忘・新年会のシーズンがやってきました。お酒のお付き合いも増えてくる季節になると、心配になるのは二日酔い。
気を付けていても、ついつい飲みすぎてしまった……なんてことも。今回は、飲酒前・飲酒中にできる二日酔い予防法のほか、気持ち悪くなってしまったときの対処法をお伝えします。
解説してくれたのは、静可会 三加茂田中病院に在籍の小幡史明(おばた ふみあき)氏です。気になる二日酔いについて早速聞いていきましょう。
■なぜ二日酔いになるの?
――そもそもどうして二日酔いになってしまうのでしょうか?
二日酔いは、飲みすぎた翌日に訪れる不快な症状のことです。主な原因は、アルコールの分解過程で生成されるアセトアルデヒドという物質です。これは体にとって有害で、頭痛や吐き気を引き起こします。
また、アルコールは利尿作用があるため、飲むと頻繁にトイレに行くことになります。これが脱水症状を引き起こし、体内の水分が不足することで、さらに不快感が増します。加えて、アルコールは睡眠の質を低下させるため、十分に休めず、翌朝は疲れた状態で目覚めることになります。
さらに、飲みすぎた夜の楽しい思い出が、翌日のつらさとともに思い出され、つい「もうお酒は飲まない」と誓いたくなるのです。二日酔いは、楽しい時間の代償とも言えるでしょう。
適度に楽しむことを心がけると、より良い朝を迎えられるかもしれません。
■飲む前にできる対策
――飲む前にできる二日酔い対策を教えてください!
1: 水分補給
アルコールを摂取する前に十分な水分を補給することは、二日酔い防止に非常に効果的です。アルコールには利尿作用があり、飲むと体内の水分が失われやすくなります。
そのため、飲む前にコップ1杯の水を飲んでおくことで、体がアルコールを処理する際に必要な水分を確保できます。水分が不足すると、頭痛や口の渇きを引き起こし、翌日の不快感が増す原因になります。また、飲んでいる最中にも、アルコールと同時に水を飲むことを心がけると良いでしょう。これにより、体内の水分バランスを保ち、二日酔いのリスクを減少させることができます。
2: 食事をしっかりとる
飲む前にしっかりと食事を摂(と)ることも、二日酔いを防ぐための重要なポイントです。空腹でアルコールを摂取すると、アルコールの吸収が早まり、酔いやすくなります。特に、脂肪分やタンパク質を含む食事を選ぶと効果的です。
これらの栄養素は、胃の中でアルコールが吸収される速度を緩やかにし、血中のアルコール濃度が急激に上昇するのを防ぎます。また、食事をすると胃の壁が保護され、アルコールによる刺激を軽減することができます。飲み会の前には、しっかりとした食事をとることで、翌日の不快感を軽減できるでしょう。
3: ビタミンB群を摂取
ビタミンB群を飲む前に摂取することも、二日酔い防止に役立ちます。 ビタミンB群は、アルコールの代謝を助ける重要な役割を果たしています。特に、ビタミンB1、B6、B12は、アルコールを効率よく分解し、体内での毒素の蓄積を防ぐのに役立ちます。飲む前に、バナナやナッツなどのビタミンBを豊富に含む食品を摂取するか、サプリメントを利用するのも良い方法です。
これによって、体がアルコールをより効果的に処理できるようになり、二日酔いのリスクを大幅に減少させることが期待できます。ビタミンB群を意識して摂取することで、より快適な飲み会を楽しむことができるでしょう。
■飲酒時の対策
――飲んでいる最中に、気を付けるべきことはありますか?
