ABABAは2024年11月27日、「就活うつに関するアンケート調査」の結果を発表した。同調査は2024年10月29日~11月12日、2025年3月卒業予定の大学4年生のうち、「就活うつを自覚したことがある」という学生300名を対象にインターネットで実施した。
本調査を行うにあたり、就活うつを自覚したことがある学生を募るための事前調査を実施。2025年3月卒業予定の就活生1,277人のうち、「就活うつになった」、「就活うつっぽいと感じた」と回答した人が合計で46.3%にも上り、半数近い就活生が、就活を原因として心身のバランスが崩れる「就活うつ」の自覚症状があったことがわかった。
以下は、上記の事前調査により「就活うつになった」、「就活うつっぽいと感じた」という方を対象としたアンケート調査である。
「就活中に死にたいと思ったことがありますか?」という設問に対し、ほぼ半数の49.3%の就活生が「ある」と回答した。一時的にでも死にたいと意識してしまうほど、学生にとって就活がつらいものになってしまっていることが伺える。
就活うつへの対処として「親や友人に打ち明けて相談に乗ってもらった」という回答が40.3%と最も多く、次いで「特に何もしなかった」という回答が32.3%だった。また、「就職活動を一時的に止めた」が18.7%という結果に対し、「面接やエントリーの数を増やした(考える時間がないくらい動いた)」という意見も14.7%あった。そのほか、14.3%の学生が「専門機関でカウンセリングや診断を受けた」という回答だった。
就活がつらいと感じた原因を尋ねると、「就活の期間が長く、先が見えにくいから」が40.7%、「選考に落ちたから、または選考落ちが続いたから」が40.0%と多数を占めた。その他、「周りの友人と比べてしまった(内定数、内定先など)」(32.0%)、「面接に落ちて自分を否定された気がしたから」(31.7%)などの意見も3割以上を占めた。
就活うつによる影響・変化はあったかという質問に対し、最も多かった回答は「内定が決まっていない自分自身には価値がないと感じるようになった」が42.7%と、半数近い学生が自分を否定する考えに陥っていたことがわかった。そのほか、「内定が決まっている友人と気まずくなった」(19.3%)、「仲がいい友人や親とも会いたくなくなった」(16.0%)など交友関係への影響や、「就活セミナーや勉強会に行く気が失せた」(20.0%)、「面接をキャンセルしてしまった」(17.0%)、「エントリーシートの申込が怖くてできない時期があった」(16.7%)など活動自体に支障をきたしていた学生も見受けられた。
うつを自覚した症状について質問すると、「なにもやる気が起きなくなった」という回答が54.0%と半数以上を占めた。次いで、「よく眠れなくなった」が35.7%、「ベッドから起き上がるのが億劫になった」が25.0%など、心身ともに影響がでていることがわかった。また、その他(自由回答)の回答の中には「涙が止まらなくなった」や「好きなことにも興味がなくなった」というコメントもあった。
就活うつの原因は何かと質問すると、「自分の頑張りが足りないから」という回答が最も多い62.7%で、そのほかの回答と大きく差を付けた。2番目に多い回答は「企業との相性が良くないと感じたから」(30.3%)だった。
一方で、「企業の見る目がなく、採用してくれないから」(17.3%)、「大学のキャリアセンターやセミナーで良い対策を教えてくれなかったから」(9.3%)、「親や友人がアドバイスをくれないから」(6.3%)という回答も一定数あったが、学生の多くが就活うつの原因が「自分自身の努力不足である」と考えてしまう傾向があることがわかった。
就活うつを患っていた期間を尋ねると「1週間以上、2週間未満」(23.3%)、「2週間以上、1か月未満」(19.7%)、「1か月以上、3か月未満」(21.0%)がそれぞれ2割程度でボリュームゾーンであることがわかった。
また、「3か月以上、6か月未満」が11.0%、「6か月以上」が7.0%と、長期間就活うつを患っている学生も一定数いることがわかった。
就活うつにより就活を中断したかという質問に対し、「中断しなかった」と回答した学生が50.0%と半数を占めた。また、中断したと回答した学生の中でも、中断期間が長い方が人数は少ない傾向にある。
就活うつを自覚していても、「早く就職先を決めたい」、「休んでいる場合ではない」という学生の意思や焦りなどが影響していると予想できる。
就活うつが改善したタイミングを尋ねると、「1社目の内定が決まったとき」が33.3%と最も多く、次いで「時間の経過とともに自然と楽になった」が28.7%という回答だった。
また、「今もまだ就活中、または就職浪人が決まっており、改善されていない。」という回答が24.0%と3番目に多く、就活うつは現在進行形で続いている解決すべき課題であることがわかる。
「就活うつが社会問題であることを知っていましたか」という質問に対し、「はい」という回答は43.7%、「いいえ」という回答は56.3%だった。
就活うつは、人生の大きな節目である就職活動の最中に、心身の健康や人間関係に悪影響を及ぼし、最悪の場合には命を脅かす可能性を孕んでいる。それが学生自身に降りかかっている社会問題であり、自分自身が当事者であることを認識することが重要であると考えられる。