年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢について、専門家が解説します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢についてです。

◆Q:特別支給の老齢厚生年金を受給できる年齢は、女性と男性とで違うのですか?

「特別支給の老齢厚生年金は女性と男性で、もらえる年齢が違うの? 昭和36年5月生まれの女性です。私はもらえるのでしょうか?」(Nさん)

◆A:特別支給の老齢厚生年金は性別や生年月日に応じて受給開始年齢が違います

昭和60年に年金制度の法律改正がありました。この改正で厚生年金保険の受給開始年齢が、60歳から65歳に引き上げられました。受給開始年齢の引き上げをスムーズにするため、生年月日や性別に応じて段階的に年金を受け取れるように特別支給の老齢厚生年金制度は設けられました。

特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには、次の要件を満たすことが必要です。

・男性:昭和36年4月1日以前生まれ

・女性:昭和41年4月1日以前生まれ

・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある

・厚生年金保険等の加入期間が1年以上ある

・生年月日に応じた受給開始年齢に達している

特別支給の老齢厚生年金は、性別や生年月日に応じて受給開始年齢が違います。相談者は、昭和36年5月生まれの女性とのことですので、要件を満たしていれば62歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れます。

参考までに、生年月日と性別に応じた受給開始年齢は画像の通りです。

生年月日と性別に応じた特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢/出典:日本年金機構のホームページ

日本年金機構のホームページで確認できます。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

文=All About 編集部