが、年明けになれば「大きなプロジェクト」の空白期間ができるかもしれない、と話していたことも思い出した。なので、もちろん彼にも電話をしておいた。
そして休暇先のビーチで私が音楽を聴きながら本を読んでいる間に、ルークがワゴンと彼のチームの1人を連れ、ポッターズ・バーから私の車を引き取ってくれた。引っ張り出すのはさぞ大変だったことだろう。彼らは持ち出せる限りのスペアパーツと一緒に、コヴェントリーに車を届けてくれた。キャンリー・クラシックスのデイヴ・ピアソンが車を預かってくれている間に、ジェイムズ・ゴドフリー=ダンがパーツの在庫を調べて、私のジェンセンを仕上げるための見積りも作成してくれている。
あの電話がかかってきたときには、こんなに順調に物事が進むとは想像もしていなかった。ここに掲載した写真が、預けている間の「5年間の進歩」とはとても言えない様子には気が滅入るものの、一般的にクラシックカーに関わる人々は最高の人たちであり、私はこの世界の一員であることに限りない喜びを感じている。今では自分のジェンセンについて、すっかり楽観的に感じている。レストアが2カ月で仕上がらないとわかった2019年6月頃以降は特に、だ。
文:James Elliott