Dynabookは12月5日、実際の視界の上に情報を重ねられるARグラス「dynaEdge XR1」(以下XR1)および、そのコントローラー「dynaEdge C1」(以下C1)を正式発表した。法人向け製品となり、2025年春に発売予定。価格はオープン。

  • メガネ型デバイス「dynaEdge XR1」と、その奥にある「dynaEdge C1」。写真は開発中のものとなり実際の製品とは異なる場合がある(以下同)

XR1は、視界をふさがず情報を表示できるARメガネ。透過型光学レンズを両眼に搭載し、入力した映像を上から光学モジュールへ落とし屈折させて目へ届ける。ARディスプレイの解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)で、視野角は対角約45度。前面に2基のモノクロカメラ、1基のRGBカメラも搭載している。

C1は8コアのARMプロセッサを内蔵し、XR1のバッテリーおよびコントローラーとして動作する。XR1のカメラで撮影した対象物や風景の識別機能、スマートフォンと連携した操作なども行える。前面や側面には、直接見なくても触って操作できるタッチパッドと4方向ボタン、ファンクションボタンなどを搭載。インタフェースはUSB Type-Cを2基備え、1基はXR1との接続用、もう1基は電源用。バッテリーを充電しながらXR1を使える。

Dynabookでは2018年から単眼型のARグラスも販売している。今回、仮想UIの表示領域が大幅に拡大され、より自然に情報を現実空間に表示できるXR1およびC1を追加することで、現場向けのDX支援製品を拡充した形だ。

デザインにもこだわり、福井県鯖江市に本社を構える眼鏡のデザイン事務所ソウウェルや、明治16年創業の老舗眼鏡店である東京メガネの監修を受け、Dynabookのデザイナー東谷俊哉氏が全体のデザインを手がけた。メガネの幅やつるの長さ、色などについては監修元からアドバイスを受け、また掛け心地を高めるため、つるの裏にクッションを搭載している。

  • 実際に装着しているところ。写真ではやや浮いているように見えるが、実際に見るとフレームが大き目のオシャレメガネという雰囲気で、大きな違和感はない。度付きレンズを搭載するカスタマイズも可能という

  • つるの後ろに備えられたクッション。本体を耳後ろで柔らかく固定する

想定用途は、倉庫内のピッキング作業や大型機材のメンテナンス(遠隔支援)、絵博物館や美術館における展示品の情報表示など。単眼型と比べ広い表示領域があり、指示書や図面が大きく表示できるほか、スピーカーも搭載するため音声を連動させた作業・エンタメ体験が可能だ。このほかPCやタブレットなどを接続すると、ディスプレイをAR映像として3画面まで拡張させて使うこともできる。

DynabookではXR1とC1を活用したソリューションやコンテンツ開発を一緒に担うパートナー企業を募集。また同社がフロントに立ち、顧客に向けソリューションも含めた活用提案を行っていくという。

  • 前面に2基のモノクロカメラ、1基のRGBカメラ、そして2基のマイクを搭載。スピーカーはつるの耳付近に配置し、加速度、ジャイロ、コンパスといったセンサー類も備えている

  • C1は片手で操作できるサイズ。XR1と接続した場合の動作時間は、倉庫でのピッキング作業など標準的な使用を想定した場合で2~3時間を目指すとのこと