終活は、人生の最終章に備え、医療や介護、相続の希望を整えたり、これまでの人生を見つめ直したりする大切なプロセスです。しかし50代は、本格的に始めるにはイメージが付かないことも多いものです。今回は、50代の方が、本格的に終活に入る前のシンプルライフのメリットをまとめます。

◆終活で行うことはどんなこと?

終活は、人生の最終章に備え、医療や介護、相続の希望を整えたり、これまでの人生を見つめ直したりする大切なプロセスです。具体的には以下のことを行います。

・財産整理(資産を現金に換える・使わない口座やカード類を解約する)

・資産の目的別管理(介護費用など確実に必要なお金を別口座で管理する)

・荷物整理(持ち物を整理する)

・エンディングノートを作る(自分年表作成・介護の希望をまとめる・財産の情報をまとめる)

・葬儀やお墓について考える(埋葬方法を決める・墓じまいをする)

しかし、50代の方にとっては、まだその具体的なイメージが見えず、取り組みにくいと感じることもあるかもしれません。そこで、まずは生活をシンプルに整理し、自分が大切にしたいものや優先したいことを見極めることから始めましょう。

◆本格的な終活の前に生活をシンプルにすることのメリット3選

50代が、今後本格的な終活を始める前に生活をシンプルにするメリットにはどのようなものがあるのか以下に3つご紹介します。

◇メリット1:60代以降のセカンドライフの計画が立てやすくなる

50代で前半の人生を振り返り、楽しかったこと、やりたいことを整理することで、自分らしい60代以降の過ごし方が見えてきます。以下に具体例で詳しく説明します。

【趣味や興味の再発見】

30代・40代に仕事や家事に追われて遠ざかっていた趣味(写真、ガーデニング、登山など)にもう一度触れてみることです。こうした趣味は、老後の余暇を豊かにするだけでなく、社会とのつながりや新しい友人を作るきっかけにもなります。「50代でやり残したことを再開する」と考えると、生活が一層充実し、これからの人生に楽しみが増します。

【旅行やチャレンジしたいことのリスト化】

若い頃から行きたいと思っていた場所や、一度は挑戦してみたいと思っていた体験(海外旅行やトレッキング、地域のボランティア活動など)をリストにまとめてみます。リストの中から、具体的に取り組むことを計画するとよいでしょう。60歳以降のセカンドライフでの新たな目標になります。

【人間関係の整理・再構築】

長年疎遠だった友人に連絡して再会したり、今後関係を大切にしたい人との絆を強めたりすることが考えられます。今まで築いてきた人間関係を見直し、新しいつながりを求めるのもよいでしょう。老後は孤立が不安材料になりやすいですが、50代から前向きな人間関係を築くことで60歳以降のセカンドライフの安心感が得られます。

◇メリット2:お金の使い方に優先順位がつく

生活をシンプルにすることで、今まで必要だと思っていたものに対して、「本当に必要?」「別の方法はないかな?」と考え直す機会が増え、出費の優先順位が明確になります。例えば、毎月かかっているサブスクリプションサービスの料金を見直して「よく使っているか?」を考えることで、無駄な出費を減らせます。

また、「旅行や趣味にもっと使いたい」と思えるようになれば、日々の買い物も自然と節約しやすくなり、目標に向かう意欲も湧いてきます。こうした整理ができると、老後を充実させるための大切なお金の使い方が見えてきて、やりたいことに向かってポジティブに取り組む意欲も高まるでしょう。

◇メリット3:心身の負担が軽減され、健康的な生活が送りやすくなる

生活をシンプルにすることで、持ち物や日常のタスクが減り、余計なストレスが軽減されます。これは、健康を意識し始める50代にとって非常に重要です。例えば、物が少ないと部屋の掃除や片付けも楽になり、気持ちにゆとりが生まれます。

また、ストレスや圧迫感が減ることで、気分が前向きになり、老後の生活にも明るい影響を与えます。健康な心身で過ごすためにも、シンプルな生活は大きな助けとなるでしょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。

文=舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)