ヤクルト・小澤怜史 (C)Kyodo News

 今年も11月14日にZOZOマリンスタジアムで『12球団合同トライアウト』が開催されたが、トライアウトから2週間が経過し、現在NPB球団への移籍が決まった選手は日本ハムに育成で入団した清宮虎多朗の1名のみ。

 昨年も12球団合同トライアウトに参加し、NPB球団へ移籍できたのは井口和朋と吉田凌の2人。その吉田は合同トライアウト後に、非公開で実施した入団テストに参加しロッテに育成選手として入団したが、シーズン中に支配下選手となるもシーズン終了後に戦力外通告を受けた。

 合格するだけでなく、トライアウトを経て、新球団で活躍することも難しいのが現実である。

 そんな中で、20年ソフトバンクを戦力外通告となり、同年に行われたトライアウトで3者連続三振とアピールし、ヤクルトに育成選手として入団した小澤怜史は今ではスワローズに欠かせない存在となっている。

 移籍1年目途中にサイドスローに投球フォームを変更し、2年目の22年途中に支配下された。同年6月26日の巨人戦で移籍後初登板を果たすと、7月3日のDeNA戦でプロ初先発し、5回3失点でプロ初勝利を挙げた。同年10試合・46回を投げ、2勝1敗、防御率4.11で終える。背番号を『45』に変更した3年目の昨季は開幕一軍を掴むと、先発、リリーフにフル回転し29試合に登板して6勝4敗2ホールド、防御率3.02。

 そして今季は開幕先発ローテーションを掴み、5月まで防御率2.77も0勝5敗と勝ち星がつかず、6月からリリーフに配置転換。6月23日の巨人戦から7月16日の中日戦にかけて7試合連続無失点に抑えると、オールスター明けは8月2日の巨人戦でプロ初セーブをマークし、その後はクローザーを務めた。今季は40試合に登板して、6勝6敗2ホールド11セーブ、防御率2.55と、ブルペン事情が苦しかった中で頼りになった。

 トライアウトで合格も狭き門だが、そこから一軍で活躍するも難しい中で、小澤はチームに欠かせない存在となった。