決勝点を挙げたブライス・メンデス(撮影は今年9月) [写真]=Icon Sport via Getty Images

 コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)2回戦が5日に行われ、レアル・ソシエダは敵地でコンケンセと対戦した。

 今季のレアル・ソシエダはラ・リーガ開幕直後こそ躓いた印象もあったが、直近の公式戦5試合では4勝1敗と悪くない成績を残すなど、復調の気配を見せつつある。コパ・デル・レイ1回戦は、スペイン東部のバレンシア州を中心に甚大な被害をもたらしたDANA(集中豪雨)の影響により、11月21日へ延期されたものの、テルセーラ・フェデラシオンRFEF(5部相当)に身を置くホベ・エスパニョール相手に5-0と大勝。順当に2回戦進出を決めていた。

 公式戦3連勝を懸けたコパ・デル・レイ2回戦では、セグンダ・フェデラシオンRFEF(4部相当)のコンケンセと敵地で激突する。レアル・ソシエダに所属する久保建英は連戦の影響を考慮されてか、今季2度目の招集外。大幅なターンオーバー布陣となっており、アルバロ・オドリオソラ、シェラルド・ベッカー、ウマル・サディクらがスターティングメンバーに名を連ねた。対するコンケンセでは、ラージョ・バジェカーノのカンテラ(育成組織)に所属した経験もあり、テネリフェのBチームなどスペインの各クラブを渡り歩いてきた吉村祐哉が、右ウイングの位置で先発した。

 試合は立ち上がりからレアル・ソシエダがボールを握る構図となったものの、コンケンセは「5-4」のブロックを組んで対応。守備一辺倒になるのではなくカウンターのチャンスもうかがいながら時計の針を進めると、31分には右サイド高い位置でボールを収めた吉村が、相手を引きつけて背後のスペースへ浮き球パスを通す。抜け出したパブロ・オリバレスが右足を振り抜いたものの、シュートはGKウナイ・マレロに弾き出された。

 前半はこのままスコアレスで終了。後半に入っても試合の様相が大きく変わることはなく、主導権を握ったのはレアル・ソシエダ。最前線のサディクらがチャンスを迎えるも、仕留めきれないシーンも目立つ。

 対するコンケンセは70分、両チームを通じてこの試合最大の決定機を作り出す。中央を破るスルーパスでボックス内へ抜け出したアントニオ・フェルナンデスがGKマレロと1対1のシーンを迎えたが、左足から放たれたシュートはクロスバーの上へと外れた。

 結局、90分間のなかでゴールネットが揺れることはなく、試合は延長戦へ突入。すると延長前半開始直後の92分、遂に試合の均衡が破れた。レアル・ソシエダは自陣でボールを奪ったところから、アンデル・バレネチェアがピッチ中央で時間を作り、横へ繋ぐ。フリーで前を向いたブライス・メンデスは1度左サイドへ散らすと、セルヒオ・ゴメスからの折り返しを受けてダイレクトでシュート。左足で狙い澄ました一撃は、相手の股下を抜けて、ややコースが変わってゴールに吸い込まれる。苦しんだレアル・ソシエダが遂に均衡を破った。

 堂々の戦いを見せていたコンケンセにとっては痛恨の1点となったが、残る30分間で同点、そして逆転を目指す姿勢は失われない。延長後半には複数回にわたってフィニッシュまで持ち込むシーンを作ったものの、最後まで1点が遠く、試合はタイムアップの笛が吹かれた。

 レアル・ソシエダとしては“サブ組”主体のメンバーでスタートしながら、後半にはミケル・オヤルサバルやB・メンデスら主力級の選手を送り出さざるを得なくなったが、苦戦を強いられながらも3回戦(ラウンド32)進出を決めた。そんな苦戦を演じさせた、コンケンセの組織的かつ情熱的な戦いぶりも称賛に値する。吉村は120分間の死闘にフル出場した。

 この後、レアル・ソシエダは8日に次節のラ・リーガで、レガネスの本拠地に乗り込む予定となっている。

【スコア】
コンケンセ 0-1 レアル・ソシエダ

【得点者】
0-1 92分 ブライス・メンデス(レアル・ソシエダ)