起業・開業というと大きな資金が必要なイメージがあります。しかし、近年ではインターネットを介した仕事が普及したことなどにより、少ない資金でもビジネスを始めることが可能です。そこで今回は、低資金で開業しやすいオススメの10業種をご紹介。また、低資金で開業できる仕事の特徴や、開業を成功させるポイントもあわせて解説します。
■低資金で開業しやすいオススメ10業種
1.プログラマー
プログラマーとは、SE(システムエンジニア)などが作った設計に基づき、プログラミング言語を用いてシステムやソフトウェアを作る仕事です。プログラマーの仕事をするには高性能なソフトやパソコンが必要となるため、費用はややかかりますが、他の業種に比べれば初期費用を抑えて開業できます。
時給は個人差があるものの、4,000〜5,000円程度で仕事を受注できる人も少なくありません。さらにスキルを身に付けて経験を積めば、時給が1万円を超える人もいます。
2.Webライター
Webライターは、Web上のさまざまな文章を作成する仕事です。パソコンとインターネット環境があれば業務ができるため、初期費用0円でも開業が可能です。自宅のほか、カフェや出先など働く場所を選ばず、好きな時に仕事ができるという魅力もあります。
Webライターを仕事にするなら、自分の得意分野を持つこと、SEOやセールスライティングなどのスキルを身に付けることが重要です。特に近年ではAIの発展が目覚ましく、簡単なライティング業務はAIに取って代わられつつあるため、専門知識を持ちライターとしての需要を確保することが欠かせません。
3.ECサイト運営
ECサイト運営は、インターネット上にショップを開設し、商品を販売する仕事です。実店舗を構える必要がありませんので、比較的低資金で開業できます。
自分のECサイトから商品を買ってもらうためには、他のECサイトとの差別化が必要ですし、Web広告などの集客にも力を入れなければなりません。しかし、全世界の人が顧客の対象となるため、実店舗よりマーケットが広いというメリットがあります。費用を抑えながら商品を販売してみたいという人は、ECサイトの運営を検討してみましょう。
4.SNSコンサルタント
SNSコンサルタントとは、個人・企業のSNS運用における戦略の立案などを行い、場合によってはその後のSNS運用代行など、SNSマーケティングを支援する業務を行う仕事です。「SNSで集客したいけれどやり方が分からない」という人や企業に向けて、課題や方向性を示すことが主な業務となります。
SNSにおける集客やマーケティングの知識を持っているなら、こうしたSNSコンサルタントもオススメの業種の一つです。開業資金が必要ないだけでなく、顧客と長期的な契約を結ぶことが多いため、安定的な収益を上げやすいというメリットもあります。
5.スキル販売
スキル販売とは、自分の特技や知識を商品として販売する仕事です。「スキル販売サイト」では、自分のスキルを紹介し、サービスとして提供することで報酬を得られます。たとえば、Webデザインやプログラミング、英会話、ビジネスコンサルティングなど、さまざまなスキルが販売されています。
オンライン上でリアルタイムにスキルを提供するほか、スキルを動画などのコンテンツにして販売する「コンテンツ販売」という形もあります。いずれも、直接会うための交通費や場所代などの経費がかからず、低資金や資金なしで始められます。
6.動画編集
動画編集は、撮影した映像素材をカットしてつなげたり、音楽やテキストなどを追加したりして編集を行う仕事です。YouTube動画や企業のプロモーションビデオ、SNSの広告動画など、扱う動画の種類は多岐にわたります。
動画編集の単価は編集の内容、必要な技術のレベル、動画の長さなどによって異なりますが、1本あたり5,000円〜1万円程度であることが多いようです。パソコンと動画編集ソフトは必要ですが、高額な設備投資はいらず、低資金での開業が可能です。
7.イラストレーター
イラストレーターは、さまざまなプロダクトに使われるイラストを作成する仕事です。たとえば、ポスターや広告、雑誌、新聞など印刷媒体に使われるイラストを描くほか、Webバナーやロゴの作成、ソーシャルゲームのキャラクターデザインを行う案件などもあります。
昨今ではデジタルでイラストを作成することがほとんどであり、「Illustrator」や「Photoshop」などのグラフィックソフトを使えるスキルが求められます。
最近ではクラウドソーシングが普及し、インターネット上でイラストの仕事を受注しやすい環境が整っているようです。経験や実績を積めば、有名企業や自治体からの依頼も期待できるでしょう。
8.家事代行
家事代行とは、依頼者の自宅を訪問し、掃除や洗濯、料理などの家事を代行する仕事です。大規模に開業すると費用がかかりますが、家事代行マッチングサイトに登録したり、直接依頼者を紹介してもらったりすれば、低資金または無料で始められます。
家事代行と似た仕事に「ハウスクリーニング」がありますが、家事代行は一般的に、「専門性を求められない、あくまで日常的な家事の内容」が依頼できる範囲となっています。これに対してハウスクリーニングは、エアコンを分解しての内部の掃除や換気扇の油汚れ落としなど、業務用の道具や専門技術が必要なクリーニングを行います。
