最新のIntel Core Ultra シリーズ2プロセッサ「Intel Core Ultra 7 258V」を搭載したノートPC、Lenovo「Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9」をレビューします。

Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9は、性能と携帯性を兼ね備えたプレミアムノートPCです。15.3型の高解像度ディスプレイや、圧倒的なバッテリーライフを備えており、出先での作業から動画視聴まで幅広い用途で活躍してくれるでしょう。

  • Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9。価格は税込249,810円。

15.3型ながらもスリムで携帯性に優れたボディ

まずは今回レビューしていくYoga Slim 7i Aura Edition Gen 9の外観をチェックしていきましょう。 アルミニウム製のボディは高級感があり、カラーはルナグレーというメタリック感のあるグレーで指紋が目立ちにくくなっています。

本体サイズは幅343.8mm×奥行235.4mm×厚さ13.9mm(最薄部)。フットプリントのわりに厚さが約13.9mmと薄く、バックパックなどにも入れやすくなっています。重量は公称1.53kg、実測で1,517gでした。持ち運びに特化した超軽量モバイルノートPCには及びませんが、15.3型ディスプレイと70Whのバッテリーを搭載していると考えると軽いです。

底面とキーボード面に配置されたスピーカーは、2W×2のツイーターと2W×2のウーファーという構成を採用しています。音質はノートPCとしては非常に高く、高解像度で鮮やかなディスプレイ性能との相性もいいため、動画視聴にも最適です。

  • ルナグレーのアルミニウムボディは高級感がある

  • ディスプレイはグレア(光沢)仕様で反射はやや気になる

  • 画面は180度開くことができ、対面の人に画面を見せるときなどに便利

  • 天面中央にはLenovoロゴ

  • 底面には吸気口とスピーカー。デュアルファンで冷却性能は高め

  • 重量は公称15.3kg。実測では1,517gだった。

Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9のディスプレイは15.3型(2,880×1,800ドット)の高解像度で、色域も100% DCI-P3と広いため、非常に見やすく鮮やかな映像表現を楽しむことができます。最高輝度が500ニトなので、明るい環境でも視認性が高いです。また、タッチパネルにも対応しているため直感的な操作も可能。ただ、表面が光沢仕様でしっかりと反射するため、この部分は好みが分かれるところでしょう。

  • 15.3型、2.8K(2,880×1,800ドット)、リフレッシュレート120Hz、100% DCI-P3、最大輝度500二トのIPSディスプレイを搭載

明るさ調整可能なキーバックライトを搭載したキーボードはJIS配列ですが、バックスペースやエンター、右シフト、スペースキー周りを見れば分かる通り、US配列と共通のボディに無理やりキーを押し込んだようなレイアウトになっています。実際にタイピングをしていると、バックスペースとエンターキーの小ささにややストレスを感じることがありました。タッチパッドは大きくて使いやすいです。

  • キーボードはJIS配列だがUS配列のボディーをベースにしているためエンターキー周りなどにクセがある

  • 自動と2段階の明るさ調整が可能なキーバックライトを搭載。オフにすることもできる

Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9のインターフェースは、Thunderbolt 4×2、USB-A(USB 3.2 Gen 1)、HDMI、3.5mmマイク/ヘッドフォンコンボジャックと薄型ボディにしては充実しています。Thunderbolt 4が左右にあるのとフルサイズのHDMIを搭載しているのは嬉しいですね。

電源ボタンは本体右側面のThunderbolt 4ポートの横にあります。本体を持ったときに誤って押してしまうことが何度かあったので、正直なところ個人的には電源ボタンの位置はイマイチだなと感じました。

  • 左側面にHDMI、Thunderbolt 4、3.5mmマイク/ヘッドフォンコンボジャック

  • 右側面にUSB-A(USB 3.2 Gen1)、Thunderbolt 4、電源ボタン、電子プライバシーシャッタースイッチ

  • 本体側面の電源ボタンは持ち上げたときに誤って押してしまうことが何度かあった

WebカメラはフルHD 1080p。本体側面に電子プライバシーシャッタースイッチがあり、スライドさせることでWebカメラを電子的にオフにすることが可能です。また、IRカメラを搭載しているので顔認証にも対応しています。顔認証でWindowsのログインなどができるのはかなり便利です。

  • フルHD 1080pのWebカメラとIRカメラを搭載

付属品はACアダプターと電源ケーブル。2つ合わせて300g弱あるのであまり軽くはないです。ACアダプターの出力は65Wなので、小型の充電器を持ち歩くほうがいいですね。

  • 付属品のACアダプターと電源ケーブル

  • ACアダプターは最大65W出力

ベンチマークで性能をチェック

ベンチマークソフトを使ってYoga Slim 7i Aura Edition Gen 9の性能をチェックしていきます。 今回レノボから貸与を受けたサンプルの構成は以下のとおりです。

  • OS:Windows 11 Home
  • CPU:Intel Core Ultra 7 258V (8コア/8スレッド、Pコア 最大4.80GHz/LP Eコア最大 3.70GHz)
  • メモリ:32GB LPDDR5X-8533MHz(内蔵)
  • ストレージ:1TB M.2 2242 SSD PCIe-NVME Gen4 TLC
  • グラフィックス:Intel Arc 140V(内蔵)

Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9は、最新のIntel Core Ultra シリーズ2プロセッサ「Intel Core Ultra 7 258V」を搭載しています。Core Ultra 7 258Vは、高性能なPコア4基と省電力性に優れたLP Eコア4基を搭載した合計8コア8スレッドのCPUで、シングルスレッド性能の向上や省電力性の強化が図られています。

このプロセッサの大きな特徴として、パッケージ内に32GBのLPDDR5X-8533メモリを統合している点が挙げられます。この設計によって高速なメモリ帯域幅を実現し、システム全体のパフォーマンスを向上させています。ただし、統合型メモリのため、自身でメモリ容量を増設することはできない仕様なのは注意が必要です。

グラフィック処理には内蔵GPU「Arc Graphics 140V」を搭載し、映像やグラフィック処理性能を強化しています。さらに、AI処理や推論タスクに対応するための第4世代NPUも内蔵したことで、最新のAI技術を活用する環境にも適しています。

  • CPU-Z

  • GPU-Z

まずは、CPU性能を測るために「CINEBENCH」、「PCMark 10」、「UL Procyon Photo Editing Benchmark」を実行した結果から。

  • 「CINEBENCH R23」と「CINEBENCH 2024」の結果

  • 「PCMark 10」の結果

  • 「UL Procyon Photo Editing Benchmark」の結果

8コア8スレッドということでマルチコア性能は控えめですが、シングルコア性能は前世代(Meteor Lake)のモバイル向けハイパフォーマンスCPUに迫るスコアが出ています。PBP 17WのCPUでこの性能はなかなか驚き。Lunar Lakeのシングルスレッド性能の向上というのはこのスコアからも見て取れますね。

PCMark 10のスコアも高く、一般的な作業をしていて不満を感じることはないでしょう。UL Procyon Photo Editing Benchmarkのスコアからも、比較的クリエイティブ系の作業にも向いていることが分かります。

続いて、定番3Dベンチマーク「3DMark」、ゲームベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果を見ていきます。

  • 「3DMark」の結果

  • 「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」の結果

  • 「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果

3DMarkやFFベンチマークのスコアも、内蔵GPUとしては非常に高いものとなっています。1,920×1,200の解像度で低~中設定であれば、安定して60fps以上の平均フレームレートでプレイできるかなという印象です。低画質でもいいからカジュアルにゲームを楽しめればいいという方にとっては十分なゲーム性能があります。また、ディスプレイのリフレッシュレートを120Hzにすればよりゲームはしやすくなるでしょう。

Core Ultra 7 258Vは第4世代のNPUを内蔵しており、最大47TOPSのAI処理性能を有しています。これによりCopilot+ PCのハードウェア要件を満たしていることも特徴です。ここでは、AI推論性能を測定する「UL Procyon AI Computer Vision Benchmark」を実行して性能を見ていきます。

  • 「UL Procyon AI Computer Vision Benchmark」

CPUはもちろん、GPUと比較しても高いAI推論性能があることがわかります。また、NPUはGPUと比較して消費電力が低いため、AI処理における電力効率も優れています。

最後に、「PCMark 10 Battery Life benchmark」でバッテリー駆動時間を計測。一般的なOfficeソフトでの作業、Webブラウジング、ビデオ会議などの事務作業を想定した「Modern Office」というシナリオでバッテリー消費を計測します。なお、電源設定は「最適なパフォーマンス」でディスプレイ輝度を50%にしてテストを実行しました。

  • 「PCMark 10 Battery Life benchmark」

結果は約19時間半。バッテリー容量が70Whと多いこともありますが、ほどほどの負荷の作業であれば低消費電力で動かすことができ、バッテリー駆動時間は非常に長くなります。1日程度の作業であれば、万が一電源の確保ができなくても安心して使うことができそうです。

高い性能と美しいディスプレイ、長時間バッテリーを備えた万能ノートPC

  • 高い性能と美しいディスプレイ、長時間バッテリーを備えた万能ノートPC

Lenovo「Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9」は、Intel Core Ultra 7 258Vの性能と高い携帯性を兼ね備えたモバイルノートPCです。特に、シングルコア性能の向上やNPUによるAI処理能力の高さは、日常作業からクリエイティブな用途まで幅広く対応できる性能があります。

また、15.3型の高解像度ディスプレイは、色域100% DCI-P3、最高輝度500ニトというスペックで、鮮やかで見やすい映像表現を実現。動画視聴やクリエイティブ作業においても満足度が高いものとなっています。さらに、長時間のバッテリーライフはモバイル利用でのストレスを大幅に軽減し、電源を確保できないシーンでも安心して作業が可能です。

性能と携帯性、そしてバッテリー性能を兼ね備えたYoga Slim 7i Aura Edition Gen 9は、仕事や趣味のあらゆる場面で活躍するバランスの取れたノートPCと言えるでしょう。スタイリッシュなデザインと実用性の高さを求める方にとって、最適な選択肢の一つです。