米Anthropicは11月26日(現地時間)、AIチャットサービス「Claude」にスタイル機能を追加した。ライティングタスクにおいて、チャットボットの応答の文体や構造、トーンなどを簡単に調整できる機能である。3つのプリセットが用意されているほか、ユーザーが自身のコミュニケーションスタイルに合わせてカスタムスタイルを作成することも可能である。

プリセットは、「Concise」(短く、より直接的な応答)、「Explanatory」(説明的で学習向け)、「Formal」(明確で洗練された回答)の3種類である。例えば、メッセンジャーでの簡潔なやり取りが必要な場合には「Concise」を、リサーチでより詳しい説明がほしい場合には「Explanatory」を選択するというように使い分ける。

カスタムスタイルの作成は、スタイルのドロップダウンから「Create & Edit Styles」をクリックし、「Create Custom Style」を選択する。カスタマイズは、ライティングサンプル(pdf、doc、txtなど)をアップロードするか、希望するコミュニケーションスタイルを具体的に言葉で記述して生成する。「Normal」(標準の応答)をベースにした3つのプリセットは同じ基本的な口調を持つが、カスタムスタイルを使用することでさまざまなトーンへの調整が可能となる。なお、ユーザーがカスタマイズのためにアップロードしたサンプルがモデルのトレーニングに使用されることはない。

ChatGPTやGoogleのGeminiにはパーソナライズ機能があり、Appleの「Apple Intelligence」の作文ツールでは「フレンドリー」「プロフェッショナル」といったプリセットを選択できる。しかし、これらのサービスにおけるユーザーの制御範囲は限定的である。

ライバルがパフォーマンスメトリックやモデルサイズに重点を置く一方で、Anthropicは適応性とユーザー体験がAIツール導入の鍵になると考えている。特に、一貫したコミュニケーション基準やブランディングを必要とする企業や組織では、それぞれの言語を話すインテリジェンスが求められる。そうしたニーズに応え、異なるビジネスコンテキストに柔軟に対応できるようにカスタムスタイルを提供している。具体的には、ユーザードキュメントの更新、ビジネスケースの作成、マーケティング資料の作成や翻訳など、多様なユースケースでカスタムスタイルを活用することができる。