KDDIは11月27日、鳥羽商船高等専門学校との間で連携協定書を締結した。両者の連携により、同校が新造する練習船「鳥羽丸」にStarlinkを活用したau基地局を設置し、災害時に迅速なauエリア復旧を行うための船舶型基地局としての運用を2025年3月をめどに開始する。

  • 練習船「鳥羽丸」

    練習船「鳥羽丸」

船舶型基地局は、災害時に船の上に設置されている基地局から島や沿岸部に向かって電波を発射することで、エリア復旧を行う。バックホール回線としてStarlinkを活用することで、災害時でも高速・低遅延なau通信を利用できる。

  • Starlinkアンテナ

    Starlinkアンテナ

KDDIは2011年の東日本大震災において道路の寸断や光ケーブルの切断により陸路からの基地局復旧に困難を要した経験から、沿岸地域の通信エリアを船舶に搭載する基地局によって復旧できるよう、実証試験や訓練を行っている。船舶型基地局はこれまでに6局設置されており、このたびの「鳥羽丸」が7局目。南海トラフ地震に備え、太平洋側を中心に設置されてきたが、今後は日本海側への船舶型基地局設置も進めていくとしている。

実際に、2018年の北海道胆振東部地震や2019年の台風15号の際にはケーブル敷設船「KDDIオーシャンリンク」に設置された船舶型基地局によるエリア復旧を行っている。また2024年の能登半島地震ではバックホール回線としてStarlinkを活用した船舶型基地局が運用されており、被災地の迅速なエリア復旧に貢献した。

「鳥羽丸」は、外洋での航海術を習得するために建造された練習船。これまで練習船は実習目的のみで使用されていたが、そこに基地局を設置することで実習だけでない練習船の有効活用を目指すという。

協定では船舶型基地局の設置・運用およびそれに備えた訓練の実施に加え、KDDIの災害用物資の搬送についても定めている。