公道も走れるレースカー!? マセラティ GT2 ストラダーレが登場

マセラティは2024年11月28日、東京都西麻布の特設会場でGT2 ストラダーレを発表した。

同社のミッドシップ後輪駆動モデルのMC20がベースとなっている。

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1926年からレースに参戦してきたマセラティ。その長いレース経験から得たノウハウを注入して作られたのが、レースカーの「GT2」である。GT2は「ファナテック GT2 ヨーロピアンシリーズ」という、2021年から始まったプロとアマチュアドライバーが参加するレースで2023年最終戦から参戦し、2024年は初のフルシーズン参戦。全12戦中で16回のポールポジション(プロとアマチュアで6回、アマチュアで10回)と12回の優勝(プロとアマチュアで5回、アマチュアで7回)という最多勝利を達成した。今回発表されたGT2 ストラダーレは、そのロードバージョンといえるモデルだ。

■レースで使われることを視野に入れて開発されていた

このGT2 ストラダーレは2020年に発表された、同社のスーパースポーツモデルのMC20がベースになっているが、じつはMC20の開発時からレース参戦のことも考えて開発されていた。レースカーの「GT2」と公道でも快適に乗れる「MC20」の両方の特性を持って生み出されたのが、GT2 ストラダーレだという。ボディサイズも全長4669mm×全幅1965mm×全高1222mmでMC20(全長4669mm×全幅1965mm×全高1224mm)とほとんど同じだ。

■MC20との違いは?

ではMC20とは何が違うのか。おもな違いは3つある。

・エンジン出力向上

・軽量化

・ダウンフォースの強化

まずエンジン出力については、MC20と同じ3LのV6ツインターボエンジンを搭載する。そのうえで排気システムなどの改良により、10馬力を上乗せした640馬力を発揮。0→100km/h加速タイムは2秒8、最高速度は324km/hとなる。

軽量化についてはMC20に対してGT2 ストラダーレは59kg軽い1365kgを達成。この59kgのうち35kg分は、ブレーキやホイールなどの軽量化によるもので、これらはばね下重量であり、数値以上にパフォーマンス向上に貢献する部分である。

ダウンフォース量はMC20が280㎞/hで走行しているときに145㎏相当を生み出しているのに対し、同じ速度でGT2 ストラダーレは500㎏(ハイドラッグのリヤウイング角設定時)ものダウンフォースを発生させる。イタリアのバロッコにあるテストコースでのラップタイムはMC20より5秒以上早くなったという。

■数々の専用パーツ

外観は空力性能向上のため、フロントフード、リヤフェンダーのエアインテーク、リヤスポイラー、リヤデュフューザーを専用に開発。リヤウイングは3段階でダウンフォース量を調整可能だ。

内装も軽量化のためにセンタートンネルを再設計。その上に配置するドライブモード設定ダイヤルは、人間工学に基づきドライバーの手元に近い位置に置かれる。操作パネル周囲は黄色く縁取られ、夜間でも見やすいよう配慮されている。

シートはカーボンファイバー製のダブルシェルシートで体格に合わせて2つのサイズを用意し、ドライビングポジションをさらに低く設定することも可能。オプションで3点、もしくは4点式のハーネスも用意されるなど、まさにレーシングカー然としている内容だ。

■実用性も考慮

実用面でも使いやすさに配慮した装備内容にも注目だ。アダプティブクルーズコントロールをはじめ、360度カメラ、パーキングセンサー、ブラインドスポットアラート、コネクティッドサービスなどを装備する。レーシングカーのテクノロジーとMC20譲りの快適性を両立したというGT2 ストラダーレ。サーキットでの実力はもちろんのこと、日本の公道での乗り味はいかほどか? 気になる1台である。

〈文=ドライバーWeb編集部・小暮〉