関東以北最大の歓楽街、札幌ススキノ。
ブラックニッカ「ヒゲのおじさん」の電飾看板で知られるすすきの交差点に、昨年11月にオープンしたのが複合商業施設「COCONO SUSUKINO(ココノ ススキノ)」です。
この1年間に生じたススキノの変化とは——? 1周年の記者会見で聞いてきました。
コンセプトは「昼も眠らない街」
2023年11月30日にオープンした「ココノ ススキノ」。開業当時はその大きさに目を見張りましたが、いまやすっかり札幌市民に定着。
5Fにあるシネコン「TOHOシネマズすすきの」も、地下2Fのスーパー「ダイイチ」も生活に溶け込みました。「えっ、まだ1周年なの?」と思う人もいるかもしれません。
記者会見では総支配人の志村敦史さんが、この1年間の実績について「初年度の来場客数は800万人の見込みを上回り1,100万人を超える見通し」と報告し、「ススキノの昼のイメージを変える一助になったのでは」と胸を張りました。
これまでのススキノは夜の街で、日没後のきらびやかさとは一転、昼間は人通りも少なく、どこかくすんで見えました。確かに、ココノ開業以降は制服姿の高校生や家族連れの姿が増えたような気がします。
「ココノススキノは『昼も眠らない街ススキノへ』をコンセプトに、この場所を意味するココ、多様性を意味する個々に由来して名づけられました。札幌市民100万世帯をオールターゲットとして掲げましたが、実際に午前中はご高齢の方、昼過ぎからはベビーカーと一緒のお母さん方、夕方は制服姿の学生たち、夜は仕事帰りのオフィスワーカーやこれから仕事のナイトワーカーなど、どの時間帯もまんべんなく想定以上の方にご利用いただいています」(志村さん)
テナントは飲食店からコスメ、雑貨、ファッションまで幅広い78店舗。
日中に演歌歌手のミニコンサート、夜にジャズのコンサートを開いたり、週末にプロスポーツチームと連携したイベントを開催したり、さまざまな催しで多くの人を集めています。
好調なインバウンドも後押し
円安の影響で外国人観光客が増え続けていることも追い風です。7~18Fのホテル「SAPPORO STREAM HOTEL」は宿泊客のインバウンド比率が50%を超える時期もあるのだとか。
確かに館内では大きなキャリーケースを転がす外国人の姿をあちこちに見掛けます。
9月には新たにラーメンホール「mingle」をオープン。「麺屋竹蔵」「MEN in EZO」「札幌真麺処 幸村」「人類みな北海道」「札幌つけ麺 札幌ラーメン風来堂」の5店舗がしのぎを削り、ラーメンファンからも人気を呼んでいます。
志村支配人によると、幅広い客層のお客様に来てもらえるよう、あらかじめ商品構成にも配慮。高単価なものだけではなく、手に取りやすい価格帯のメニューや商品をテナント側にお願いしたそうです。
性別や世代を問わず多くの人に親しまれているのは、あえてターゲットを絞らない戦略が功を奏したのかもしれません。
1周年記念イベントが盛りだくさん
11月21日から12月31日は1周年の記念イベントがいろいろと予定されています。3Fフードホールの「COCONO SQUARE」では、中学校の合唱部から、芸者ショー、ダンス、お笑い、演歌まで、さまざまなステージが目白押しです。
12月3日にはクリス・ハートをゲストに招いた「Thank You Music Live」、12月4日には「AIR-G'にーはち.スポーツ番外編」として森本稀哲のゲストにスポーツを話をしないトークショーなど、ユニークな内容。
「オールターゲット」を標榜するだけあって、さまざまなジャンルの催しが用意されています。もちろんテナント各店でも期間限定のメニューやサービスがいっぱいです。
間もなく迎える2年目に向けて、志村さんは「北海道の方は熱しやすく冷めやすいと聞きますが、いつ行っても何かやってるよね、と言われるように、新しいテナント様の誘致も含め、さまざまな企画を実施していくと同時に、SNSでの情報発信も強化していきたい」と抱負を語りました。
さっそく11月26日にはフードホールにレモネードのドリンクショップ、12月には地下1Fにおにぎりの新しいテナントが登場する予定。
今後クリスマスや忘年会シーズン、年が明けたら雪まつりの「すすきのアイスワールド」など、ますます賑やかになるに間違いないでしょう。
ヨークマツザカヤ、ロビンソン百貨店、ススキノラフィラと、時代によって変遷してきたススキノの一等地で、新たな魅力を放つ「ココノススキノ」。
昼も夜も楽しく遊べるススキノを、これからも広くアピールしていきます。