◆最新作「そういうゲーム」制作秘話
れなち:ヨシタケさんは昨年、絵本作家デビュー10周年を迎えられましたが、そもそも何がきっかけで絵本作家になったのですか?
ヨシタケ:僕は40歳で絵本作家になったんです。
れなち:それまでは違うお仕事をされていたんですよね?
ヨシタケ:はい、それまではイラストレーターといいますか“依頼を受けて絵を描く”ということをぼちぼちやっていたんですけど、いわゆる作品を発表したことはなかったんです。だから(絵本の作り方も)全然わからなかったんですけど、「絵本を作ってみませんか?」と声をかけてくださった編集者の方がすごくて、その方にいろいろ教えていただきながら、どうにか最初の本を作ることができました。
れなち:最新作「そういうゲーム」は、“生き方”をテーマにしていて、大人が読んでも“こういうシーンってあるよね”というものがたくさん散りばめられていますが、なぜこの本を描こうと思ったのですか?
ヨシタケ:僕はもともとすごく心配性で、昔からどんなことでも大げさに考えてしまう、というきらいがあるんです。なので、常に“そんなに考えすぎなくても、もっと気軽にやればいいじゃないか”って自分に言い聞かせているんですけど、そのなかの1つとして、「これはゲームみたいなものだから勝っても負けても変わらない」みたいな言い方を集めてみた、そんな本になっています。
◆ヨシタケシンスケが考える“いい本の条件”
れなち:ヨシタケさんは日常の些細な部分を切り取り、それを絵本にしていますが、自分の実体験だけでは、こんなにいろんな発想が出てこないんじゃないかなと思っていて。
ヨシタケ:僕は考え方や性格が、その人の仕草や表情に出ると思っていて。そういうものをコレクションしていくなかで、その人の“人間らしさ”が分かるんじゃないかなと。そういうのを集めるのが好きなんです。
れなち:昔から人間観察が好きでしたか?
ヨシタケ:そうでもないです。それに、小さい頃は絵を描くことも好きじゃなくて。大学に入ってから記録することが好きになりましたね。
れなち:記録することと、人を観察して何かを考えることって違ったりするじゃないですか。(記録を始める前も)いろいろ考えたりはしていたんですか?
ヨシタケ:僕にとって“どうしたら心配せずにいられるか”というのを日ごろから考えることが大事なことなんです。だから、嫌なことがあったときに“こう考えると面白いんじゃないか”“こう考えるといいんじゃないか”って自分で開発したことをメモしたり、どうすれば目の前で起きていることが面白いものになるのかを日々考えています。
れなち:となると、もし昔のヨシタケさんが、ご自身の描いた本を読んでいたら救われていただろうなっていう感覚はありますか?
ヨシタケ:そうですね。というのも、僕の本は全部“自分向け”に描いているというか、自分が子どもの頃に知りたかったことの答えが描いてあるかどうかが一番大事なんですよ。“こういう本があったら、当時の自分はもう少し安心して悩めたんじゃないかな”みたいな。そして、僕みたいな子は、いつの時代もどこの国にも一定数いると思うので、そういう子どもに向けて描いています。
あと、僕は“謎が残る本”がいい本だと思うんですよ。意味が分からない本ってずっと覚えていますし、“(本の意味を)分かるようになりたい”という気持ちって、“大人になりたい”“成長したい”という思いにつながっているような気がするので。
<番組概要>
番組名:山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
放送日時:毎週月~木曜 13:00~14:55
パーソナリティ:山崎怜奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/darehana/