大正製薬は12月4日、インフルエンザワクチンに関する調査結果を発表した。調査は2024年10月9日~10月16日、15歳~69歳の男女2732人を対象にインターネットで行われた。

インフルエンザワクチンの秘密?

12月になり、本格的なインフルエンザの流行シーズンがやってきた。同社の調査によると、今年インフルエンザワクチン接種を受けた・受ける予定のある人の割合は41.0%であることが判明した。また、過去にインフルエンザにかかったことがない人に比べて、かかったことがある人の方がインフルエンザワクチン接種を受ける意向が強いことも明らかになった。過去にインフルエンザにかかり、つらい経験をしたからワクチン接種を受けようと考えている人が多いのかもしれない。

  • 今年、インフルエンザワクチン接種を受けた、または受ける予定はありますか?

「インフルエンザワクチンの種類が毎年異なることをご存じでしたか?」という質問では、63.8%が「知っている」と回答した。

  • インフルエンザワクチンの種類が毎年異なることをご存じでしたか?

ワクチンの種類は、世界で流行したインフルエンザの型を参考に、世界保健機関(WHO)が今年の流行を予測し、インフルエンザワクチンの製造株として推奨する株を選定している。日本で使用されるワクチンも原則としてWHOが推奨する株の中から、「期待される有効性」や「ワクチンの供給可能量」を踏まえて、厚生科学審議会で株の検討が行われる。検討の結果、今年のインフルエンザワクチンは以下の4株に決定し、製造されている。

  • 2024/25シーズンのインフルエンザワクチン株

なぜインフルエンザは冬に流行るの?

日本では、インフルエンザは通常冬に流行する。これには日本の冬の特徴である低い湿度が関係しているという。では、なぜ湿度が低くなるとインフルエンザが流行するのか。その理由を解説する。

ウイルスの特性

インフルエンザウイルスが人から人に感染するためには、感染者から咳やくしゃみによって放出された際に感染力を一定時間保つ必要がある。インフルエンザウイルスは湿度が低くなるほど生存率が高くなるため、湿度が低い日本の冬では感染が広がりやすくなるという。

人の体の反応

インフルエンザウイルスは、感染者の咳やくしゃみで放出された飛沫が口や鼻から体に入ることで感染する。気道の表面は粘液と線毛(非常に細かい毛のような構造)で覆われており、これらがウイルスを体の外に排出する役割を果たしている。通常、口や鼻から取り込んだ空気はのどや鼻で加温・加湿されるため、粘液と線毛が働いてウイルスを体の外へ排出する。しかし、極度に乾燥した空気を取り込むと、粘液の粘り気が増し、線毛の動きが鈍くなってしまう。その結果、ウイルスが体の外へ排出されにくくなり、インフルエンザウイルスに感染しやすい状態となる。このように、湿度が低い日本の冬の気象条件がインフルエンザの流行を助長している。

みんなが行っている感染対策は?

アンケートでは、実施しているインフルエンザ感染対策として、「混雑している所には行かない」「帰宅後、全身に消毒液をスプレーする」「部屋の湿度を保つ」「栄養をしっかりとる」といった回答が寄せられた。

  • みんなが行っている感染対策