むかごとはどんな作物

むかごは、ナガイモ(長芋)、ヤマトイモ(大和芋)、ジネンジョ(自然薯)などのヤマノイモ類のツルの葉の付け根にできる直径1~2cmほどの肉芽。球芽(むかぶ)ともよばれています。皮を付けたまま調理して食べることができます。ヤマノイモ類の種芋として、土に埋めると春に芽が出ます。主な産地は、北海道、青森県、長野県です。

味はヤマノイモにそっくり

むかごの味は、ヤマノイモに似ています。ナガイモよりは味が濃く、ほのかな甘みがあり、塩茹でにすると味が引き立ちます。ジネンジョのような粘りは少ないので、加熱調理すると粉質のホクホクとした食感が楽しめます。

旬は10月~11月

むかごは山の幸として珍重され、日本料理で秋の味覚として使われてきました。9月ごろから収穫され、最盛期は晩秋。10月~11月に完熟して食べごろを迎えます。産地の直売所、ネット通販などで購入することができ、スーパーに出回ることもあります。

むかごに含まれる主な栄養とその効能

むかごは、地下部のヤマノイモ類と同様に栄養価が高く、皮ごと食べるので栄養を余すことなく摂ることができます。カリウムと食物繊維、炭水化物が比較的多い他、消化酵素のアミラーゼ、アミノ酸の一種のアルギニン、粘り成分(多糖類)が豊富に含まれています。これらの成分を解説します。

アミラーゼ

アミラーゼはでんぷんを糖に変える消化酵素です。食物の消化を助け、胃もたれや胸やけを防ぐとされています。

アルギニン

アルギニンは成長ホルモンの分泌を高めるアミノ酸です。疲労回復や活力アップ、免疫力の維持・向上に働くとされています。

多糖類

多糖類は多くの糖が連なった高分子の糖質です。栄養面では、血糖値の上昇を緩やかにするなどの効能が期待されています。

おいしいむかごの選び方と保存方法

むかごは日が経つにつれて乾燥が進み、皮にシワが寄ってきます。常温で放置するとカビが生えたり、白い芽や根が生えてくることもあります。適切な方法で保存して、新鮮なうちに食べるのがおすすめです。

むかごの選び方

皮にシワが寄っていない新鮮なものを選びます。また、粒の大きさは1~2cmと幅があるので、作る料理に合わせた大きさで、粒がそろっている方が調理しやすくなります。

むかごの保存方法

まず、むかごの表面を水で洗って汚れを落として水気を拭き取ります。
・冷蔵保存の場合は、キッチンペーパーや新聞紙に包みポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で2週間程度。
・冷凍保存の場合は、冷凍用保存袋に入れて平らにした状態で急速冷凍。または塩茹でして冷凍します。いずれも3週間程度、日持ちさせることができます。

むかごの調理は下処理がポイント

むかごは丸ごと食べられますが、皮には独特の土臭さがあります。気になる場合は、下処理してから調理するのがおすすめです。ここでは一般的な下処理の方法を紹介します。

ザルやすり鉢を使ってこすり洗い

水で洗ったむかごをザルまたはすり鉢に入れて、押し付けるようにして軽くこすり洗いすると余分な皮が剥がれます。

洗った後は水気を拭き取る

再び水で洗うと余分な皮と汚れが落ちて、洗った後の水が茶色に濁ります。むかごの水気を拭き取ったら下処理完了です。風味が落ちないように洗いすぎに注意しましょう。

むかごを使ったおすすめレシピ5選

むかごは塩茹でするだけで、おかず、おやつ、おつまみになります。秋の味覚として、炊き込みご飯の具にもよく使われます。ここでは、むかごの定番レシピとアレンジを紹介します。

むかご炊き込みご飯の枝豆あえ

定番のむかごご飯を手軽にアレンジ。旬のむかごに名残りの枝豆を合わせました。

材料(作りやすい分量)
・米      2合
・むかご    カップ1
・塩      小さじ1
・酒      大さじ1
・枝豆     20粒程度

作り方
1.米は洗って2合分の水に漬けて30分おく
2.枝豆はゆでて鞘を外しておく
3.むかごは下処理する

4.1にむかご、塩、酒を混ぜて炊飯する
5.炊き上がったら、枝豆を加え、混ぜて蒸らす

むかご甘辛みそ炒め

ホクホクのむかごに甘辛みそが絡んで、箸が止まらないおいしさ。5分で作れる一品です。

材料(3~4人分)
・むかご  カップ1
・みりん  小さじ1
・砂糖   小さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・みそ   小さじ1
・油    大さじ1

作り方
1.むかごはもみ洗いまたは下処理して、沸騰した湯で2分茹で、ザルに上げる
2.フライパンに油を引いて中火で熱し、茹でたむかごを炒める
3.みりん、砂糖、しょうゆ、みそを加えて、むかごと絡める

むかごバターホイル焼き(1人分)

フライパンを使わない、むかごの塩バター。バターじょうゆ味にアレンジしてもおいしい。

材料
・むかご  カップ1/2
・バター  10g
・塩    適量

作り方
1.むかごはもみ洗いまたは下処理して、水気を切る
2.アルミホイルを30cmほどの長さに切り、むかごとバターを乗せる。
3.2をふんわり包んでトースターで10分焼き、塩を振る

むかご串揚げ

串に刺したむかごの素揚げ。食べやすく、見た目も楽しく、秋の珍味をいただきます。

材料(作りやすい分量)
・むかご カップ1/2
・揚げ油 適量
・塩   少々

作り方
1.むかごはもみ洗いして水気を拭き取り、3~4個ずつ爪楊枝に刺す
2.揚げ油を中火(170℃)に熱して1を揚げる。2分程度が目安
3.油から上げ、塩を振る

むかごとぎんなんのかき揚げ

どちらも秋の味覚のむかごとぎんなんは、大きさや食感も調和する最強コンビ。ひとさじ大のかき揚げにしました。

材料(2人分)
・むかご  カップ1/2
・ぎんなん 20粒(殻を外して薄皮をむいておく)
・天ぷら粉 1カップ
・水    3/4カップ
・油    適量
・塩    少々

作り方
1.ボウルに天ぷら粉と水を混ぜ、天ぷら衣を作る
2.むかごはもみ洗いまたは下処理して、水気を取る
3.天ぷら衣にむかごとぎんなんを加えて混ぜる
4.油を中火(170℃)に熱し、3を大きめのスプーンで静かに入れ、こんがり揚げる
5.油を切って、塩を振る

ホクホクと懐かしい里の味

今は珍しいむかごですが、懐かしい里の味覚として記憶している人も居るのではないでしょうか。最近初めて食べる人も、ほのかに土の香りのする、ホクホクとした味わいに、懐かしさを感じるかもしれません。むかごの正体は、ナガイモなどのヤマノイモ類のツル葉にできる球芽で、簡単な下処理で、皮ごと食べられ、栄養価も高く、調理もしやすい食材です。スーパーや直売所で見掛けたらぜひ手に取って、里の秋を味わってみてください。