もっと子供の笑顔があふれる社会になれば、少子化に歯止めをかけられるかもしれない。
“チルドレンファースト”な社会の実現を目指す東京都は、企業やNPO、学校、市区町村などと連携したプロジェクト「こどもスマイルムーブメント」を推進している。その一環として、子供の笑顔を育む先進的な活動を行う企業・団体を表彰する「こどもスマイルムーブメント大賞」を創設。11月27日、東京都庁で受賞企業・団体を発表するとともに表彰式が行われた。
表彰式には小池百合子東京都知事をはじめ、アンバサダーを務めるタレントの伊集院光さん、パラアスリートの谷真海さんが登壇。受賞者らに賛辞を送った。
▼官民一体で子供にスマイルを! 6つの企業・団体が大賞を受賞
「こどもスマイルムーブメント」は約1900の企業や団体などと連携し、子供の笑顔があふれる社会、安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指して活動している。
なかでも革新的な取り組みを行う企業や団体を「こどもスマイルムーブメント大賞」として表彰。今年度からは「子供部門」「子育て世代部門」の2部門に分け、小中高生や保護者などの投票によって最優秀賞、優秀賞を決定した。
各部門ともに取り組みの先進性やオリジナリティ、社会貢献度の高さで受賞者を選定。さらに「子供部門」では子供の意見が反映されているかどうか、「子育て世代部門」では子育て世代や利用者のニーズが的確に反映されているかどうかも重要な評価基準となる。
「子供部門」の最優秀賞には、子供たちによるフリーマーケット「キッズフリマ」を運営する特定非営利活動法人キッズフリマが選出。キッズフリマは本物のお金を使った売り買いを通して、子供の金融リテラシーやリユース意識を育むことを目的とした体験型イベント。2006年から都内で280回開催し、総来場者は約12万人にも及ぶ。
小池都知事から賞状と盾を授与された代表理事の赤池慶彦さんは、「この受賞を機に、もっと多くの東京都の子供たちにフリマ体験を通じた学びの場を 広げていけるよう、スタッフ一同尽力していきたい」と喜びを語った。
「子供部門」の優秀賞には、スポーツを通して災害時に役立つ知識を習得するイベント「防災スポーツ」を手がける株式会社シンク、オンラインキャリア教育プログラム「tobira ドリームプロジェクト」を展開する一般社団法人育児総合研究協会が選ばれた。
続いて「子育て世代部門」の最優秀賞は株式会社GOOD PLACEが受賞。育業取得者と同僚社員の両者を支える子育て休業応援手当制度を大手企業に先駆けて取り入れ、育業取得の企業風土を醸成したことが評価された。
会社を代表して登壇した総務課課長の松井伸城さんは、「男性の育児休業の取得が進まないという課題があるなか、2年ほど前からこの施策を進めてきた。少しずつ男性も当たり前に育児休業を取得するようになり、昨年度と今年度は女性・男性とも取得率100%となった。今後も課題解決のために尽力したい」と熱意を述べた。
このほか「子育て世代部門」の優秀賞には、子育て女性への応援プロジェクトを推進する一般社団法人ANDMAMACO、保育施設向けのおむつのサブスク「手ぶら登園」サービスを提供するBABY JOB株式会社が選ばれ、壇上で代表者が表彰状を授与された。
アンバサダーを務めた伊集院さんは、「子供部門」の受賞企業・団体の取り組みについて「同世代の友人たちは父や母になることで子供を終え、親の役割を果たすようになったが、私は子育て経験がなく、妻には「あなたは57歳児の子供」だと言われる。だからこそ子供の目線で、1年間この新しい取り組みを見てきた」と振り返り、「今回受賞された企業・団体は、子供たちが自分からやりたい、面白いと思うであろう取り組みをされている。すべての参加企業や団体の皆さんに感謝を伝えたい」と述べた。
アスリートで2児の母でもあるアンバサダー谷さんは、「東京都の子育て支援は年々充実してきている。出産準備金で5万円、出産してから10万円のクーポンをもらえ、2人目からは保育園も無償になるなど、子育てにかかる負担は減少したと思う」とリアルな感想を述べる。
さらに「子育て世代部門」の受賞企業・団体の取り組みについては「東京都からの支援によって負担が減った分、便利なサービスの利用にお金を使うことができる。実は、私の次男が通っている保育園で10月からBABY JOBのおむつのサブスクが導入され、我が家でも活用して便利さを実感している。東京都と民間の取り組みによって、東京が子育てをしやすい街になっていることを心強く感じている」と語った。
最後は小池都知事が登壇。小池都知事は「毎年、素敵な取り組みをしている方々を励ましたいという気持ちで、『こどもスマイルムーブメント大賞』の表彰式を行ってきた。子供たちが素晴らしい体験を通して、夢を膨らませながら健やかに育っていく。そして子育て世代にとっては、安心して子供を産み育てられる東京にしていく。そんな社会を実現するためにも、多くの皆さまの力強いサポートが不可欠だと感じている」とコメント。
今後の展開については、「結婚や出産、子育てはリスクだと皆が思っているようでは、どんどん社会からスマイルが消えてしまう。子育てが楽しい、結婚でワクワクすると感じられる東京にするために、チルドレンファーストな都政を目指したい。今後も都民の側、受け手側の目線に立った取り組みをすることで、出産や子育てをリスクではなく楽しみに変えていきたい。今後も『こどもスマイルムーブメント』の取り組みをさらに広げて深めていく」と訴え、表彰式を締めくくった。