11月13日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「トランプ大統領再選“日本経済への影響”と“東証の取引時間延長”」というテーマでお話を伺いました。
※この日はマンボウやしろに代わり、芦沢ムネトが代演パーソナリティをつとめました。
◆トランプ氏がアメリカ大統領に再選
浜崎:今回、宗さまには「トランプ大統領再選“日本経済への影響”と“東証の取引時間延長”」についてお話しいただきます。
芦沢:なかなか難しそうなテーマですね。僕もニュースで見ましたが、トランプさんがアメリカ大統領に返り咲きました。宗さま、この結果はどういうふうに感じていらっしゃいますか?
宗正:予想以上に圧倒的な強さで、すぐに「当確」が出ましたよね。
芦沢:最初から、結構突き放すという感じでした。
宗正:そうなんです。事前の予想では「カマラ・ハリス氏」との大接戦という見方でしたが、7つの激戦州の全てをトランプ氏が勝って、最短でも数日はかかると思われていた選挙結果、あっさりと決まってしまいました。
芦沢: しかし本当に強かったですね
宗正:強すぎるというか、頼もしすぎるというか。やはり、トランプ氏の政策は分かりやすかったと思うんですよね。「インフレを止める、違法移民を止める、戦争を止める」という、この3つを止めるシンプルで分かりやすい訴えが圧勝の要因だと思います。
トランプ氏はもともと、ビジネスマンなんですよね。トップダウンで物事を決断するのが得意です。普通、政治家は折衝や交渉のことを「ネゴシエーション」と英語で言いますが、トランプ氏は「ディール(取引)」と表現します。トランプ氏はトップ同士の「ビッグ・ディール」が大好きです。アメリカのトップは大統領ですから、先ずは自分が方向性を決めて相手を導くというスタイルです。
芦沢:その時点で、「この人、政治や経済をなんとかしてくれそう」感がありますよね。
宗正:そうなんです。落としどころを決めて交渉する訳ですから、強いですよ。我が国の石破総理はそんな強靭なスタイルの持ち主に対峙しなきゃいけないということを認識する必要があります(笑)。
芦沢:そうですね、そうなりますね。
宗正:トランプ氏は「アメリカファースト・米国第一主義」、ここを一番に考えます。これこそが、アメリカ国内で絶大な人気を誇る最大の理由です。今はウクライナと中東で大きな2つの戦争が起きていますが、それも早々に止めると断言しています。
芦沢:選挙戦の最中、トランプ氏の優位が伝わると、日米ともに株式市場、そして為替市場に大きなインパクトがあったようですよね。
宗正:トランプ氏の前回の在任中(2017年1月から4年間)、アメリカの株式市場の最も代表的な指数ニューヨークダウは56%上昇しました。彼が掲げる政策はいつも景気浮揚策、株式市場が上がる政策です。
今回の選挙戦もそうで、数カ月も前から「トランプ・トレード」と呼ばれる動きが金融市場にはありました。トランプ氏の当選確率が上がればマーケットが上がる、当選確率が下がれば下がると、そんな動きです。
芦沢:確かに、そうなりますもんね。
宗正:今回もトランプ氏の当選確率が上がれば、アメリカ国債の利回りと米ドルは上昇。もちろんアメリカ株式市場も上昇しました。
そして今回特徴的なのが、暗号資産の代表格「ビットコイン」が連日のように最高値を更新したことです。
芦沢:それもトランプさんが当選確実に近づくとともに……ということですよね。
宗正:トランプ氏は大統領選挙を通じて、アメリカをビットコイン超大国にすると宣言しました。トランプ氏が率いる共和党からは「ビットコイン法案」も提出されて、これまでの「金(ゴールド)」のような役割、つまり政府で戦略的に備蓄する資産の役割を担わせるといった方針も打ち出しました。
◆関税の引き上げ、トランプ氏の円安志向…日本への影響は?
芦沢:トランプ氏のアメリカ大統領再任は、日本にどのような影響を与えそうですか?
