老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。
今回は、障害基礎年金が支給停止される場合についてです。
◆Q:障害基礎年金が支給停止になりました。どうしてですか?
「障害基礎年金が支給停止になりました。覚えがありません。どうしてですか?」(T男さん)
◆A:障害年金の更新時に提出する診断書で「症状が軽減し、障害等級2級以上に該当しない」と認定されたのではないでしょうか
障害基礎年金と障害厚生年金は働いていても受給することができ、非課税ですが、何らかの理由で支給停止になることがあります。どんな場合に支給停止になるのでしょうか。
障害基礎年金は障害等級2級以上「日常生活は極めて困難で労働によって収入を得ることができないほどの障害」の状態で認定される年金です。支給停止になるのは、次のケースが考えられます。
①障害年金には2年、3年、5年等更新期間がありますが、更新時に提出した診断書で「症状が軽減し、障害等級2級以上に該当しない」と認定されたケースです。この理由で支給停止になった可能性が1番高いでしょう。
②20歳前に初診日のある障害基礎年金をもらっていた場合は、一定額(前年所得が472万1000円以上)の所得を得ると支給停止になってしまいます。
③20歳前に初診日のある障害基礎年金の場合、海外に居住したときや刑務所等の矯正施設に入所した場合は、年金の全額が支給停止となってしまいます。
①の「症状が軽減した」という理由で支給停止になったことは、障害年金の受給の権利を失ったこと(失権)とは異なります。障害基礎年金の受給権を失っていないので、次回の診断書提出時に「症状が重くなった」と認定された場合、また障害基礎年金の支給が再開する可能性はあります。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
文=拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)