ゴム人工筋肉のやわらかいロボット「Morph(モーフ)」に身をゆだねて“無の時間”を過ごす無目的室が、カルチャーの街・下北沢に、12月20日まで登場しています! ……と言われたら、「やわらかいロボットの、無目的室……はて?」と頭の中にいくつも「?」が浮かぶことかと思います。実はこれ、車のタイヤでおなじみブリヂストンの社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」が、ゴム人工筋肉を活用したソフトロボティクス事業としてウェルビーイング市場に本格的に参入する、その手始めのイベントなんです。

  • 「無目的室 Morph inn」が下北沢に期間限定でオープンした

ゴム人工筋肉×自然界のモーション=やわらかいロボット・Morph

Morphは、ブリヂストンが研究を重ねてきたゴム人工筋肉と、自然界のモーションを収録・再生するテクノロジーをかけ合わせて誕生した、ゴムの力を活かしたやわらかいロボット。見た目は大きなソファーベッドといったところですが、なにやらチューブ的な、ホース的なものがついていて、ただの家具ではないことがうかがえます。

  • ゴム人工筋肉でできたやわらかいロボット「Morph(モーフ)」

この大きなMorphに横になり、小さなMorphを抱きかかえながら“無になる時間”を過ごす……というのが、「無目的室 Morph inn(モーフイン)」です。Morphに体を預けているうちに、ふだんは無意識に制御している感情に向き合ったり、目的から解放される感覚を味わうことができるそうで、これまでに実験店舗として5月に表参道店を、8月に虎ノ門ヒルズARCH店を運営。そこでかなりの手ごたえを感じたことが、今回の下北沢店につながりました。

  • 「ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ」CEOの音山哲一さん

体験した人からの「仕事の合間にきました。短時間でリフレッシュできたのがよかった」「物理的に暖かいわけじゃないのに、動きで体温を感じるのが面白かった」「耳元に生き物がいるような感覚がした」といったポジティブな反響から、これはイケる! と確信。目的にあふれた多忙な毎日の中には、無益で目的のない時間というものが実は大切で、そうした“無になる時間”が、これからロボットで市場を作っていくうえでの大きなキーになると同社は考えているそう。

  • 同社主幹・創業メンバーの山口真広さん

Morphに甘え、甘えられながら過ごす“無の時間”

「Morphは家具なのか生き物なのか、ロボットなのかわからないようなデザインをしています。生き物や自然界の動きをデータに変換して人工筋肉を動かす技術を開発し、動きにもこだわりました。下の“大Morph”はスケールの大きな生き物や、大地の鼓動のような動き。上の“小Morph”は、昆虫やお猿さんのような小動物に甘えられているような動きを帯びています」。プログラムで決まった動きを選んだり、体の凝った部分に効くような操作ができるものではなく、ある意味“コントロールできないような装置”としてMorphは存在している、と同社創業メンバーの山口真広さん。ううむ、何やら哲学的になってきましたが、実際にMorphでどんな体験ができるのでしょう?

  • Morphは家具なのか生き物なのか、ロボットなのかわからないデザインをしている

「大きなMorphに甘えながら、小さなMorphに甘え、そして甘えられている、という構造です。これこそ“真の甘え”」というわけで、甘え甘えられながら“無の時間”を過ごすのだそう。まるで禅問答のような解説にはクスリとさせられますが、実際にMorphを体験してみると……

  • 山口さんがMorphを体験しているところ。「Morphに甘えながら甘えられている」最中です

どっしりした大Morphに寝転がり、重くない程度にずっしりとした厚みを感じる小Morphに体を包まれ、ゆらゆらした振動やモギュモギュとした不規則な動きを感じているうちに、やがてその体の感覚だけに集中していきます。寝落ちする直前の“何も考えていない瞬間”や、ちょうどいいお湯加減の湯船にボーっと浸かっている時にも似た、ただただ心地良さの海を漂っているような、不思議な感覚。約2分ほどのお試し体験だったので、「15分、いや30分は欲しい……!」と、後ろ髪を引かれる思いでMorphを後にしました。

  • 視覚・聴覚・嗅覚の演出で体感をより拡張する「バーチャル森林浴」by ZZZN NATURE(ズズズンネイチャー)は12/9〜12/16の期間限定プラン

ちなみに今回の下北沢では、“無になる”価値に共感したパートナー企業とのコラボレーションも実現。“無を深めたり、無から冴えへ誘う”スペシャルドリンクや、Morph中のバーチャル森林浴、無の価値を追求すべくシーシャ(水タバコ)の原理を応用した“吸うお茶”など、「無前」「無中」「無後」なるコンセプトで、“無の体験”をより高めるための拡張体験メニューも用意されています。

  • シーシャの原理を応用した「茶香(吸うお茶)」by Art Collective Ochillは11/30までの期間限定プラン

「人がロボットのように働くのではなく、人が“あるがまま”でいることを受け入れてくれるやわらかいロボットによって人間性を回復する」ことを目指す同社が、最新のロボットテクノロジーによって追及する“無になる時間”。もしかしてこれは、サウナや座禅、瞑想に続く、ウェルビーングの新たなカルチャーのひとつになる……かも? 「無目的室 Morph inn Shimokitazawa」は、京王井の頭線 下北沢駅高架沿いの複合施設・ミカン下北にて、12月20日までの開催です。

  • 協業企業のみなさんと(VIE、ZAKONE、京王電鉄、Ochil、日本草木研究所 ※順不同)

■information
「無目的室 Morph inn Shimokitazawa」
会場:ミカン下北 E街区2F「砂箱」
期間:11月28日~12月20日(11:00〜21:00) 火・水休
料金:1,500円~(※プランにより料金は異なる)/期間限定プランを除きサービスは1人25分間
協賛:VIE、第一三共ヘルスケア、ZAKONE(NTT東日本グループ・エステー)、FAIRGROUND Bar&Wine shop、ミカン下北(京王電鉄)・SYCL by KEIO、Ochil、日本草木研究所