Ryzen 7 9800X3D発売記念イベントは「買えなかったゲスト」も登場

2024年11月23日、秋葉原でAMD Ryzen 7 9800X3D発売を記念したイベント「AMD FAN FES 2024 in AKIBA」が開催されました。

  • 2024年11月23日、LIFORK 秋葉原ⅡにてAMD Ryzen 7 9800X3D発売を記念したイベント「AMD FAN FES 2024 in AKIBA」が開催

  • 開場待ちの長い列!「もうちょっとキャパのある会場にすればいいのに」という声も

会場はLIFORK 秋葉原Ⅱで、登場したのはメインMCに日本AMDの佐藤美明氏と、アシスタントMCに鈴木咲氏。ゲストとしてテクニカルライターの高橋敏也氏と加藤勝明氏。そして、マザーボードメーカーのスピーカーとしてASRockの原口有司氏、ASUSの市川彰吾氏、GIGABYTEの渡辺隆之氏とMSIの中島悠太氏という、AMDイベントとしては安定のメンバーと言った趣です。

BTOメーカーの展示もありましたが、後述のようにCPUの確保ができるかどうか問題があることから参考出品の様子。会場がやや狭いこともあり、イベントは終始大入り満員でした。

  • 今回参加したパーツメーカーの展示

  • 今回展示された各社BTOパソコン。個人的には一番右のフロントが木のケースが好みです

  • AMDイベントということで展示機のスペックはほぼ同じ。AMD Ryzen 7 9800X3Dの入手が現在厳しいので、各社参考展示のようです

前半はAMD 佐藤氏とテクニカルライターの2名がAMD Ryzen 7 9800X3Dを紹介しました。AMD Ryzen 7 9800X3Dの人気が世界的に高く、「この入荷量なら2カ月持つ」との事前判断でしたが、実際にはAMD Ryzen 7 9800X3Dが発売の週末だけで瞬殺し、高橋氏は買えなかったと漏らす場面も。

来場者で手を上げてもらったところ、20名以上が購入できたとのこと。一方、「(今在庫があって)買えるならば買いたい」という手も多く上がっており、人気のほどを感じさせていました。

  • 本日のタイムスケジュール。ちなみに各マザーボードメーカーのパートは記事では割愛しています(以下、スクリーンショットはYouTubeの配信画像から引用)

CPUの紹介は佐藤氏が行いました。1つ前のAMD Ryzen 7 7800X3Dからは構造を大きく変え、CPUダイの上にキャッシュメモリを載せている構造は同じですが、ヒートスプレッダにCPUダイが触る構造になっています。この「上下ひっくり返した」構造によって、CPUダイの冷却がスムーズに行えるようになったと説明。動作クロックの上昇も行いやすくなっています。

  • テクニカルライター2名を交えたCPUの紹介とベンチ結果のパート。左の高橋敏也氏が着ているAMD50周年のジャンバーもレアですが、右の加藤勝明氏のAMDパーカーも日本で4名ぐらいしかない超レアアイテムとのこと

  • AMDの佐藤美明氏の説明からスタート。ザックリ説明すると、こんな感じでパワーアップしています……ザックリしすぎ!

  • 今回AMD V-Cacheが第2世代となり、CPUコアが入っているCCUとヒートスプレッダが密着することで放熱性がアップ。放熱がかなり楽になったところがポイント

  • ライバルの最新世代プロセッサと比較しても、こんなにパワーアップというAMDサイドの資料でした

  • AMD Ryzen 7 9000シリーズはゲーマー向け以外にもクリエイター向けのRyzen 9 9950X /9900Xのように多くのコアを持つ製品もありますし、Ryzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xのように公称65Wだけど105Wにクロックアップしても保証範囲内という製品もあります。また、AM5ソケットは2027年まで製品があるというのもポイント

性能に関しては、加藤氏がベンチマーク結果を出しての解説を行いました。まず、AMD Ryzen 7 7800X3Dとの価格差はわずかで、(為替レートの変動も考えると)非常に良い製品と紹介していました。