家事代行の依頼内容はそれぞれの家庭によって異なりますが、業務は日常的な家事の範囲になるため、家事全般が得意な方にはオススメの仕事です。
9.便利屋
便利屋は、家具の組み立てや草むしり、荷物の運搬、生活家電の修理など、日常生活におけるさまざまな困りごとの解決を請け負う仕事です。フランチャイズに加盟し、本部から技術・経営の指導やサポートを受けながら開業する方法もあります。
便利屋も比較的低資金で開業できる業種の一つですが、車両費やサービスを提供するための資機材の費用などがかかるため、初期費用は200万円程度みておく必要があります。ただし、提供するサービスによって費用は変動し、フランチャイズに加盟する場合、これに加えて加盟金や保証金、研修費などがかかります。
10.買取業
買取業とは、顧客から買い取った品物を、買い取った金額よりも高く売って利益を出す仕事です。リユース市場は年々拡大しており、2025年には3.25兆円規模に達すると言われています(リユース経済新聞)。また、景気に左右されず、常に一定の需要がある点も買取業のメリットです。
買取業は、扱う商品によっては300万円程度やそれ以下の資金でも開業が可能です。特に、販売を行わない買取専門店なら、販売スペースがいらず在庫を抱える必要もありません。販売を行う場合はスタッフも必要ですし、セキュリティ対策にも費用がかかりますが、それらを省くこともできます。
低資金で開業したい場合は、買取専門店として開業するのがオススメです。
■低資金で開業できる仕事の特徴とは?
ここまで、低資金で開業できる10種類の仕事をご紹介しましたが、少ない資金で開業できる仕事にはどのような特徴があるのでしょうか。特に多くの仕事にみられる共通点を3つピックアップしました。
1.店舗や事務所を構える必要がない
店舗や事務所などを構える必要がなく、自宅で開業できる仕事は資金を抑えられる傾向にあります。店舗を構えると、物件取得費や賃料のほか、保険やメンテナンス費用など多くのコストが発生してしまうからです。こうした固定費や初期費用が不要であれば、必要資金を大きく抑えられます。
2.副業から移行できる
自宅で副業としてできるような仕事も、低資金で始められるケースが多くあります。たとえば、プログラマーやWebライター、イラストレーターなどです。まずは副業として始めることで、本業の収入を得ながら徐々にビジネスを拡大することができます。
また、副業として経験しておけば、いざ独立してから「仕事内容が合わない」と後悔する事態を防げますし、スキルや実績を積み上げることで、独立後の成功確率を高められます。
3.スキルや資格を武器にできる
自分のスキルや資格を武器に独立できる仕事も、低資金で始めやすい傾向にあります。たとえば、エンジニアやデザイナー、コンサルタントなどは、資格や専門性を活用して少ない資金で開業でき、また、高収入を得ることも可能です。
それに、スキルのある仕事であれば、新たにスキルを習得するための研修や資格取得も不要なため、初期費用が抑えられます。その分野で経験があるなら、顧客ニーズや市場動向も把握しやすく、スムーズに事業展開できるでしょう。
■独立・開業を成功させるためのポイント
独立・開業を成功させるには、特にどのような点を意識する必要があるのでしょうか。3つのポイントをご紹介します。
1.見込み客を確保してから独立する
独立してから顧客を探そうとしても、すぐに見つかるとは限りません。スムーズに独立・開業するには、独立する前に当面の顧客となる候補先をいくつか確保しておくことも大切です。
また、開業を検討している分野で人脈を広げておくことも必要でしょう。独立前からできる準備は進めておきましょう。
2.Webマーケティングの知識を身に付けておく
Webマーケティングとは、SNSやブログなどのWeb媒体を活用して行うマーケティングのことです。昨今では、ほとんどの人がパソコンやスマートフォンを利用するため、仕事の受注や広告宣伝など、さまざまなシーンでWebマーケティングの重要性が増しています。
どのような業種でも活用する機会が多いため、あらかじめ知識を身に付けておくと独立後に慌てずに済むでしょう。
3.いざという時の別の道を模索しておく
綿密に計画を立て充分な準備期間を設けても、ビジネスである以上、独立・開業が必ずうまくいくとは限りません。売上が上がらず、資金が底をついてしまう場合もあるでしょう。そのような時のために、別の道を模索しておくことも大切です。
たとえば、一時的にパートやアルバイトとして他の仕事に就いて生活費を稼げば、何とか苦しい状況を抜けられるかもしれません。こうした対策も事前に計画しておけば、思い切って独立に踏み出せるのではないでしょうか。
■低資金で開業できる仕事はたくさんある
今回は、低資金で開業できる仕事10業種をご紹介しました。特に、「自宅でできる」「インターネットで完結する」という特徴を持つ仕事は、開業資金ゼロや他の業種に比べて非常に安く済む傾向があります。
またそうした仕事は、時間を選ばず自由に働けるケースも多いです。複数の仕事を比較し、気になるものがあれば、実際にかかる費用をきちんと割り出して始めるかどうか検討してみましょう。