6月22日~23日に開催された「高崎シティロックフェスティバル2024」(タカサキシティロックフェス2024)を振り返り、群馬県高崎市をロックの象徴的な街にするための戦略を考えるワークショップがNTT東日本 群馬支店で開催された。"デザイン思考"はどのようなひらめきを実現するのだろうか。
「高崎シティロックフェスティバル2024」を振り返る
高崎市で6月22日~23日に開催され、「ロックの街・高崎」を内外にアピールすることになったタカサキシティロックフェス2024。
日本の音楽シーンをリードするアーティストのみならず、高崎市で活躍する地元アーティスト、これから羽ばたこうとしている若手アーティストなど74組が出演し、"高崎でしかできない音楽フェス"として好評を博した。
だが、初めてのロックフェス開催ということもあり、成功の裏で多くの課題も見つかっている。そんなタカサキシティロックフェス2024を振り返り、高崎市をロックの象徴的な街にするための戦略を考えるワークショップ「高崎シティロックフェスティバル2024をデザイン思考で振り返る」が、10月18日に開催される運びとなった。
主催するのはNTT東日本 群馬支店。NTT東日本グループが得意とする人流分析から得られたデータに"デザイン思考"を組み合わせることで、ユーザーのニーズと適切なアクションを考察し、どうやったら再訪に繋がるかを導き出すことがその目的だ。
ファシリテーターを務めたのは、NTT-ME サービスクリエイション部 DXコーディネイトセンタ サービスプロデュース部門・データビジネス担当 担当課長の津曲貴裕氏。
NTT-MEの津曲氏は、「大きな成功を収めたタカサキシティロックフェス2024ですが、イベントとしてはまだ1回目です。これを2回3回と積み重ねることで日本を代表する『ロックの街・高崎』を目指したい、そのスタートラインとしてワークショップをやらせていただきました」と、ワークショップの意図について語る。
デザイン思考のメリットとは?
ワークショップに参加したのは「高崎市を盛り上げたい」「高崎をロックの街にしたい」という思いと目線を抱く、高崎市周辺在住の方、高崎市で仕事をしている方、そしてNTTグループの社員だ。
「デザイン思考を用いて、お客さまご自身がアイデアを出すという点がキーポイントです。僕たちが『こうした方がいいですよ』とコンサルタントするのではなく、お客さまご自身にユーザーになりきってもらい、そこから導き出されたアイデアを聞き出すことこそ、僕らの重要な役割になってきます」(NTT-ME 津曲氏)
デザイン思考においては、主観的な目線ではなく、ターゲットとするユーザーの目線からニーズを取り込む形を取る。例えば、20代女性に語りかけたいのに、40代男性がやりたいと思っていることを挙げても乖離が出てしまう。20代女性というユーザー像(架空の人物像)をさまざまなフレームワークに沿って考えることで、効果的なアイデアを出すことがデザイン思考のメリットだ。
ユーザー像を把握・想定しユーザーニーズを発掘する
ワークショップでは、次回以降のタカサキシティロックフェスを仮定し、集客増加と高崎市内の回遊増加に向けた具体的なアクションプランが検討された。参加者はA~Dグループに別れ、始めにグループ内で自己紹介を行う。内容は氏名や仕事内容の他、趣味、最近楽しかったこと、幸せに感じたことなどだ。
そして、ユーザージャーニーから「ユーザー像の把握・理解」という具体的なフェーズが始まる。グループ内でユーザー像の印象や、普段どんなことを考え、言ったりしていそうかを話し合った後、ジャーニーに記載されていないユーザー像、例えば好きなこと・嫌いなこと、悩みやリフレッシュ方法などがチーム内で共有された。
続いて、「ユーザージャーニーの把握・想定」。やりたい行動、行動を起こせない理由、行動を起こせない原因が深掘りされ、「ユーザーニーズの発掘」が話し合われる。その後、ユーザーニーズに対して「アイデアの創出・検討」が行われ、付せん紙に書かれたさまざまなアイデアがホワイトボードに貼付されていった。
最後に、各グループの発表だ。年代も性別も仕事も異なる人が集まっただけあり、同じユーザージャーニーをもとにしていても、それぞれが深掘りしたユーザー像には違いがあり、出てくるアイデアもまた異なるものに。それでいてどのアイデアにも一定の説得力があり、会場ではひとつのグループの発表が終わるたびに熱い拍手が湧いていた。
ロックフェス関係者がワークショップの感想を語る
さまざまな方が参加した今回のワークショップ。実際にタカサキシティロックフェス2024に関わった、タカサキシティロックフェス 2024 実行委員会 事務局の関口高史氏は「若い人も含めていろいろな立場の人が集まり、意見を言い合うというのは素晴らしい機会だったなと思っています」と語る。
「やはり大きな目的のひとつに集客があるのですが、“人を集める”ということ自体がすごく漠然としており、当然数字上の目標はあるものの、当てるべき具体的な対処法がわからなかったんです。今回のようにユーザー像を決めていくことで、来場者目線でアプローチしていくことを学べたと思います。実際、25歳女性になるのは大変でしたけど(笑)」(事務局 関口氏)
また、同事務局の芹澤俊夫氏は「勉強になったのは、イベント開催前にどのような情報を届けるべきか、どういった内容で開催していくべきかという2点です。イベント自体を盛り上げることも続けていかなければなりませんし、適切な情報を適切なタイミングで届けることも重要で、どちらが欠けても駄目なんだなと思いました」と話す。
お二人はタカサキシティロックフェス以外にも、高崎市のさまざまなイベントに関わっている。今回のワークショップで得たアプローチの仕方を、今後は他のイベントにも展開していきたいという。
次回「TAKASAKI CITY ROCK FES.2025」は6月28日・29日にGメッセ群馬、高崎芸術劇場、高崎アリーナ 及び 高崎駅周辺(群馬県高崎市)を会場に開催される予定だ。どのようなイベントを目指すのだろうか。
「やっぱりもっと沢山の人に来ていただきたいというのが率直な意見ですね。高崎らしいロックフェスのあり方を続け、高崎でしか得られない体験を味わってもらえるような、そんなイベントにしたいと思います」(関口氏)
「高崎は『音楽のある街・高崎』とアピールをしているので、やはり音楽フェスが多いんです。ロックフェスも、初開催ながらいろいろな音楽フェスと比較されました。そんな中で続けていくなら、より特徴のあるフェスにしなければならないなと思いました」(事務局 芹澤氏)
高崎市全体の盛り上げに寄与したい
こうして、さまざまな立場の人が参加したワークショップ「高崎シティロックフェスティバル2024をデザイン思考で振り返る」はそれぞれが学びを得て終了した。
ワークショップの様子を振り返り、津曲氏は「やはり立ちあがって議論をしてくれたのが嬉しかったですね。立つと頭脳も活性化しますし、アイデアが温まってきたことを感じます」とコメント。そのうえで、今回のワークショップの意義について次のように話した。
「北関東の中心地である高崎という街を盛り上げていくためには、県外からどんな人を呼べば良いのか、また住んでいる人はどうやったら元気になるのか。その施策を、タカサキシティロックフェスだけでなくいろいろな観点から出し、広げ、そして効果を検証していくことは非常に有意義だと思います。このイベントをひとつのきっかけとして、他のイベントも含め、高崎市全体の盛り上げに寄与できたら嬉しいですね。質よりも量でアイデア出しを一緒に楽しめたらと思っていますので、多くの方の参加をお待ちしています」(NTT-ME 津曲氏)