12月1日、味の素とオレンジページが主催する「第12回ジュニア料理選手権」が神奈川県川崎市の味の素グループうま味体験館で行われた。本大会は中学生・高校生を対象に、家庭料理の楽しさや作る喜びを共有し、「食」の大切さを次世代に伝えることを目的としている。2012年からスタートした本大会は今年で12回目を迎え、史上2番目に多い1万6,558組の応募が全国から寄せられた。
今年のテーマは「大切な人を笑顔にするごはん」。書類選考やオンライン審査を経て選ばれた中学生と高校生が集い、最終選考の舞台で腕を振るった。個人部門と団体部門に分かれており、参加者はそれぞれの思いを込めた創作料理を披露。
芸人のこがけんさん、料理研究家の長谷川あかりさん、味の素の向井育子さん・中村玲香さん、オレンジページの原田直美さん・長谷川美保さんの6名が審査員を務め、味や見た目だけでなく、テーマに込めた思い、調理中のチームワークなどを評価してグランプリを決めた。今回は団体部門の表彰式の様子をまとめる。
喜びあり、悔しさあり「第12回ジュニア料理選手権」
まず中学団体では群馬県伊勢崎市立宮郷中学校家庭科部の「おじいちゃんの宝箱弁当」がグランプリを受賞。味の素・向井さんは味はもちろん、食材の彩が良かった点を評価して、さらには「チームワークがすごく感じられ、本当に素敵だなと思いました」と語る。横堀友捺さんは「背中を押してくれた先生や家族のおかげ」と感謝を口にして、「いろんな人を笑顔にできる料理を作りたいです」と喜びと抱負を語った。
準グランプリとなった東京都新島村立式根島中学校名物発信隊 inSHIKINE島の「式根島スペシャル ~明日葉島のり鯛チャーハン~」。オレンジページ・原田さんは「大きな鯛を見事にさばいていて練習の成果が見られました。明日葉や島のりのバランスがすごく良く、とてもおいしかったです」とコメント。斎藤凛空さんは「準グランプリという結果ですが、今日料理をしていてとても楽しかったです」と笑顔を見せた。
同じく準グランプリの沖縄県石垣市立石垣中学校・はいさい☆島んちゅバレー部の「~大好きな先生へ感謝の気持ちを込めて~島の恵みでつくる グルクン握り飯定食」。料理研究家・長谷川あかりさんは「素材の味を活かす味付けのやり方がすごく大人っぽくて非常に驚きました」と大人顔負けの味付けを絶賛する。漢那愛華さんは「グランプリという目指していた場所に届かなくてとても悔しいですが、このメンバーとここに立てたことは本当に光栄に思っています」と悔しさをにじませながらも胸を張った。
「楽しく料理に取り組んでいる姿がすごく印象深い」
高校団体では青森県立三本木高等学校・紅一点の「Chargingサンド」がグランプリを獲得した。こがけんさんは「発想が豊かで『この食材でこんなものが作れるんだ』ということを感じました」「キチンと分担していて、楽しく料理に取り組んでいる姿がすごく印象深いです」と発想力とチームワークを称える。小山田沙良さんは「正直気持ちの整理ができないんですけど」と興奮を抑えられない様子を見せ、「今日が一番間違いなく良いものを審査員の方々にお出しできたので本当に達成感しかないです」と練習の成果を存分に発揮できたと話した。
準グランプリは沖縄県立首里高等学校クッキング部の「未来をつなぐ子どもたちへ送る 県産食材たっぷり うちな~タコス!」。味の素・中村さんは「沖縄県産のゴーヤーやウコンとかパイナップルが入っていて、苦みの強い食材も多かったのですが、非常に味のバランスが良くて美味しかったです」と地元の食材を上手く調理した点を評価する。大地明花さんは「書類審査からオンライン審査、そして今日の最終調理審査、全て私たちの全力を尽くしたので後悔はありません」「これからも私たちの料理でたくさんの子供たちを笑顔にできるように頑張っていきたいと思います」と力強く語った。
もう一校の準グランプリは東京都実践女子学園中学校高等学校 JJクッキングクラブの「勝利を目指せ! スタミナ満点 アスリートミール」。オレンジページ・長谷川美保さんは「レバーというちょっと難しい食材を選んで、それを食べやすく、すごくバランス良く、工夫して美味しく仕上げているのが素晴らしいと思いました」と調理の上手さに賛辞を送る。菅野智月さんは「今回の活動は今年で1番頑張ったと思うので、正直グランプリを取れなかったことはちょっと悔しいです。ですが、最終審査まで残れたことは達成感があります」と今の気持ちを丁寧に伝えた。
審査員泣かせの接戦
表彰式後は審査員を務めたこがけんさんと料理研究家・長谷川あかりさんが締める。まずこがけんさんは「全ての料理に言わせてください」と前置きをして「ウーマイガー!」とギャグを披露。会場の空気を温めると「本当に僅差でみんなで審査しているのは本当に困りました」と接戦だったことを強調する。続けて、グランプリを獲得できずに悔しさをにじませる参加者に対して「『本当に美味しいものを作った』ということは自信を持ってほしいと思います」と励ました。
料理研究家・長谷川あかりさんは料理を作らなくても外食などで食事を済ませられる現状に触れたうえで、「こうして家庭料理を若いみなさんが誰かのために作って、一緒に食べてという取り組みを一生懸命されていて、そしてその喜びを体感しているというところに本当に希望が見えました」という。そして、「また明日からも美味しい料理を作ってもらいたいと思います」とエールを送った。
来年以降も誰かのために、加えて仲間と一緒に料理をすることの喜びを多くの若者が感じられるキッカケとして、『ジュニア料理選手権』が盛り上がっていくことを期待したい。