1: アルコールをゆっくり飲む
飲んでいる最中は、アルコールをゆっくり楽しむことが大切です。急いで飲むと、血中のアルコール濃度が急激に上昇し、酔いが回りやすくなります。これにより、翌日の二日酔いのリスクが増加します。
目安として、1杯のアルコールを30分から1時間かけて飲むことを心がけましょう。また、飲む間に会話を楽しんだり、食事をとったりすることで、自然と飲むペースを遅くすることができます。この方法は、酔いをコントロールしながら楽しむことができるため、二日酔いを防ぐために非常に効果的です。
2: 水分を交互にとる
アルコールを飲む際には、必ず水分も同時に摂取することが重要です。アルコールには利尿作用があるため、飲むと体内の水分が失われやすくなります。そのため、1杯のアルコールを飲んだ後に、必ず1杯の水を飲むことを習慣づけましょう。
これにより脱水症状を防ぎ、体がアルコールを処理しやすくなります。また、水分を補給することで、頭痛や口の渇きといった二日酔いの症状を軽減できます。飲み会の最中に水を意識的に取り入れることで、翌日の体調を大きく改善できるでしょう。
3: 軽食をとる
飲んでいる最中に軽食をとることも、二日酔い防止に効果的です。お酒を飲むと、アルコールの吸収が早まり、酔いやすくなりますが、食事を同時にとることでその効果を緩和することができます。
特に、脂肪分やタンパク質を含む軽食(ナッツやチーズ、サンドイッチなど)は、胃の中でアルコールの吸収を遅らせる役割を果たします。また、食事にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、体がアルコールを処理するのを助けます。飲み会の途中で軽食を取り入れることで、より快適にお酒を楽しむことができ、翌日の不快感を軽減することが期待できます。
■気持ち悪くなってしまったときは?
――気を付けていても飲みすぎてしまうことってありますよね……。気持ち悪くなってしまったときはどうすればいいのでしょうか?
1: 水分補給
飲みすぎた後、最も重要なのは水分補給です。アルコールは利尿作用があり、体内の水分を失わせるため、脱水症状が起こりやすくなります。気持ち悪さを和らげるためには、まずコップ1杯の水を飲むことから始めましょう。水分を補うことで、体がアルコールを効果的に排出しやすくなり、二日酔いの症状を軽減することができます。また、スポーツドリンクや電解質を含む飲料もおすすめです。これにより、失われたミネラルを補充でき、体調が回復しやすくなります。
2: 休息を取る
気持ち悪くなったときは、無理をせず休息を取ることが大切です。体がアルコールを処理するためにはエネルギーが必要で、休むことでそのエネルギーを供給できます。静かな場所で横になり、リラックスすることで、体が回復しやすくなります。特に、目を閉じて深呼吸をすることで、心身ともにリラックスし、気持ち悪さが少しずつ和らぐことがあります。環境を整え、体をしっかり休めることが、早い回復につながります。
3: 軽い食事をとる
気持ちが悪いときは、軽い食事をとることも効果的です。特に、消化に良い食べ物(バナナやクラッカー、トーストなど)を選ぶと良いでしょう。これらの食材は胃に優しく、アルコールの影響を受けた胃腸を落ち着ける効果があります。
また、食事をすることで血糖値が安定し、気持ち悪さが軽減されることもあります。ただし、油っこい食べ物や刺激物は避けるべきです。胃に負担をかけないように、少しずつ食べることを心がけましょう。
4: しょうがを摂取する
しょうがは、吐き気を和らげる効果があることで知られています。気持ちが悪くなったときには、しょうが茶やしょうがあめを摂取するのが効果的です。しょうがには抗炎症作用や消化促進効果があり、胃腸の不快感を軽減する助けになります。
しょうが茶を作る際は、薄切りのしょうがをお湯に入れて数分間待つだけで簡単に作れます。飲むことで、体が温まり、リラックス効果も得られ、気持ち悪さが和らげられることが期待できます。
5: 深呼吸や軽いストレッチ
気持ち悪いときは、深呼吸や軽いストレッチを試みるのも良い方法です。深呼吸は、体内に新鮮な空気を取り入れ、リラックスを促進します。静かな場所でゆっくりと息を吸い込み、吐き出すことを繰り返すことで、心を落ち着けることができます。また、軽いストレッチを行うことで、血流が改善され、体が楽になることがあります。無理のない範囲で体を動かすことで、気分がリフレッシュされ、気持ち悪さが軽減される場合があります。
年末年始はいつもより飲み会が多くなるシーズンですが、お酒はほどほどに。体調を崩さぬよう、うまくお酒と付き合っていきましょう。本記事を参考にぜひ、楽しい飲み会にしてください。
この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。