3年ぶりとなるハイエンドスマートフォン「OPPO Find X8」を発表したオウガ・ジャパン。3年間の沈黙を破って登場したFindシリーズの最新モデルについて、同社の専務取締役である河野謙三氏らが報道陣の質問に答えました。
日本でも訴求できるハイエンド
まず、Findシリーズが日本で3年間出なかったことについて、河野氏は「お客様からのFindシリーズを求める声は3年間途絶えなかった」と話します。今回のFind X8はグローバルでも発売されるモデルであり、それが登場したこのタイミングで日本でも発売したい、と考えたといいます。
「Find X3以降は、日本市場で価値を訴求するには弱いとして見送っていた」と河野氏。それに対して、Find X8ではAIを強く訴求しており、今後のAIの方向性が定まったことから投入を決めたといいます。
14万円を切る価格を実現したことで、ハイエンド端末としては比較的手ごろな価格といえますが、それでもキャリアからの販売がないため、2年で返却するタイプのキャリアの販売は利用できません。
河野氏は「キャリア販売なしでハイエンド端末を日本で投入する難しさは、今この段階だとむしろ逆だと思っている」としています。端末販売において、関係者が増えるとタイムリーに発売できなくなることもあって、「Find X8はメーカーとして、会社の方向性を打ち出したい製品だったので、あえてしがらみのないSIMフリー(オープンマーケット)市場にいち早く投入した」とのこと。
日本向けに足りない機能は
ただし、その分いくつか日本特有の対応に課題があるようです。河野氏は「さまざまなキャリアで使える状態」という前提はありつつも、「日本特有の一部周波数に対応していないが、その必要性は認識している」といいます。電波の認証にかけるコストと販売可能な台数を考慮して決めたとしていますが、今後の製品では対応したい考えを示します。
もう1つがFeliCaです。「プロダクトアウトとマーケットインのいいとこ取りをしている」と同社プロダクト部部長代理の丹下紘彰氏は話します。それは、どの製品にどんな機能を搭載するか、さまざまな観点から検討していくやり方ですが、Find X8については「AI Phoneとしてグローバルでも大々的にリリースしており、FeliCaの搭載よりもまず日本に向けてローンチする時期を重視した」との判断です。
また、今回は上位モデルのFind X8 ProではなくFind X8が採用されました。それに対して河野氏は「日本のユーザーに対して何が一番ちょうどいいか考えたときに、薄さと軽さを重視して作られている点」がポイントになったと指摘します。「何が何でも(機能を)全部載せたというものではない」と河野氏は話し、3年ぶりのフラッグシップ端末として、「一番手に取ってもらいやすい端末を選択した」と強調しました。
ターゲットは写真好き、Hasselbladを選んだ理由は?
こうして投入されたFind X8ですが、ガジェット好きや写真好きをメインターゲットとして訴求したい考えです。歴史のあるカメラメーカーであるHasselbladと共同開発したカメラは、「両者の技術者が密に連携して開発し、Hasselbladが評価した」とアピールします。
「カメラフォンというキーワードでスマートフォンを打ち出してきたメーカーにとっては、どこと組むかは大事」と河野氏。市場では、ドイツの名門カメラメーカーであるライカと協業したスマートフォンもあり、それに対して同社が選んだのはHasselbladでした。
もともと、こうした協業をしているカメラメーカーは少なく、Hasselbladは過去にMotorola向けに製品を供給していたほか、現在はDJIが買収しています。OPPOは、メーカーとしてはオーディオビジュアル製品を開発してきた経緯があり、映像表現、色の再現性に強みがあると河野氏。
そのため、「どういった色を見せるか、色の再現性は首尾一貫して貫いてきた」(河野氏)ことから、この色味の表現を重視した結果がHasselbladとの協業だということです。「(OPPOが目指す色の再現性を)180度曲げてまで、何らかの著名なカメラブランドとは協業しない」(同)。それがOPPOの考えで、色の方向性がHasselbladと一致したため、協業に至ったとのこと。
「次のハイエンド」はいつ?
次期ハイエンド端末は日本でもリリースするのか。そんな質問に対して河野氏は「来年もやりますと答えたいが、来年のことは分からない」と慎重な答え。来年以降はどうなるのかは不明だとして「期待してくださいとしか言えない」と話します。
ただ、今回のFind X8は「中国版が発表されたあとにグローバル版が発表され、その後1週間という短いタイミングで日本版の発表になった。7年間の日本法人の歴史で初めてのスピード」だと河野氏はいいます。
今後の製品展開は反響を見ながら考えるとしていますが、「1週間でグローバル版から日本版のローンチにつなげたのは社内的に非常にきつかった」と河野氏は笑います。
ローンチを優先してAI機能は後日対応
今回大々的にアピールされているAI機能ですが、カメラに関するAI機能は画像処理がおもな機能で、言語を問わず利用できますが、なかには文章を要約するなどの言語的な対応が必要な機能もあります。
こうした機能は現時点では日本語に対応していませんが、「来年3月以降に対応」とされています。これに関しては「ローカライズが必要で、グローバルでそれぞれのリージョンで対応しなければなりません。今回、間に合わなかったのが率直なところ」と丹下氏はいいます。これまでも「AI消しゴム」機能をあとからアップデートで対応するなど、発売を優先してその後展開していくパターンもあったことから、同様の対応にすることを決めたそうです。
アップデートという意味では、最近のスマートフォンではOSアップデートが長期的に提供されるようになっています。今回のFind X8は「OSアップデートは4回」「セキュリティアップデートは6年」を保証します。他社の状況も見ながら、「Googleとも協議をしながら判断している」(同)とのことです。