阪神電気鉄道は27日、「青胴車」の愛称で親しまれた普通用車両5001形について、2025年2月に運行終了し、引退すると発表した。引退にあたり、「HANSHIN ミステリー・エクスプレス 行方不明列車」「5001形貸切列車プラン」をはじめ、感謝の気持ちを込めた各種イベントを開催する。

  • 「青胴車」の愛称で親しまれた阪神電気鉄道の普通用車両5001形が引退(写真は2023年撮影)

同社は長きにわたり、「阪神電車の顔」として「赤胴車」「青胴車」を運行してきた。平均1kmにも満たないほど駅間距離の短い路線で、都市間鉄道ゆえに列車本数も多く、ラッシュ時の集中度が高いことから、特急の運行を妨げない高加速・高減速の普通用車両が必要に。1958年に試作車として開発された初代5001形は、加減速性能の高さから「ジェット・カー」と呼ばれた。

試作車による試験と検討を経て、1959年以降、量産車となる5101形・5201形を製造。外装の上部をクリーム色、下部をウルトラ・マリンブルーに塗り分けたことから、「赤胴車」(外装の上部をクリーム色、下部をバーミリオンに塗り分けた急行用車両。当時人気の漫画キャラクターだった赤胴鈴之助にちなみ、「赤胴車」の愛称が付いた)と対をなす「青胴車」として親しまれるようになった。

1970年代に入ると、非冷房で車齢の高い初代5001形および量産車の5101形・5201形を順次廃止し、代わって冷房装置付きの普通用車両として、1977年に2代目の5001形を新造。1981年までに計32両を順次導入し、40年以上にわたって活躍を続けてきた。最高速度110km/h、加速度4.5km/h/s・減速度5.0km/h/sとされ、4両編成で運行されている。近年は新型車両への置換え等が進み、「赤胴車」はすでに運行終了。「青胴車」として親しまれた5001形も、5700系(愛称「ジェット・シルバー 5700」)への置換えにともない、現在は1編成が残るのみとなっていた。

引退が決まったことを受け、感謝を込めたイベントの第1弾として、12月21日に「HANSHIN ミステリー・エクスプレス 行方不明列車」を開催。同日9~12時に実施され、大阪梅田駅から尼崎車庫までの行程だが、「ミステリーツアーにつき詳細・目的地についてはお伝えできません」とのこと。募集人員は51名。旅行代金は1人2万円。11月27日14時から12月3日23時59分まで応募を受け付け、12月5日15~18時に抽選発表(当選者のみメールで連絡)を行う。

  • 「5001形貸切列車プラン」の実施イメージ

1月14・16・20・31日に「5001形貸切列車プラン」も予定。各日とも9時30分から12時10分まで、5001形1編成を限定ルート(尼崎車庫から石屋川車庫まで往復。石屋川車庫で約40分の自由撮影時間を設ける)で貸切利用できる。各日とも1組限定(最大100名まで。1名のみの申込みも可能)とされ、貸切代金は77万円。12月5~15日に応募を受け付け、12月17日15~18時に抽選発表(当選者のみメールで連絡)を行う。「HANSHIN ミステリー・エクスプレス 行方不明列車」「5001形貸切列車プラン」ともに企画実施は阪神ステーションネット。同社が運営する「阪神アイビートラベル」で募集する。

なお、5001形の営業最終運行日は1月上旬頃に改めて発表される。その他のイベント・グッズ等についても、決まり次第、発表する予定となっている。