  • 以下、加藤氏のRyzen 7 9800X3Dの説明パート。十分な量を確保したけどバカ売れで発売週しか売ってないという結果に。一方、前世代の実売比較は数千円レベルでライバルよりも頑張っているとのこと

  • アップグレードで気を付けなければいけないのは最新のBIOSにアップデートしておく程度なので、あまり苦労せず「運よく買えれば」すぐにアップグレードできます

ライバルCPUは最大で300Wを超える消費電力だったのに対して、AMD Ryzen 7 9800X3Dは最大でも約150W。パフォーマンス/ワットに優れるという結果を出していました。

  • 一般ベンチマーク。ライバル製品はコア数が多いのでマルチコアベンチでは負けてますが、シングルスレッドではほぼトントン

  • 一方、高負荷時の消費電力は前世代よりは消費電力が上がっているもののライバルの半分程度

  • Zen5になってパワーが出る反面、消費電力もアップというのが結論でした

ゲームに関しては様々なゲームでのベンチマークをとっていましたが、1つ前のAMD Ryzen 7 7800X3DとライバルCPUよりも全体的に高い性能を発揮する一方、高解像度高負荷環境ではGPU側がボトルネックになるのであまり変わらないことと、コアを多く必要とするタイトルではライバルの方が早いことも。一方、一つ前の上位製品は3Dキャッシュの載っているCCUと載っていないCCUがあるので、設定をきちんと行わなければならないことを考えると9800X3Dは扱いやすいとコメント。

今回検証に使ったGPUがミドルレンジだったこともあり、画質と解像度を向上させるとCPUの優位性が薄れることも示しており、なかなか興味深い計測結果となっていました。ライバルCPUはコア数が多かったため、NPCやAI等で演算が多いタイトルでは強みがある反面、全体を通してみると順当な進化を感じさせていました。

  • ゲームは57タイトルをFHD画質低とWQHDの最高画質の二種類で計測……大変ですな

  • FHD環境ではこのような感じで対7900X3Dだとトントンか勝ち。対14900Kでもトントンかツヨツヨとおおむね最強のゲーマー向けCPUの価値はありそうです

  • WQHD環境はGPUが律速段階となるため、CPUの差があまりないという結果になっていました

  • (加藤氏は今後出るかもしれない)上位製品も以前と同じような作りだと、X3D CacheのあるCCUとないCCUがあるので設定が難しくなる上、物理8コアで普通は十分と判断している様子

  • 今回の検証では低遅延を狙う場合はRyzen 7 9800X3Dは多くのゲームで強いが、高画質を狙うとGPU性能が効くので差が縮まると判断している様子

その後、マザーボードメーカーによるプレゼンがあったのち、参加メンバー全員による座談会を実施。「ぶっちゃけAMDってどうよ?」という、ここでもAMD Ryzen 7 9800X3Dの入手難が話題になっていました。実はこの手のプロセッサとしては過去最高の「4桁個」を日本に出荷したとのことで、瞬間的に日本の小売市場でAMDのCPUシェアが70%を超えたそう。

  • ということで今回の参加者全員によるトークセッション。一番左はタレントの鈴木咲さんです

一方、X3Dの製品は過去の製品でも「全く買えない時期が続いた」とAMDに対する苦言は続いていました。もう1つは話題になっていたのはRadeon GPUで、「ツヨツヨでNVIDIA GeForce RTX 4090を超えるものを出してほしい。昔は2つ束ねていた。2つでダメなら4つで」と過激な発言で会場を沸かせていました。

最後に飛び出してきたのが「リハーサル時からその辺にほっぽかれていたというCPUパッケージ」。実はAMD Ryzen 7 9800X3Dで、リサ・スーのサイン入り。こんな貴重な逸品にもかかわらず、どのような形で使用するのかまだ決まっていないらしいです。

  • 実はこんなところにこんなものが……と出てきたのがLisa Suサイン入りのAMD Ryzen 7 9800X3D×2

  • 全員で「AMD HEROES!」の掛け声でイベント終了。イベントを全部見たい人はアーカイブも公開されています