立飛ホールディングスとNTT東日本グループは11月9日、東京・立川の複合施設「GREEN SPRINGS」にある多機能ホール「TACHIKAWA STAGE GARDEN」で、eスポーツのオフラインイベント「立川立飛eスポーツフェス2024」を開催した。
プロゲーマーやストリーマーがチームを組み、5対5のエキシビジョンマッチが行われ、若者を中心とした観客の熱気が会場内を終始包んだ。
今回で3回目の開催となる同イベントではあるが、「なぜ立川でeスポーツなのか」「地域活性化のための取り組みの意図」など、立飛ホールディングスとNTT東日本グループの各担当者に聞いた。
フェス感を意識した今大会
2024年に創立100周年を迎える立飛グループの記念事業の一環として開催されてきた同イベント。前回大会のゲストは海外でも活躍するプロゲーマーだったが、今回は現役アイドルとコスプレイヤーを招いた。
この経緯について、NTTe-Sports 営業推進部 村上瞳氏は「ゲームをカジュアルに楽しむ"ライト層"に興味を持ってもらえるゲストに来ていただきました」と回答。
続けて、「入場してすぐに参加選手のお出迎えを用意したり、入場した瞬間からゲームの世界観に没入できるようなデザインにしたりなど、演出面を意識しました」と観客に非日常を感じてもらえるように"フェス感"を前回大会よりも重視したと語った。
域循環型社会の実現
改めて同イベントの開催に対する各社の思いを聞く。
まずNTT東日本 東京西支店 ビジネスイノベーション部 まちづくりコーディネート担当 チーフ 萩野岳士氏は、地域活性化への取り組みだと強調し、「NTT東日本は地域循環型社会の実現を大きなテーマに掲げています。具体的には街を活性化させることにより、住民の皆さんが利益を得られる循環を創出することを目指しており、『立川立飛eスポーツフェス』もその一環です。eスポーツを通して住んでいる人たちが受益者として経済的な豊かさを得られるようになればと思っています」と説明する。
これを受け村上氏は、若年層に訴求するための施策として、「NTTe-Sportsとしては若者を主なユーザーと考えています。『立川立飛eスポーツフェス』開催により、若者に楽しんでもらい街を活気づけるキッカケにしたいです。また、観客にはオフラインだからこそ生まれるライブ感を、選手にはダイレクトに応援してもらえることで普段では得られない体験を感じてもらえるような、そんな観客と選手の垣根を超えて一緒に熱を生み出せるイベントになるように取り組んでいます」と答えた。
立川はeスポーツの聖地に
次に立飛ホールディングス 総務部 総務課 課長 後藤孝輔氏は「もともと弊社では『芸術、文化、スポーツの振興を通じて立川という街のブランドイメージを高めよう』という考えのもと、歌舞伎やミュージカル、相撲を立川に誘致してきました」と同社の姿勢を口にする。
「ただ、これまでは10代後半から20代前半の人達に十分に情報発信できておらず、『立川立飛eスポーツフェス』の開催により、若年層が立川に目を向けてもらう機会になればと思っています。ゆくゆくは『立川はeスポーツの聖地』と呼ばれるようになれば嬉しいです」
立飛ホールディングス 総務部 総務課 尾川拓生氏は「若い人達が多く来場するイベントを目指しており、実際に会場には若い人達の姿が目立ちます。立川という街を知ってもらう良い機会になっているのではないでしょうか」と思いだけではなく手応えも口にした。
来年以降の予定は?
さまざまな思いが聞かれたが「街を盛り上げたい」ということは共通していた。実際「立川立飛eスポーツフェス2024」が地域にどのような影響を与えているのか。
後藤氏は「過去2回、来場者を対象にしたアンケートを行ったのですが、『立川という街を初めて知った』『このイベントをキッカケに初めて立川に来た』といった回答が多かったです。中には、九州や関西から来てくれた人もおり、首都圏に留まらずに全国的に立川を知ってもらう・来てもらう機会を与えられました」と表情をゆるめる。
"立川の恒例行事"として定着しつつある「立川立飛eスポーツフェス」。
しかし、後藤氏は「創立100周年事業という冠を使用できるのは今回まで。来年以降はタイトルやイベント内容を変更する可能性もあります」と今回を一つの節目と捉えており、来年以降はまだ検討していることが多いという。
これに萩野氏は「2020年9月に立飛ホールディングスさん、NTTe-Sports社、弊社の3社で『立川eスポーツプロジェクト』の推進に向けた連携協定を締結しました。その際、立飛ホールディングスさんには"100周年を迎える2024年まで"という期間を設け、『eスポーツを通して立川をはじめ多摩地域を活性化させましょう』と提案させていただきました。そのため、現段階では今後について公表できることはないです」と説明。
ただ、後藤氏は「これまで3回開催しており、せっかく立川にeスポーツというカルチャーが根付こうとしている状況です。これで終わりにするのはもったいないと考えています」と話し、萩野氏も「ここまでやってきたことを無駄にはしたくない。仲間を増やすなど、これまで以上にeスポーツで立川を盛り上げる企画を作り上げていければと思っています」と語気を強めた。