JR東海は26日、水素を燃料とする「水素動力車両」への搭載を想定した「水素エンジンハイブリッドシステム」の試作機が完成したと発表した。今後、小牧研究施設で性能評価試験や模擬走行試験を実施する予定だという。
水素動力車両は2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取組みの一環で開発される。JR東海が運用するHC85系のハイブリッドシステムを基盤とし、動力源として燃料電池と水素エンジンの2つの選択肢を検討する。燃料電池ハイブリッドシステムは2023年度から模擬走行試験を開始しており、今年度から水素エンジンハイブリッドシステムの開発に取り組んできた。
水素エンジンハイブリッドシステムは、産業用のディーゼルエンジンをベースに「i Labo」社(東京都中央区)が開発した水素エンジンと、HC85系で使用している発電機・車両制御装置・蓄電池を組み合わせたシステム。水素エンジンは高い耐久性と出力密度、高負荷域での高い効率を期待でき、燃料電池と比較して低い水素純度でも運転できる特徴を持つ。
試作機では、水素エンジンを鉄道車両用に適用するため、エンジンの回転数を一定に保つ改良や、加速時や勾配区間走行時の負荷に応じて水素エンジンと蓄電池の出力を最適化する制御システムが実装された。今月から水素エンジンハイブリッドシステム単体の性能評価試験を行い、2025年度から模擬車両と組み合わせた模擬走行試験を行うとしている。