宗正:関税の引き上げ、これは前回の在任中も行動を起こしていますし、選挙の期間中もずっと言っていたので、今回も間違いなくやってくると思います。
特に自動車の関税引き上げは、十中八九やってくるでしょう。日本の一番得意な分野なので、穏やかな話ではないのですが、全ての国の製品に一律10%~20%の関税を掛けると、敵対視する中国の製品にはその何倍もの関税を掛けると発言しています。
1期目の関税引き上げの目的は赤字を減らすためのものでした。今回はアメリカから流出していった産業を、アメリカ国内に再び取り戻すことが目的で、その先には海外の産業を取り込むということまで視野に入っていると思います。
芦沢:アメリカを取り戻すということをトランプ氏は何度も言っていますもんね。
宗正:そしてトランプ氏は「日本の円は高すぎる」と前回の大統領在任中に発言していました。円が高いということは、それだけ日本の経済が強いということ。つまりトランプ氏は、アメリカ経済と比べて日本経済をそこまで強いとは思っていない、円安志向なんです。
一方で、どちらかと言えば日本にとって良い話だと思いますが、「エネルギーの増産支援」も打ち出していました。トランプ氏が望む「円安水準」以上に、原油などのエネルギー価格の上昇が抑えられれば、日本国内の物価上昇も幅広く抑えられることになりますね。
いずれにしても、来年1月のトランプ大統領就任以降は、世界の政治経済が180度変わる可能性があることを覚悟する必要があります。もちろん期待の意味を込めて。
◆東京証券取引所の取引時間が70年ぶりに延長
浜崎:今月11月に入って東京証券取引所の取引時間が延長になったそうですが、その内容についても教えていただけますか?
宗正:日本取引所グループが運営する東京証券取引所は、日本を代表する証券取引所ですが、11月5日から株式などの取引時間を延長しました。これまでの取引終了時間15時を15時半まで30分間延長しました。
芦沢:それって、そんなに変わりがあるものなんですか?
宗正:東証は「市場利用者の利便性や国際競争力などをさらに高めるため」としています。確かに、取引時間を延長すればするだけ高まることは間違いない。例えば取引時間を延ばせば延ばすほど、アジアの株式市場やヨーロッパの株式市場と取引時間も重なります。資金の流れに国境は無いので、国境を越えた株の売買なども同時にできるようになります。東証の取引時間の延長は、1954年以来70年ぶりのことなんです。
そして延長された30分間の中のラスト5分間、新たに「クロージング・オークション」という仕組みが導入されました。個人的には取引時間の延長よりもこちらの方が意義深いと思っています。具体的には取引時間終了の5分前から売買を成立させないで、売り注文と買い注文を受け付けます。もちろん、その5分間は普段刻々と変わる株価ボードも動きません。「クロージング・オークション」は、当日の株価の終値を確定させる流れの透明性を高めることが目的です。
芦沢:それが今回の取引時間延長の主な目的なんですか?
宗正:東京証券取引所は今回、新たな売買システム「arrowhead4.0」を導入しました。2020年10月1日、システム障害により東京証券取引所の株の取引が1日動かなかったということがありましたが、大規模なシステム障害対応のための新システム導入に合わせて取引時間の延長が実現できたということです。併せて「クロージング・オークション」も導入できたということですね。
浜崎:東京証券取引所も上場企業の数が増えるほうが良い訳ですし、取引時間の延長は、そのための第一歩ということにもなりますよね?
宗正:東京証券取引所は70年ぶりに取引時間を延長しましたが、実はまだまだ海外の取引所と比べて短いんです。
芦沢:それでもまだ短いんですね。
宗正:例えばアメリカのニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所は、既に24時間取引に向けた準備に入っています。証券取引所と言っても現代はそのほとんどがシステム稼働によるものですから、24時間取引は充分に可能です。
芦沢:既にその段階に入ってるんですね。
宗正:東京証券取引所の取引時間が長くなれば、そこに上場する企業の数も増えることが予想されます。上場企業が増えるということは、世界中からの投資資金が日本に集まるということ。ひいては日本経済も潤うということですから、今回の一歩前進、止まることなく進み続けることができれば非常に有意義ですね。
芦沢:もしかするとさらに時間が延びる可能性もあります、その第一歩ということなんですね。
(今日お話をして)自分の知らないことがたくさんありました。トランプ氏の再任で影響があるとは聞いていましたけど、具体的にそういったことが起きるんだなと知ることができて、ニュースもより興味深く見られるなと思いました。勉強させていただきました。ありがとうございます。
宗正:こちらこそ、ありがとうございました。
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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月曜~木曜17:00~20:00(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/